RUBeC 演習に参加して

特集
学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 11
RUBeC 演習に参加して
平
井 良 児
Ryoji HIRAI
物質化学専攻修士課程
2年
び,最終日に英語で 6 分間のプレゼンテーションを
1.はじめに
行いました.授業初日に出された課題が 2 分間のス
私は,8 月 15 日(日)から 8 月 31 日(月)にか
ピーチであり,途中で何度も詰まりながらもなんと
けての 2 週間,アメリカのカリフォルニア州にある
か発表することができました.また,英語の発音や
RUBeC(Ryukoku University Berkeley Center)で行
聴き取りは非常に難しく,何度も練習することが必
われた RUBeC 演習を受講しました.
要だと実感しました.しかし最終日の発表では,最
初のスピーチや授業で学んだことを意識しながら発
2.演習内容
表することができ,自分でも大きく力をつけること
RUBeC 演習は,月,火,木,金曜日は「テクニ
ができたと実感することができました.
カルライティングⅡ」および「プレゼンテーション
特論Ⅲ」,水曜日は「プロジェクト企画特論Ⅱ」を
行うというプログラム構成でした.
2. 3
プロジェクト企画特論Ⅱ
プロジェクト企画特論Ⅱでは,San Francisco Fire
Department, Clean Technology, Teridian, California
2. 1
テクニカルライティングⅡ
Public Utilities Commission の 4 社を訪問し,環境問
テクニカルライティングⅡでは,授業を通して文
題に関わる取り組みを中心とした講演を聴かせてい
章の構成や注意するポイントなどを,課題として提
ただきました.
出した論文やレポートなどの添削を通して正しい文
2. 3. 1
San Francisco Fire Department(SFFC)
法などを学びました.始めのうちは文法や単語のミ
SFFC では,署内におけるエネルギー効率の向上
スも多く,これまで英語でエッセイを書く機会があ
やリサイクルに関する取り組みの話を聴かせていた
まりなかったため短い文しか書けませんでしたが,
だきました.エネルギー効率については,行政から
授業終盤ではミスも少なくなり,文章もより長い文
節約の指示を受けたり,施設を改善したりすること
が書けるようになりました.また,そうしたエッセ
で,実際によい結果を出しているそうです.また,
イを書く上で,文章を書き始める前にあらかじめア
サンフランシスコのリサイクルは,日本のような中
イディアを書き留めること(Brainstorming)が重要
途半端なものではなく,罰金を課すなどの非常に徹
であるということを学びました.
底したものとなっていました.日本もこうした取り
組みを行う必要があるのではないかと思いました.
2. 2
プレゼンテーション特論Ⅲ
2. 3. 2
Clean Technology(Cleantech)
プレゼンテーション特論Ⅲでは,英語の発音やイ
Cleantech は,洗浄・汚染減少技術の提供やその
ントネーション,L と R の違いなどの聴き取り,
発展のための投資を行っている会社でした.発生し
プレゼンテーションをする上で必要なことなどを学
た問題の解決ではなく,発生しうる問題の根本から
― S-19 ―
の解決のため,データの調査や情報の共有を行って
を出して実行させることによって,州全体の環境,
いるそうです.こういった情報を提供する会社があ
エネルギー問題に取り組んでいるそうです.個々の
ることによって,各企業の環境への取り組みもしっ
会社で対策を練っていくのにはやはり限界があると
かりしたものになるのではないかと思いました.
思うので,CPUC のような行政機関の補助は非常に
2. 3. 3
役に立つのではないかと思いました.
Teridian
Teridian は,電力消費量測定のためのチップを開
発している会社でした.このチップを用いること
3.ホームステイについて
で,各企業のデータセンターから一般家庭の電力消
RUBeC 演習中は,参加者が 1∼3 人ごとに別れて
費量を測定することができ,電力節約に大きく貢献
ホームステイをしました.教科書で学ぶような「死
することができるそうです.無駄な電力消費を完全
んだ英語」ではなく,実際に家族と話したりするこ
にカットできると聴き,コストダウンを計るには非
とによって「生きた英語」に触れることができまし
常に有効なツールではないかということを感じまし
た.ホームステイ先の方も,私たちが聞き取りやす
た.
いようゆっくりと話したり,あまりうまく話すこと
2. 3. 4
ができない私たちの言葉に耳を傾け,意図を汲み取
California Public Utilities Commission
ったりして下さいました.毎晩の夕食の団欒はとて
(CPUC)
CPUC は,公益サービス提供の安定化とコスト管
も楽しいものとなりました.休みの日には車を出し
理などを行う行政機関でした.カリフォルニア州の
ていただき,フィッシャーマンズワーフの観光やサ
温室効果ガス排出や,エネルギー効率の管理や指導
ンフランシスコ周辺のドライブ,スーパーでの買い
を行っており,各企業の問題に対するプランに予算
物など,いろいろな場所へ連れて行っていただきま
した.アメリカの文化や,そこに住む人々の生活を
実際に見たり感じたりすることができ,非常によい
経験をすることができたと思います.
4.おわりに
RUBeC 演習を通して,実際に目で見て,耳で聞
き,肌で感じることで,様々なことを学び,経験す
ることができました.参加するにあたり不安もあり
ましたが,参加して本当によかったと思います.こ
うした貴重な機会を与えてくださった多くの方々に
図1
CPUC での講演風景
深く感謝いたします.
― S-20 ―