演習問題(プリント) Ver 3 2014/5/26 複素関数 1 tanh(i) の値を求めよ. ( ) sin π2 − z = cos z を示せ. (1) sinh(i), cosh(−i), ( ) (2) cos π2 − z = sin z, (3) f (z) = z 3 を u(x, y) + iv(x, y) で表す関数 u, v を求めよ. 1 を u(x, y) + iv(x, y) で表す関数 u, v を求めよ. z2 (√ ) (5) log 3 + i , log (1 + i) の値を求めよ. (4) f (z) = (6) log z α = α log z が成立しないことを,α = 2 で確かめよ. (7) Log(zw) = Log z + Log w が成立しないことを,z = eiθ , w = eiφ として,確かめよ.ただし,Log z は 主値 Logz = log |z| + iArg z 正則関数 2 (1) z, ℜz, |z| は正則でないことを示せ. (2) w = f (z) が z = z0 で微分可能,g(w) が w = f (z0 ) で微分可能のとき,g ◦ f (z) が z = z0 で微分可能であ ることを示せ. (3) 領域 D 上で,f ′ (z) = 0 ならば,f (z) は D 上で定数関数であること示せ. (4) f (z) が正則ならば,f (z) は正則であることを示せ. (5) f (z) が z0 = x0 + iy0 で連続であることと,2 変数の実数値関数 u(x, y), v(x, y) が点 (x0 , y0 ) で連続である ことが同値であることを示せ.ただし,f (z) = u(x, y) + iv(x, y) 1 1 2 d(z 3 ) (6) z のそれぞれの分岐における内点では, = z − 3 であることを示せ. dz 3 1 注:このことは,z n , (n ∈ N) でも成立する. z z ̸= 0 (7) f (z) = |z| で連続でないことを示せ. 0 z =0はz =0 1 3 ∫ ∫ (1) ∫ |z|=1 ℜz dz, |z| dz, (2) C1 複素積分 3 ∫ x dy の値を求めよ. x dx, ∫ |z|=1 C√ 2 |z|=1 ∫ |z| dz, |z| dz, C3 ∫ √ C1 +C2 −C3 |z| dz の値を求めよ. ただし,C1 は 0 と 1 + i を結ぶ直 線,C2 は 0 と 2 を結ぶ直線, C3 は 2 と 1 + i を結ぶ円弧. ∫ ∫ ∫ ∫ (3) z dz, z dz, z dz, z dz の値を求めよ. ただし,C1 は 0 と 1 + i を結ぶ直線,C2 C1 C2 C3 C1 +C2 −C3 √ √ は 0 と 2 を結ぶ直線, C3 は 2 と 1 + i を結ぶ円弧. )( ) ∫ ( 1 1 (4) dz, (i = 1, 2, 3) の値を求めよ. ただし,c1 は点 0 を始点に 1 と結ぶ直線,c2 1 + x2 1 + y2 Ci は点 1 を始点に 1 + i と結ぶ直線,c3 は点 0 を始点に 1 + i と結ぶ直線 ∫ ∫ (5) Log z dz, Log z |dz| の値を求めよ. |z|=1 |z|=1 1 (6) D を平面内の領域とし,その境界 ∂D は区分的に滑らかとする.点 (x, y) ∈ D での流体の流速を v = (v1 (x, y), v2 (x, y)) とする.このとき,次に答えよ. ∫ (i) v1 dy − v2 dx は境界 ∂D を通って単位時間当たり,D の外に流れ出た流体の量を表すことを示せ. ∂D ∫∫ ∂v1 ∂v2 (ii) + dxdy は D 内で単位時間当たり湧き出した流体の量を表すことを示せ. dx dy D ∫ ∫∫ ∂v1 ∂v2 (iii) v1 dy − v2 dx = + dxdy を示し,これは物理的に何を言っているかを述べよ. dx dy ∂D D 注:これは 2 次元のガウスの定理です. (7) D を平面内の単連結な領域とし,その境界 ∂D は区分的に滑らかとする.D 上の関数 u(x, y) が調和関数, ∂2u ∂2u 即ち, 2 + = 0 のとき, dx dy 2 ∫ (i) C を D 内の閉曲線とするとき, (−uy , ux ) · dr = 0 であることを示せ. C ∫ (ii) 積分値 (−uy , ux ) · dr は,固定点点 (x0 , y0 ) と任意の (x, y) ∈ D を結ぶ曲線 C の取り方に依らず始 C ∫ (x,y) 点と終点 (x, y) で決まる.これを v(x, y) = (−uy , ux ) · dr と表す. (x0 ,y0 ) (iii) vx = −uy , vy = ux であることを示せ. (8) 次の関数 u の共役調和関数 v を求め,正則関数 w = u + iv を作れ. x (i) u = (ex + e−x ) cos y (ii) 2 x + y2 ∫ (9) (i) 「f (z) = log z は正則なので,Cauchy の積分定理により, ばその箇所を指摘 (理由も)して,正しい積分値を求めよ. ∫ √ (ii) 「f (z) = z は正則なので,Cauchy の積分定理により, log z dz = 0 である」 誤りがあれ |z−1|= 12 √ z dz = 0 である」誤りがあればその |z|=1 箇所を指摘 (理由も)して,正しい積分値を求めよ. 積分表示 4 (1) 閉区間 [a, b] 上で連続な実数値関数 {fλ }λ∈Λ が関数 f に一様収束する,すなわち,(a directed set Λ) ∀ ε > 0, ∃ λ0 ∈ Λ; λ ≥ λ0 =⇒ |fλ (x) − f (x)| < ε とき,極限の関数 f (x) は連続であることを示せ.また, ∫ lim λ ∫ b b fλ (x) dx = a f (x) dx a であることも示せ. (2) 領域 D ⊂ C 上で正則な関数 {fn } が関数 f に一様収束する. このとき, (i) f (z) もまた正則関数であることを示せ. (ii) f (k) (z) もまた f (k) (z) に一様収束することを示せ. (3) 十分大きい R に対して,次を満たす M > 0 が存在する |f (z)| ≤ M |z|n , ならば,f (z) は高々n 次の多項式であることを示せ. 2 (|z| ≥ R) (4) 領域 D について,D+ = {z ∈ D : ℑz > 0}, D− = {z ∈ D : ℑz < 0} とする.f (z) は D+ の閉包 D+ で連 続で,D+ で正則,また,f (z) は実軸 {z ∈ D+ ; ℑz = 0} で実数値であるとき, f (z) (z ∈ D ) + g(z) = f (z) (z ∈ D ) − とすれば,g(z) は D で正則関数となることを示せ. (5) f (z) = u(x, y) + iv(x, y) を単位円板 D = {z ∈ C : |z| < 1} で正則で,D で連続とする.任意の点 z ∈ D (z = reiφ ) とする.次の問に答えよ. (i) 次の等式を示せ. 1 f (z) = 2π (ii) 次の等式を示せ. 0= 1 2πi ∫ |ξ|=1 ∫ 0 (iv) 次の等式を示せ. u(z) = 1 2π ∫ f (ξ)ξ dθ, ξ−z (ξ = eiθ ) 1 f (ξ) ( ) dξ = 1 2π ξ− z (iii) 次の等式を示せ. f (z) = 2π 1 2π ∫ 2π 0 2π 0 1+ r2 ∫ 2π 0 f (ξ)z dθ z−ξ 1 − |z|2 f (eiθ ) dθ |eiθ − z|2 1 − r2 u(eiθ ) dθ − 2r cos(θ − φ) (これを調和関数 u に対する単位円板の Poisson 積分, 2π(1 + r2 1 − r2 を Poisson 核という) − 2r cos(θ − φ)) べき級数復習 5 次の級数の収束,発散を調べよ. (1) ∞ ∑ ∞ ∑ 1 (i) 2 − 1) (n n=1 ∞ ∑ 1 (ii) n(n + 1)(n + 2) n=1 1 (iii) log(n + 1) n=1 √ √ n+) − n (iv) n n=1 ∞ ∑ (2) 解答 複素関数 1 (1) i sin 1, cos 1, i tan 1 2 2 −2xy (4) u = xx2 +y +y 2 , v = x2 +y 2 (2) cos z, sin z の定義を用いる (3) u = x3 − 3xy 2 , v = 3x2 y − y 3 (5) log 2 + i( π6 + 2nπ), log2 2 + i( π4 + 2nπ) 複素積分 3 (3) 2 変数の平均値の定理を用いる. (4) Cauchy-Riemann 関係式を用いる (7) x + iy z = √ と (5) を用 |z| x2 + y 2 いる 複素積分 3 (1) iπ, 0, π (2) 1+i √ , 2 1, √ √ 2 − 2 + i 2, √ √ 2+ 2+i 2 2 2 i (2π) 2 (5) −2πi, (6)(7) はグリーンの定理を用いる √ log z, z の正則である範囲に注意 (3) i, 1, i − 1, 0 (8) (i) (e − e x −x (4) π π 2+π 4 , 8 i, 8 (1 ) sin y, sinh z + i) (ii) −y x2 +y 2 , 1 z (9) 積分表示 4 (2) Morea の定理を用いる (3) f n+1 (z) = 0 を示す (4) Morea の定理を用いる いる 3 (5) Cauchy の積分表示を用 1 複素積分 定理 1.1 (Cauchy の積分定理) 三角形分割による,Cauchy の積分定理の証明 ∫ f (ξ) dξ = 0 C 定理 1.2 単連結領域 D 内の任意の閉曲線 C について,関数 f (z) が D 上で連続とする.このとき, ∫ f (ξ) dξ = 0 C ならば,D 内の点 z0 と z を結ぶ曲線 C ′ の取り方によらず, ∫ f (ξ) dξ C′ ∫ z は始点 z0 と終点 z で決まる.このとき,この線積分を F (z) = f (ξ) dξ と表すと,F (z) は正則で.次を満たす. z0 (∫ d dz ) z f (ξ) dξ = f (z) z0 命題 1.3 単連結領域 D で関数 f (z) が正則で f ′ (z) ≡ 0 ならば,f (z) ≡ k (定数)である 定理 1.4 単連結領域 D 内の任意の閉曲線 C について,関数 f (z) が D 上で正則とする.このとき D 内の点 z0 と z を結ぶ曲線 C とすると, ∫ ∫ z f (ξ) dξ = C となる.ただし,F (z) は, 2 z0 f (ξ) dξ = [F (ξ)]zz0 = F (z) − F (z0 ) d F (z) = f (z) を満たす原始関数とする. dz 積分表示 定理 2.1 (最大値原理) D を単連結領域,∂D をその区分的に滑らかな境界とする.f (z) を D の閉包 D 上連続で, D 上正則な関数とすると D の |f (z)| の最大値は,∂D 上で取る.すなわち, max{|f (z)| : z ∈ D} = max{|f (z)| : z ∈ ∂D} 定理 2.2 (Cauchy の評価式) f (z) が |z − α| ≤ r で連続でその内部で正則ならば, |f (n) (α)| ≤ 3 n! max{|f (z)| : |z − α| = r} rn べき級数 (復習) 定義 3.1 (1) 数列 {an } が α に収束するとは ∀ ∃ ε > 0, N ∈N: n≥N =⇒ |an − α| < ε (2) 数列 {an } が Cauchy 列とは, ∀ ε > 0, ∃ N ∈ N : n, m ≥ N =⇒ |an − am | < ε ∃ (n ∈ N) (3) 数列 {an } が有界であるとは M > 0 : |an | < M 4 (4) α が集合 A ⊂ C の集積点とは, ∃ {an } ⊂ A : lim an = α, an ̸= α n→∞ 定理 3.2 (C の完備性) 数列 {an } が収束することと,数列 {an } が Cauchy 列であることは同値である. 定理 3.3 (Bolozano-Weierstrass の定理「点列コンパクト」) 無限個の有界閉集合 A ⊂ C は必ず集積点 α ∈ A を持つ. 定理 3.4 (Heine-Borel の定理「Covering コンパクト」) 有界閉集合 A ⊂ C の開被覆は,有限開被覆を持つ, すなわち, ∪λ∈Λ Oλ ⊃ A, Oλ 開集合 =⇒ ∃ 有限部分集合 Λ0 ⊂ Λ : ∪λ∈Λ0 Oλ ⊃ A 定理 3.5 有界閉集合 A 上の実数値連続関数は最大値,最小値を持つ. 定理 3.6 有界閉集合 A ⊂ C 上の連続関数 f は,一様連続である.すなわち, ∀ z ∈ A について, ∀ ε > 0, ∃ δ = δ(ε, z) : |ξ − z| < δ =⇒ |f (ξ) − f (z)| < ϵ ならば, ∀ 定義 3.7 級数 ∞ ∑ ε > 0, ∃ δ = δ(ε) : |ξ − z| < δ an について,Sn = n=1 n ∑ =⇒ |f (ξ) − f (z)| < ϵ (∀ z, ξ ∈ A) ak を第 n 部分和という.このとき, k=1 ∞ ∑ (1) 数列 {Sn } が α に収束するとき,級数 an が (条件) 収束するといい,その極限値 α を n=1 (2) 数列 {Sn } が発散するとき,級数 ∞ ∑ ∞ ∑ an で表す. n=1 an が発散するという. n=1 (3) ∞ ∑ |an | < ∞ のとき,級数 n=1 命題 3.8 ∞ ∑ an は,絶対収束するという. n=1 (1) 級数 ∞ ∑ n=1 an , ∞ ∑ bn が収束するとき, n=1 ∞ ∑ (αan + βbn ) = α n=1 (2) 級数 ∞ ∑ ∞ ∑ n=1 an + β ∞ ∑ bn n=1 an が収束することと, 次が同値である. n=1 ∀ ε > 0, ∃ n ∑ N ∈ N : n > m > N =⇒ ak < ε k=m このこき,m = n − 1 とすれば, lim an = 0 である. n→∞ 定理 3.9 例 (1) 級数 ∞ ∑ ∞ ∑ n=1 (−1)n−1 n=1 (2) 級数 ∞ ∑ an が絶対収束すれば,級数 ∞ ∑ an は条件収束する.逆は成立しない. n=1 ∞ ∑ 1 1 = log 2,しかし, = ∞ 絶対収束しない. n n n=1 an が絶対収束するならば,その (無限個)項の順序を換えた級数 n=1 ∞ ∑ n=1 は同じ値になる 5 a′n は絶対収束し,その極限 命題 3.10 (Cauchy 積) 級数 ∞ ∑ ∞ ∑ an , n=1 bn は絶対収束する.cn = n=1 は絶対収束して, n ∑ ak bn−k とする.このとき,級数 ( cn = n=1 ∞ ∑ )( ∞ ∑ an n=1 cn n=1 k=0 ∞ ∑ ∞ ∑ ) bn n=1 次に関数列の収束の話です. 定義 3.11 区間 I 上の有界な関数列 {fk } が一様収束するとは, ∀ ϵ > 0, ∃ K∈N: k>K =⇒ |fk (x) − f (x)| < ε (x ∈ I) (上の K が区間 I の点 x に依存していないことに注意) ∥f ∥∞ := sup{|f (x)| : x ∈ I} と一様ノルムを定義すると,上の条件は, ∀ ∃ ϵ > 0, K∈N: k>K =⇒ ∥fk − f ∥∞ < ε と表せる. 定理 3.12 閉区間 I = [a, b] 上の連続関数列 {fk } が f 一様収束することの,次の条件 ∀ ∃ ϵ > 0, K ∈ N : k, ℓ > K =⇒ ∥fk − fℓ ∥∞ < ε が同値である(一様ノルムで Cauchy 列).このときの極限関数 f は自動的に連続関数になる. 命題 3.13 (微分と Limit の順序交換) 区間 I ⊂ R で実数値関数 f に収束する C 1 級の実数値関数 fn があり,関 数列 {fn′ } が極限関数 g に一様収束するならば,このとき,f は C 1 級であり ) d ( d f ′ (x) = g(x), すなわち, lim fn (x) = lim fn (x) n→∞ dx dx n→∞ を満たす.しかも,fn は f に一様収束する. 定義 3.14 (1) 関数 fn (z) が f (z) に領域 D で広義一様収束するとは,任意の z ∈ D に対して, ∀ ε > 0, ∃ δ = δ(z, ε) > 0 : |fn (ξ) − f (ξ)| < ε (∀ ξ ∈ U (z, δ)) このことは,D 内の任意のコンパクト集合 K に対して, ∀ ε > 0, ∃ (∀ ξ ∈ K) δ = δ(K, ε) > 0 : |fn (ξ) − f (ξ)| < ε であることと同値である.(参照 定理 3.4) 積分表示 4 の問題(2)の条件を「広義一様収束」に取り換えても成立することに注意しておく. (2) 領域 D 上の関数が作る級数 和 Sn (z) = n ∑ ∞ ∑ fk (z) がある関数 S(z) に収束するとは,任意の z ∈ D に対して,その部分 k=1 fk (z) が S(z) に収束することをいう.そして,S(z) を k=1 (3) 部分和 Sn (z) = ∞ ∑ fk (z) で表す k=1 n ∑ fk (z) が S(z) に(広義)一様収束するとき,級数 k=1 一様収束するという.この関数 S(z) を ∞ ∑ ∞ ∑ fk (z) がある関数 S(z) に(広義) k=1 fk (z) で表す. k=1 命題 3.15 (項別積分) 有限の長さの曲線 C で fk (z) が連続で,級数 ∞ ∑ fk (z) が一様収束しているとき,次が成 k=1 り立つ. (積分表示 4 の問 2(i) 参照) ∞ ∫ ∑ k=1 fk (z) dz = C ∫ ∑ ∞ C k=1 6 fk (z) dz 命題 3.16 (項別微分) 関数 fk (z) が領域 D で正則で,級数 ∞ ∑ fk (z) は D 上で広義一様収束しているとき,次が k=1 成り立つ. (積分表示 4 の問 2(ii) 参照) ( ∞ ∑ )′ fk (z) = k=1 ∞ ∑ fk′ (z) k=1 しかも,右辺の収束は広義一様収束である. 参考のために一般 (実数値関数)の項別微分を述べておく. 命題 3.17 (一般の項別微分) 実数値関数 fn (x) が C 1 級の関数で,級数 級数 ∞ ∑ fk′ (x) がある関数 g(x) に一様収束していれば,このとき, k=1 ∞ ∑ ∞ ∑ fk (x) が f (x) に収束している.もし, k=1 fk (x) は微分可能で,しかも k=1 ( ∞ ∑ )′ fk (x) = k=1 ∞ ∑ fk′ (x) k=1 しかも,右辺の収束は一様収束である. 定理 3.18 (Weierstrass の優収束判定法) 区間 I ⊂ R で定義された関数 fk (x), gk (x) に関して,級数 ∞ ∑ gk (x) k=1 が一様収束するとき, |fk (x)| ≤ gk (x), を満たすならば,級数 ∞ ∑ (x ∈ I) fk (x) も一様収束する. k=1 注意 3.19 上の定理で「x ∈ I ⊂ R」を「z ∈ D ⊂ C」に取り換えても,定理は成立する. ∞ ∞ ∑ ∑ また, 「 gk (x) が一様収束」の条件を関数 gk (x) が定数関数 ck で, 「 ck < ∞」としても良い. k=1 k=1 次にべき級数について解説する. 定義 3.20 ∞ ∑ ak (z − α)k k=0 と形をした級数をべき級数とい, ak を係数,α を中心という. このとき,w = z − α と変数変換をすることにより,中心が 0 として取り扱っても良い. 定理 3.21 (Abel の第一定理) べき級数 ∞ ∑ ak z k が z = z0 で収束する.このとき,べき級数 k=0 で絶対収束し,任意の 0 < ∀ ρ < |z0 | に対して,閉円板 {z : |z| ≤ ρ} 上で一様収束する. 定義 3.22 (収束半径) べき級数 ∞ ∑ k=0 ak z k に対して, { r = sup |z| : ∞ ∑ } ak z k , 収束 k=0 を,収束半径という.右辺の集合が空集合のときは,r = 0 とする. 収束円上の点 |z| = r では, ∞ ∑ ak z k は収束することもあるし,発散することもある. k=0 例 ∞ ∑ 1 k−1 z のとき,z = 1 発散, z = −1, 収束 n k=1 7 ∞ ∑ k=0 ak z k は,|z| < |z0 | 定理 3.23 (Cauchy-Hadamard) べき級数 ∞ ∑ ak z k に対して,その収束半径 r は,次で与えられる. k=0 √ 1 = lim n |an | r n→∞ 定理 3.24 (D’Alembert) べき級数 ∞ ∑ ak z k に対して,極限 lim n→∞ k=0 |an | が存在すれば,その収束半径 r は, |an+1 | |an | n→∞ |an+1 | r = lim で与えられる. 命題 3.25 (べき級数の項別積分) べき級数 ∞ ∑ ak z k , (収束半径 r > 0) に対して,曲線 C が収束円の内部にあ k=0 るとき, ∫ ∑ ∞ ∞ ∑ an z k dz = C k=0 ∫ z k dz = ak C k=0 ∞ ∑ ak (z k+1 − z0k+1 ) k+1 k=0 ただし,z0 , z は曲線 C の始点と終点. 注意 3.26 ∞ ∞ ∑ ∑ ak k+1 ak z k の収束半径 r と一致している. z の収束半径は k+1 k=0 k=0 命題 3.27 (べき級数の項別微分) べき級数 ∞ ∑ (収束半径 r > 0) とする.このとき,|z| < r となる z に ak z k , k=0 ついて, ( ∞ ∑ )′ ak z k = k=0 ∞ ∑ kak z k−1 k=0 が成立する.また,左辺のべき級数の収束半径も r である. 命題 3.28 (係数の一意性) 2 つのべき級数が,|z| < ρ (ρ > 0) となる z で ∞ ∑ ak z k = k=0 ならば,係数は一致する.すなわち,ak = bk 4 ∞ ∑ bk z k k=0 (∀ k ∈ N) Taylor 展開,零点,特異点,Laurent 展開 定義 4.1 (1) f (α) = 0 となる点 z = α を零点という. (2) f k (α) = 0, (k ≤ n − 1), f n (α) ̸= 0 となるとき,α を位数が n 位の零点という. 注意 4.2 正則関数 f (z) が α で n 位の零点のとき,その Taylor 展開は f (z) = ∞ ∑ f k (α)(z − α)k k=n となり,f (z) = (z − α)n g(z), g(α) ̸= 0 となる正則関数 g(z) が存在する. ∞ ∑ ( g(z) = f k (α)(z − α)k−n と取れば良い ) k=n 8 定理 4.3 (一致の定理 1) 領域 D で正則な関数 f (z) について, f k (α) = 0, (∀ k ∈ N ∪ {0}) となる点 α があれば,f (z) は恒等的に零である.即ち,f (z) ≡ 0. 注意 4.4 特異点は必ずしも孤立していないことに注意する.また,極は必ず孤立している.すなはち,特異点が孤 1 1 立していなければ,真性特異点だある.例 e z は z = 0 について真性特異点,ゆえに,f (z) = 11 は z = z e −1 2nπi は特異点で真性特異点 z = 0 に収束する. 定理 4.5 領域 D で正則な関数 f (z) ̸≡ 0 について,その零点は孤立点である.すなわち,α を f (z) の零点とす ると, ∃ (0 < |∀ z − α| ≤ δ) δ > 0 : f (z) ̸= 0, 定理 4.6 (一致の定理 2) 領域 D で正則な関数 f (z) について, 点列 {zk }∞ k=1 が f (zk ) = 0, (k ∈ N), lim zk = α ∈ D k→∞ であれば,f (z) ≡ 0. 定理 4.7 (解析接続) ガンマー関数 Γ(z) を次で定義する. ∫ ∞ Γ(z) = tz−1 e−t dt, (ℜz > 0) 0 次が成り立つ. (1) Γ(z) = (z − 1)Γ(z − 1), (ℜz > 1) ( ) √ 1 (2) Γ(n) = (n − 1)!, Γ = π 2 (3) −1 < ℜz ≤ 0 となる z について, Γ(z) = Γ(z + 1) , z (−1 < ℜz ≤ 0) と定義して,次々と C 全体に解析接続すると,負の整数 {−n : n ∈ N ∪ {0}} は位数が1の極,他の点では 正則な関数に拡大できる. 5 偏角の原理 定義 5.1 f (z) が領域 D で有理型関数であるとは,全ての特異点が極でその特異点を除いた集合 D′ がまた領域で あるときをいう. (有理関数とは混同しないように!) 定理 5.2 (偏角の原理) 関数 f (z) た単一閉曲線 C で囲まれた領域 D で有理型であり,f (z) の零点と極とその位 数をそれぞれ, α1 , α2 , · · · , αm , s1 , s2 , · · · , sm β1 , β2 , · · · , βn , とすれば, 1 2πi ∫ C t1 , t2 , · · · , tn m n ∑ ∑ f ′ (z) tk − sj dz = f (z) j=1 k=1 9 定理 5.3 (Rouche の定理) 単一閉曲線 C で囲まれた領域 D で正則で,閉領域 D で連続な 2 つの関数 f (z), g(z) について,C 上で |f (z) − g(z)| < |f (z)| ならば,関数 f (z), g(z) の D 内と零点の個数は位数を込めて等しい. 定理 5.4 (逆関数) f (z) が z = z0 で正則で f (z0 ) ̸= 0 ならば,z0 のある開集合と w0 = f (z0 ) のある開近傍内の 点と 1 対 1 に対応しその逆関数 z = g(w) は,その開近傍で正則となり,次を満たす. g ′ (w) = 1 f ′ (z) 定理 5.5 (Weierstrass の定理) f (z) は 0 < |z − α| < ρ で正則(有理型でも良い)で,α で f (z) の真性特異点 ならば,∀ γ ∈ C に対して, 0 < ∀ δ < ρ, ∀ に対して ε > 0, ∃ z ∈ C : |z − α| < δ, |f (z) − γ| < ε 証明 もし命題が成立しないとする.すなわち, ∃ γ, ε0 , δ0 : ∀ z : |z − α| < δ0 , ならば |f (z) − γ| ≥ ε0 1 1 と定義すると,|φ(z)| ≤ , φ(z) ̸≡ 0 となる.ゆえに, 0 < |z − α| < δ0 の範囲で f (z) − γ ε0 φ(z) は正則な有界関数となる.従って,有界な関数 φ(z) では,z = α は除去可能な特異点となる. と仮定する.φ(z) = φ(z) = (z − α)n g(z), (g(α) ̸= 0) 1 となるので,z = α は f の n 位の極となる. (z − α)n g(z) これは,z = α が f (z) の真性特異点であることに矛盾する. (α が φ(z) の n 位の零点)とする.すると,f (z) = γ + 10
© Copyright 2024 ExpyDoc