国際経済論Ⅰ リカード・モデル(2) ~技術格差と賃金格差~ 国際経済論Ⅰ 相対賃金の決定 A国が工業品に比較優位を持つ時 A国の 閉鎖経済時の 工業品の 相対価格 A p工 p 農 a LA工 a LA農 a LB工 a LB農 p工 p 農 B B国の 閉鎖経済時の 工業品の 相対価格 自由貿易時に、A国は工業品、B国は農産品に完全特化 A A 工業品の国際価格 p工 w a L工 B B p w a L農 農産品の国際価格 農 + A A p w 自由貿易時の 工 a L工 B B p w a L農 国際相対価格 農 国際経済論Ⅰ 相対賃金の決定 両国の閉鎖経済時の相対価格と自由貿易時の国際相対 価格との関係 A + B p工 p工 p工 p p p 農 農 農 a LA工 a LA農 w A a LA工 w B a LB農 a LB工 a LB農 自由貿易時における a LB農 w A a LB工 (A国のB国に対する) a A w B a A L工 L農 相対賃金の範囲 国際経済論Ⅰ 相対賃金の決定(数値例) 工業品の 労働投入係数 農産品の 労働投入係数 A国 1 2 B国 2 1 工業品の 労働投入係数 農産品の 労働投入係数 A国 1 2 B国 6 3 1 wA B 2 w A国の賃金がB国の賃金 水準を上回るかどうかは 2 国際相対価格(交易条件) によって決まる 必ずwA>wBとなる A 3 w B 6 2 w ある国がすべての財に ついて絶対優位を持つ とき、貿易相手国に 比べて労働賃金は 必ず高くなる 国際経済論Ⅰ 各国の米国に対する労働生産性と 賃金率との関係 120 100 米国 ( 賃 金 率 米 国 = 1 0 0 スウェーデン 80 60 日本 台湾 ) シンガポール 40 チリ 韓国 中国 20 メキシコ トルコ 0 0 20 40 60 80 100 120 労働生産性(米国=100) (出所)UNCTAD, Trade and Development Report, 2002 国際経済論Ⅰ 多数財モデルにおける比較優位 自動車 A国 B国 繊維製品 20 電機製品 化学製品 農産品 5 70 倍 10 12 10 40 倍 50 倍 15 倍 400 600 150 20 倍 1400 100 両国の労働投入係数 各産業の絶対優位の程度を両国で比較 自動車 化学製品 電機製品 繊維製品 農産品 A国の絶対優位の度合いが高い B国の絶対劣位の度合いが低い ⇒A国が比較優位を持ちやすい ⇒B国が比較優位を持ちやすい 国際経済論Ⅰ 多数財モデルにおける貿易構造と賃金格差 労働生産性 B国が生産するためには 賃金格差が70倍以上 格差 なければならない 70倍 A国が生産・輸出 B国が生産・輸出 A国とB国の 賃金格差は 20倍以上40倍以内 50倍 40倍 B国が生産するためには 賃金格差が15倍以上 なければならない 20倍 15倍 産業 自動車 化学 製品 電機 製品 繊維 製品 農産品 国際経済論Ⅰ 労働賦存量の変化と賃金格差 労働生産性 格差 LB B国の相対労働賦存量 A 増加 L 70倍 A国とB国の賃金格差は 40倍以上50倍以内へ 50倍 40倍 20倍 15倍 産業 自動車 化学 製品 電機 製品 繊維 製品 農産品 国際経済論Ⅰ 比較優位に関する誤解 誤解1 自由貿易が有益なのは、自分の国の競争力が外国よりはるかに 優れている場合だけである 工業品の 農産品の 労働投入係数 労働投入係数 A国 B国 1 6 2 3 工業品も農産品も絶対劣位にあるB国は自由貿易によって利益を 得ることはできないのか? 国際経済論Ⅰ 比較優位に関する誤解 誤解2 低賃金に基づく外国との競争は不公正であり、他の国々に損害 を与える 工業品の 農産品の 労働投入係数 労働投入係数 A国 B国 1 6 2 3 3 wA B 6 2 w B国の賃金はA国の賃金の 1/6~2/3の水準 低賃金のB国との貿易によってA国は損失を被るのか? 国際経済論Ⅰ 比較優位に関する誤解 誤解3 その国の労働者に支払われている賃金が他の国の労働者よりも ずっと低いとしたら、貿易はその国を搾取し、暮らし向きを悪化させ ている。 工業品の 農産品の 労働投入係数 労働投入係数 A国 B国 1 6 2 3 3 wA B 6 2 w B国の賃金はA国の賃金の 1/6~2/3の水準 低賃金のB国はA国との貿易によって損失を被っているのか? 国際経済論Ⅰ 農産品 A国とB国の生産可能性曲線 農産品 A国 B国 A p 1 工 p 2 農 工業品 A p工 1 2 p工 p p 2 農 農 B p工 2 p 農 工業品 B A国は工業品、B国は農産品に 比較優位を持つ 国際経済論Ⅰ 貿易利益の実現 農産品 A国 貿易利益 農産品 農産品に 完全特化 + p工 p 農 国際 相対 価格 工業品 B国 貿易利益 + p工 p 農 国際 相対 価格 工業品 工業品に完全特化 貿易によってA・B両国は共に貿易利益を得ることができる (絶対優位を持つ産業がなくても貿易利益を得ることは可能)
© Copyright 2025 ExpyDoc