事例:№ 28 低コストで効率的な素材生産を行っている林業事業体の活動事例 都道府県名: 長崎県 担当部署: 長崎林業事務所 1.林業事業体名 長崎南部森林組合諫早支所 2.林業事業体の概要 ①年間素材生産量 1,700 m3 (うち 間伐の占める割合95%) ②生産する主な樹種 スギ及びヒノキ(割合は 30:70) ③素材生産に関わる作業員数 12名(1セット6名プロセッサ等は相互利用) 3.活動の特徴 ・ 高性能林業機械の稼働率向上と計画的な生産・販売を実現するため、利用間伐 を主体とした団地化を諫早市小長井町田原地区で推進し、平成18年度から4 年間で104.8 ha を実施する全体計画を立案し実施している。 団地化の推進に当たっては、下記のとおりである。 ・ 人材育成:導入時期からプロセッサのオペレータを泉林業(株)へ実践的な技 術を習得させるため、長期の研修へ派遣した。また、職員においても京都府日 吉町森林組合を招いた研修に参加するなど、提案型森林施業プランの提示によ る受託契約促進に取り組んでいる。 ・ 機械化:列状間伐を積極的に行い、スイングヤーダとタワーヤーダによる架線 集材を主体とし、作業道に集積した材をプロセッサで造材し、ホイール式フォ ワーダ(1.5t 積み)により土場まで運材している。 ・ 低コストで壊れない作業道:長伐期施業に対応した2巡目以降の間伐を想定し、 路面排水を考慮した縦断線形、谷部における洗い越し、現地発生の転石、根株 を有効に利用した盛土部の補強などを行っている。 ・ 有利な販売:更なる団地化の推進により、今後、安定的な生産量が期待される ことから、全国的な新生産システムに応じた将来の販売戦略を模索するため、 試行的に大規模製材工場への直接販売にも取り組んでいる。 4.高性能林業機械等を活用した作業内容 ①素材生産用保有機械 スイングヤーダ 1台、プロセッサ 1台、ホイール式フォワーダ 1台 ミニグラップル 1台、 ②主に取り入れている作業システム等 作業道(路)の作設:作業路については幅員3m、作設単価 1,500 円/mであり、 切・盛土を抑えて、排水処理の重視、必要最小限の伐開幅としている。 - 55 - 伐倒:チェーンソーによる先行伐倒。 集材:タワーヤーダとスイングヤーダによる列状での集材。 造材:プロセッサによる造材。なお、造材木は道端はい積み。 運材:作業路端に並べられた造材木をホイール式フォワーダあるいはグラップ ル+トラックにより土場まで運材する。 特徴:各功程は、流れ作業で行っており、作業ポイントは設置せず、作業路全体 を山土場として機能させ効率的な作業を実施。 ③労働生産性:間伐 2 ~ 3m3 /人・日 〔参考〕旧作業システム(集材機集材+チェーンソー造材)間伐1~2m3/人・日 ④素材生産コスト(トラック運材費を除く ):間伐 10,000 円/m3 〔参考〕旧作業システム:間伐 14,000 円/m3 5.素材生産の低コスト化による成果と可能性 ・ 団地化(施業協業化)によって、これまで 1 施業地が、おおむね3 ha 程度で あったものが、23 ha(森林所有者5名+市有林)をまとめて行ったことによ り、事業コストを 14,000 円/m3 から 10,000 円/m3 へ、約 3 割低減することが 出来た。また、テレビ・新聞等のマスコミで取り上げられたことで、山に対す る森林所有者の関心と森林組合への期待が高まり、職員並び作業班のモチベー ションも高揚した。一方、これまで収入をあきらめていた、森林所有者に対し、 利益を還元できたことにより、さらなる事業拡大が期待される。 ・ 高性能林業機械による作業システムは定着しているが、さらなる生産性の向上 を図るため、平成19年度、クローラ式フォワーダ(4t 積み)を購入する予定 である。 ・ 緩傾斜地においては、作業道開設への県・市の補助制度を活用し、高密度路網 を構築し、車両系による作業システムを検討し生産性を向上していく考えである。 作業道開設状況 ホイール式フォワーダによる運材 プロセッサによる造材 諫早支所の作業システム - 56 - 団地化の新聞記事 - 57 -
© Copyright 2024 ExpyDoc