2014/9/3 【解答と解説】 B (0 05 北海道大) 【難易度】 Ý S f(x) は最高次の係数が 1 の整式とする. Zn Zn n P (1) 自然数 n; m に対し, tm dt 5 km 5 (t + 1)m dt を示せ. 0 0 k=1 (2) f(x) の次数を r とするとき,次が成り立つことを示せ. 1 lim n!1 n r+1 n P k=1 f(k) = r 1 +1 n 1 P 1 (3) すべての自然数 n に対して n f(k) = 2 f(n) が成り立つような f(x) を求めよ. k=1 【テーマ】 :定積分と不等式 Ð S ] (1) は,不等式を用いて証明する方法もあるし,面積の大小関係から証明する方法もあります.(2) は,(1) の結 果を用いてはさみうちの原理で証明します.(3) は,(2) の結果を用いて求めます. g q | Ä D (1) 【証明】 k を 1 以上の自然数とし,0 5 k ¡ 1 5 t 5 k を満たす t を考えると,0 5 t 5 k 5 t + 1 が成り立つ.各辺は 正であるから, tm 5 km 5 (t + 1)m が成り立つ.この不等式は k ¡ 1 5 t 5 k で常に成り立つので,各辺を積分すると, Z k t dt 5 m k¡1 Z k k dt 5 m k¡1 Z k m k¡1 (t + 1) dt () であり,k = 1; 2; 3; Ý; n として辺々加えると, n P Z k k¡1 k=1 t dt 5 n P m k=1 k 5 n P m Z k m k¡1 k=1 (t + 1) dt () Z k k¡1 Z 0 t dt 5 k 5 m n m t dt 5 m n P k k¡1 k 5 m k=1 Z Z 0 (t + 1)m dt n (t + 1)m dt (証明終) となり,示された. (2) 【証明】 f(x) = xr + g(x) (g(x) は r ¡ 1 次の整式) とおくと, n n n n P P P P (kr + g(k)) = f(k) = kr + g(k) k=1 k=1 k=1 一方,(1) より, Z n Z k=1 n n 1 (n + 1)r+1 1 n r+1 5 P kr 5 r + r+1 1 0 0 k=1 k=1 n n n P P P 1 1 r+1 + g(k) 5 f(k) 5 r + 1 (n + 1)r+1 + g(k) r+1n tr dt 5 n P kr 5 k=1 n P 1 1 r + 1 + n r+1 が成り立つ. k=1 (t + 1)r dt () k=1 g(k) 5 k=1 1 n r+1 r+1 n P 1 #1 + 1 ; f(k) 5 r + 1 n k=1 + 1 n r+1 n P k=1 g(k) ÝÝ 1 g(x) は r ¡ 1 次の整式であるから,g(x) = ar¡1 xr¡1 + ar¡2 xr¡2 + Ý + a1 x + a0 とおくと, ¡40¡ C 大学受験・数学塾 管理人:makoto 2014/9/3 【解答と解説】 1 lim n!1 n r+1 n P g(k) = lim n!1 k=1 1 n r+1 n P k=1 (ar¡1 kr¡1 + ar¡2 kr¡2 + Ý + a1 k + a0 ) r¡1 r¡2 n n P a 1 ¢ ar¡2 P k; #k; # = lim $ n1 ¢ r¡1 + +Ý n k=1 n n k=1 n n!1 n2 n n 1 ¢ a1 P k + 1 ¢ 1 P < Ý + r¡1 r n k=1 n n n k=1 a0 n Z 1 i n a P #k; = ここで,i = 0; 1; 2; Ý; r ¡ 1 として, lim i ai xi dx であるから,これは定数である. n!1 n k=1 n 0 したがって, lim 1 n!1 n r+1 r¡1 r¡2 n n P a 1 ¢ ar¡2 P #k; #k; g(k) = lim $ n1 ¢ r¡1 + +Ý 2 n k=1 n n k=1 n n!1 n k=1 n n 1 ¢ a1 P k + 1 ¢ 1 P < Ý + r¡1 r n k=1 n n n k=1 a0 n n P =0 r+1 1 #1 + 1 ; r+1 n n P f(k) = 1 r+1 k=1 となる.また,1 において, lim n!1 lim n!1 1 n r+1 1 = r+ 1 であるから,はさみうちの原理より, (証明終) が示された. n P 1 1 f(k) = 2 f(n) の両辺を n r Ë 0 で割ると, (3) f(x) の次数を r とする. n k=1 n 1 P 1 f(n) f(k) = 2n r r+1 n k=1 となる.n ! 1 のとき,左辺は (2) より 1 r + 1 に収束し,右辺は f(x) の r 次の係数が 1 であることから, 1 に収束することがわかる.したがって, 2 1 = 1 () r = 1 r+1 2 となるので,f(x) = x + a とおくことができる.与えられた条件式は,すべての自然数 n に対して成り立つ ので,n = 1 のときも成立するため, 1 1 P 1 1 k=1 f(k) = 2 f(1) () f(1) = 12 f(1) () f(1) = 0 を得る.ゆえに,f(1) = 1 + a であることから a = ¡1 を得る.逆にこのとき, n n 1 P 1 P 1 S1 1 1 f(k) = n k=1 n k=1(k ¡ 1) = n ¢ 2 n(n + 1) ¡ nk = 2 (n ¡ 1) = 2 f(n) となり,与えられた条件式は,すべての自然数 n について成立するので,求める f(x) は, f(x) = x ¡ 1ÝÝ(答) } ~ q (1) は,最初に不等式を作って証明しましたが,y = xm のグラフをかいて面積の大小関係から示すこともできま す.(2) は,r ¡ 1 次以下の扱いをうまく処理する必要があります.n ! 1 とするとき,最高次の部分以外は 0 に 収束するということをきちんと説明する必要があります.解答では,区分求積法を用いて定積分を導き出し,それが 定数であることから 0 に収束することを示しています.(3) は,(2) の結果を用いることを考えます.f(x) が r 次 の整式という条件をあらかじめ述べておかなければ (2) の結果が適応できません.ここから次数を決定することに なります.最後は,すべての自然数 n について成り立つなら n = 1 でも成り立つので,そこから定数項を決定しま す.ただし,これはあくまで必要条件にすぎないので,十分性の証明をしなければいけないため,逆にすべての自然 数 n で成り立つことを確かめています. ¡41¡ C 大学受験・数学塾 管理人:makoto
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