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SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2014 年 9 月 3 日号ハイライト
乳児期の食事は免疫系に持続的な影響を与える
乳児期の食事は免疫系に持続的な影響を与える
Infant Diet Has Lasting Effects on Immune System
乳児の免疫系に対する母乳の影響が、授乳をやめた後も持続する可能性があることが、サル
を用いた新しい研究で示唆された。免疫に対する初期の食事の影響を理解することは、ワク
チンへの反応性が異なる人や、感染や自己免疫疾患にかかりやすい人がいる理由を解明する
うえで役立つ可能性がある。Dennis Hartigan-O’Connor と Amir Ardeshir らは、サルの乳児を
用いて、生後 6 ヵ月間の母乳栄養と人工栄養が免疫機能に与える影響を検討した。そして、
乳児期に母乳栄養または人工栄養を受けたサルでは、それぞれ、2 つの異なるタイプの免疫
系が発達し存続することに驚いた。この差は、離乳を行いサルに同じ食事を与えるようにな
った後 6 ヵ月経っても持続した。Hartigan-O’Connor らは、これらの免疫の差を、腸の共生細
菌(初期の食事によって形成される可能性がある集団)までたどった。
例えば、母乳栄養を受けたサルは、侵襲性 Salmonella 感染に対する防御に重要だと考えられ
ている免疫細胞型(Th17 細胞)を多く発達させている。Hartigan-O’Connor らによれば、理
論的には、生後間もなくこれらの細胞の成長を支える微生物叢を持たなかった人は、以後の
全身 Salmonella 感染に抵抗する能力が低い可能性がある。腸内共生細菌の一部は、代謝の副
産物として免疫促進物質を産生すると考えられている。全般的に、母乳栄養を受けた 6 ヵ月
齢から 12 ヵ月齢のサルは、人工栄養を受けたサルに比べて、共生細菌集団が豊富で多種多
様であった。例えば、Prevotella 属の細菌は、母乳栄養を受けた 1 歳のサルの方が有意に豊
富であったが、Clostridium 属の細菌は少なかった。この結果は、初期の食事により形成され
る腸内共生細菌が、その後の人生で感染にどのように反応するかに影響を与える、免疫系へ
の持続的な痕跡を残すことを示唆している。
Article: "Breast-fed and bottle-fed infant rhesus macaques develop distinct gut microbiotas and
immune systems," by A. Ardeshir; N. Narayan; G. Mendez-Lagares; D. Lu; K.K.A. Van Rompay; D.J.
Hartigan-O’Connor at University of California, Davis in Davis, CA; A. Ardeshir; N. Narayan; G.
Mendez-Lagares; D. Lu; K.K.A. Van Rompay; D.J. Hartigan-O’Connor at California National
Primate Research Center in Davis, CA; M. Rauch; Y. Huang; S.V. Lynch; D.J. Hartigan-O’Connor
at University of California, San Francisco in San Francisco, CA.