「ノロウイルス食中毒予防について」 Q 本日は、ノロウイルス

「ノロウイルス食中毒予防について」
Q 本日は、ノロウイルスによる食中毒の予防に関するお話を伺います。よろしくお願い
します。
A よろしくお願いします。
Q ノロウイルスというと、寒い時期に流行する感染症というイメージがあるのですが、
食中毒の原因にもなるそうですね。
A そうです。確かに、ノロウイルスは感染症なのですが、食品を介して感染が広がる場合
は、食べた人が健康被害を受けてしまうので食中毒として扱われます。
Q なるほど。食品が原因でノロウイルスに感染した場合は、食中毒になるのですね。
では、ノロウイルスが原因で発生した食中毒の状況を教えていただけますか?
A はい。過去5年間のデータを見てみますと、県内では102件の食中毒事件が発生して
おりますが、その中で、ノロウイルスを原因とする事件は23件、全体の22.5%を
占めています。
Q 県内の食中毒事件の2割以上が、ノロウイルスによるものなのですね。
A はい。また、県内では、過去5年間で2,240名の方が食中毒事件の被害に遭われて
いらっしゃいますが、そのうち、ノロウイルスを原因とするケースに遭遇された方は
1,181人で、全体の52.0%となっています。
Q 県内の食中毒事件に遭われた方のうち、半数以上がノロウイルスによるものだという
ことですね。発生時期については、感染症と同様に、冬と考えてよろしいのでしょうか。
A 先ほどお話しさせていただいたとおり、過去5年間に、ノロウイルスによる食中毒事件
は23件発生し、1,181名の方が被害に遭われておりますが、そのうち、18件が1
0月から3月に発生し、1,054名の方が被害に遭われています。しかし、それ以外の
月についても、散発的に発生しておりますので、注意が必要です。
Q 冬以外の時期も、注意が必要ということですね。
ところで、発生状況等をお伺いしておりますと、ノロウイルスによる食中毒は、件数と
比較して、被害に遭われた方の数が多いように思えますね。
A はい、その通りです。ノロウイルスは、他の食中毒菌やウイルスと比較して、感染力が
非常に強く、一旦、ノロウイルスに感染した方が出てしまうと、その方の職場や家庭で、
他の方も感染してしまうという事例が多く見られます。ノロウイルスは非常に小さなウイ
ルスで、直線状並べると、1mm の間に約3万個並べることができるそうです。
そのように小さなウイルスですが、そのウイルスが人間の体内に入った個数が100個
以下であっても、感染すると言われています。
Q なるほど。少量のノロウイルスでも、体の中に入れてしまうと、感染する恐れがあると
いうことですね。
ところで、ノロウイルスに汚染されている恐れがある食品とは、具体的にはどういった
ものでしょうか?
A ノロウイルスに汚染されている可能性が高い食品は、第一に、二枚貝が挙げられます。
Q 二枚貝というと、牡蠣やあさり、はまぐりなどの、貝がらが2枚合わさっている形の貝
のことですね。
A そうです。二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出
水管から排水しながら生活していますが、実はその海水の中には、微量のノロウイルスが
含まれています。
海水に含まれるノロウイルスは、プランクトンと同様のメカニズムで二枚貝の中に
取り込まれ、体内で分解されず、徐々に蓄積されていきます。その二枚貝を生や加熱
不十分な状態で食べた場合、ノロウイルスに感染する可能性があります。
また、料理の材料となる食品そのものが汚染されていなくても、食品に触れる調理器具
がノロウイルスに汚染されている場合や、食品を調理する人が感染している場合、調理の
段階で汚染が起こる可能性があります。
ノロウイルスは先ほどお話し申し上げた通り、かなり小さいウイルスなので、ほんの
少しの衝撃でホコリのように舞い上がり、周囲を汚染します。また、ノロウイルスに汚染
されている食品、例えば二枚貝を調理した後の洗浄不十分な調理器具や、ノロウイルスに
感染している人が素手で食品にほんの少し触れただけで、その食品を介して汚染が広がり、
最終的に食中毒が起こってしまうことがあるのです。
Q それは恐ろしいですね・・・。
しかし、二枚貝を調理しなければ、調理器具がノロウイルスに汚染されることはあり
ませんし、ノロウイルスに感染した具合の悪い人が調理をしなければ、食品が汚染される
ことはないのではないですか?
A ところが、それだけが食中毒の原因となるのではありません。
ノロウイルスに感染しても、症状がなく、具合が悪くならない場合もあります。そう
いった状態の方であっても、便などからノロウイルスを輩出していますので、素手で食品
に触れるなどすると、やはり食品を汚染してしまいます。
Q ノロウイルスに感染していても、症状が出ない場合もあるんですか?
主婦の方や料理人の方など、毎日のように料理をする方がそのような状態になって
しまった場合は、とても危険ですね・・・。
A はい。そういった方は感染している自覚がないわけですから、調理のたびに食品にノロ
ウイルスを付着させてしまう恐れがありますので、大変危険だと思います。
Q ノロウイルスによる食中毒を予防するには、どうしたらよいのでしょうか?
A 食中毒予防の基本として、
「つけない」
「増やさない」
「やっつける」という三原則が
あります。基本的には、その三原則に則って対策を行っていただきたいと思います。
Q わかりました。では、早速なのですが、
「つけない」とは、どのようなことを行えば
よいのでしょうか?
A まず、食品にノロウイルスを「つけない」ために重要なことは、手洗いを徹底すること
です。調理する前、調理の合間、トイレに行った後、ごみを触った後など、作業の区切り
に手を洗う習慣をつけることが大切です。正しい手洗いの方法については、
「にいがた食
の安全インフォメーション」ホームページ内に掲載しておりますので、ぜひ検索して、確
認していただきたいと思います。
次に重要なことは、調理器具を使いまわさないことです。調理器具は同じものを何度も
洗って使うより、複数のものを使い分ける方が、より衛生的に調理ができます。生の食材
に触れた調理器具を、そのまま盛付けに使用したり、生のまま食べる食品の調理に使用す
るのはやめましょう。
Q なるほど。わかりました。
A 更にもう一点重要なことは、ノロウイルスに感染したと思われる症状がある方が調理に
携わらないことです。具合の悪いときは、速やかに受診し、医師の指示に従ってください。
無理をして調理に従事すると、却って食品にノロウイルスを付着させ、食中毒を発生させ
てしまう可能性があります。身の回りにノロウイルスに感染した方がいる場合など、自覚
症状がなくても自分が感染しているかもしれないという方については、感染を広げないた
めにも、調理に携わらないようにしてください。
Q 良かれと思ったことが、大変な事件を引き起こしてしまう場合があるということですね。
無理は禁物です。気を付けましょう。
次に、
「増やさない」ですが、これはどのように対応すればよろしいのでしょうか?
A 一般的に、食中毒の原因となる微生物は、保存温度が 10℃以下や 65℃以上だと増殖
しにくく、20~50℃前後で増殖しやすくなるという特徴を持つものがほとんどですので、
食中毒の原因となる微生物を「増やさない」ためには、調理前の食材や調理済みの食品を、
冷蔵庫等で微生物が増殖しにくい適切な温度で保管していただく、調理済み食品で温かい
まま提供するものであれば、65℃以上で保温していただくことが重要となります。
また、食材は新鮮なうちに早めに使い切っていただく、調理済み食品であれば、調理後
2 時間を過ぎると微生物の増殖が活発化する傾向にありますので、調理後はなるべく早く
食べていただきたいと思います。
しかし、ノロウイルスの場合は、原則としてヒトなどの腸管内の細胞でのみ増殖すると
されていますので、
「増やさない」ようにする対策は、ほとんど効果がありません。
Q ノロウイルスの場合は、他の食中毒菌などと違い、
「増やさない」に重点を置かなくて
もよいということでしょうか?
A いえ、食中毒の原因となるのはノロウイルスだけではありませんので、
「増やさない」
対策は怠らないようにしていただきたいと思います。
Q わかりました。では、3番目の「やっつける」について、教えてください。
A 「やっつける」というのは、具体的には殺菌する、ということなのですが、ノロウイル
スを殺菌するには、加熱又は薬剤による殺菌が効果的です。
Q 加熱と、薬剤による殺菌ですか。
A はい。加熱の場合、ノロウイルスは、85~90℃で 90 秒間以上加熱すると死滅します。
他の食中毒菌なども、この温度でほぼ殺菌することができます。
食品の場合、中心温度が 85~90℃になった状態で 90 秒間加熱していただきたいのです
が、最初から強火で加熱すると、揚げ物や焼き物の場合は外側が焦げたり、煮物の場合は
味が染み込む前に食材が硬くなったりしますので、中火から弱火で長時間加熱するなど、
加熱方法を工夫して、中心部までよく火が通るようにしてください。
Q なるほど。お料理には、衛生の確保だけでなく、おいしさの確保も大切ですからね。
薬剤による殺菌の場合には、どのような薬剤を使用するのでしょうか?
A 次亜塩素酸ナトリウムという薬剤です。これは、布巾や茶碗などを漂白するための家庭
用漂白剤に高濃度に含まれています。家庭用漂白剤を適当な濃度に薄めて使うことで、ノ
ロウイルスを殺菌することができます。この方法は、調理器具やふきんなどを殺菌するの
に向いています。
新潟県の「にいがた食の安全インフォメーション」ホームページ内に、使用済みのペッ
トボトルを使ったつくり方が、ノロウイルス食中毒の予防対策と併せて掲載されておりま
すので、ぜひ検索してみてください。
Q 家庭でペットボトルを使って作ることができる、というのはわかりやすいですし、分量
を間違えることなく作れそうですね。
A そうですね。ぜひ、ホームページを見て、作り方を覚えていただいて、活用していただ
きたいと思います。
Q 今回は、ノロウイルスによる食中毒の予防について、お話していただきました。
ありがとうございました。
A ありがとうございました。