スライド 1

海峡両岸経済協力枠組取決め(概要)
海峡両岸経済協力枠組取決め(ECFA)
中国・ASEAN間のFTAが本年発効されるなど、アジア太平洋地域の経済連携が進む中、中国経済と連携することで台湾経済の孤立化を回避し、
さらにECFAから日本、米国、シンガポール等の主要貿易相手国とのFTAに繋げたい意向。アジア地域におけるプレゼンス向上・競争力強化が期
待される。台湾にとって6つ目のFTAとなる。2010年9月12日に発効。
交渉の経緯
その他
8%
2009年2月
精密機械等
馬英九総統がECFA締結の
16%
必要性につき言及。
車両・航空機・船舶等
1%
交渉立ち上げのための個
IT・通信製品
別・共同研究の開始を決定 1%
電機製品
鉱物
2%
2009年12月
正式交渉開始決定
2010年1月
第1回ECFA協議開催
@北京
2010年3月
第2回ECFA協議開催
@桃園(台湾)
2010年6月
第3回ECFA協議開催
@北京
2010年6月24日
両岸窓口機関による
準備会合開催@台北
2010年6月29日
ECFA締結@重慶
鉱物
4%
その他
18%
中台間の貿易構造
プラスチック製品
10%
化学品
11%
繊維衣料製品
3%
宝石等
5%
精密機械等
6%
台湾→中国
837億米ドル
繊維衣料製品
4%
ECFAの内容は、総則、貿易と投資、経済協力、
アーリーハーベスト、その他(紛争処理等)の
5章16条、5つの付属文書から構成される。
機械
4%
中国→台湾
255億米ドル
車両・航空機・船舶等
2%
金属製品
7%
4%
2009年7月
台湾側がECFAの経済影
響に関する報告を発表
化学品
9%
電子製品
34%
2009年台湾貿易統計
台湾から中国への輸出の約16.1%、
約138.4億ドルが対象
2011年1月から
2年・3段階に分けて
関税をゼロに
引き下げ。
金属製品
5%
IT・通信製品
11%
電機製品
8%
電子製品
21%
機械
6%
2009年台湾貿易統計
中国から台湾への輸入の約10.5%、
約28.6億ドル超が対象
中国側のアーリーハーベストの主な内容
■物品:539項目 ※
鉱工業品(521項目)
・石油化学(88項目) ・機械(107項目) ・繊維(136項目)
・輸送用機器(50項目) ・その他(140項目)
農産品(18項目)
・台湾農漁産品
■サービス業(11項目)※WTO PLUS
①会計・監査サービス、②コンピューターサービス、③自然科学・エンジニア
リング研究開発、④会議サービス、⑤専門デザインサービス、⑥台湾映
画の輸入枠撤廃、⑦病院サービス、⑧航空機メンテナンス、⑨保険業、
⑩銀行業、⑪証券・先物業
台湾側のアーリーハーベストの主な内容
■物品:267項目
鉱工業品(267項目)
・石油化学(42項目) ・機械(69項目) ・繊維(22項目)
・輸送用機器(17項目) ・その他(117項目)
農産品
・中国からの農産品の輸入は未開放。
■サービス業(9項目)※WTO水準
①研究開発サービス、②会議サービス、③展示サービス、④特製品デザ
インサービス、⑤中国映画と共同製作、⑥ブローカーサービス⑦スポーツ・レク
リエーション、⑧空運サービス業・コンピューター予約システム、⑨銀行業
■労働者の移動
・中国からの労働者の来台は未開放。
※2009年関税分類による。なお、2011年関税分類では557項目に
変更。但し、品目の内容には変更なし。
※2009年関税分類による。なお、2011年関税分類では268項目に変
更。但し、品目の内容には変更なし。
※経済部発表資料、各種報道より交流協会台北事務所作成
1
アーリーハーベストの概要(物品)
中国側開放項目
分野
農産品
(18項目)
石油化学
(88項目)
台湾側開放項目
品目
活魚、エノキタケ、バナナ、オレンジ、メロン、ドラゴンフルーツ、茶葉、蘭等
・基礎原料:航空燃料、プロピレン、キシレン等
・特殊化学品:界面活性剤、樹脂、接着剤等
・プラスチック原料:ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン等
・プラスチック製品:ボード、フィルム、人工皮革等
・工作機械:金属切削NC旋盤、NCドリル、ポリッシングマシン等
機械
・産業機械:紡織機械、印刷機、ゴム・プラスチック加工機等
(107項目) ・その他機械:ポンプ類、流体機械、切断機等
・機械部品:バルブ、コンプレッサー、ベアリング等
・繊維川中・川上:綿生地、綿・化繊混紡生地、再生繊維生地等
繊維
・繊維川下:特殊紡織品、メリヤス、不織布等
(136項目) ・繊維製品:袋・バック・箱、シャツ、水着、靴下、下着、タオル等
・靴類:鞋表、ゴム・プラスチック製外底、靴部品等
輸送用機器 ・自動車:ギアボックス、ホイール、バンパー等を含む自動車部品
(50項目) ・自転車:自転車完成品、部品
・鉄鋼:熱延コイル、ワイヤー、ステンレス等
・セメント:クリンカー、白色セメント等
・染顔料:酸性染料、直接染料、反応染料・製品等
・運動器材:ゴルフ用具等
・医療器材:人造関節、フィットネス機器、リハビリ機器等
・精密機器:測量機器等
・金型:金属ダイス、金属パターン等
その他
・金属製品:アルミ・アルミ製品、銅・銅箔製品等
(140項目)
・ガラス:液晶ディスプレー用ガラス
・ゴム:自動車・自転車・自動二輪車用タイヤ
・ペンキ・インク:ペンキ、絶縁塗料、印刷用インク等
・電子:カメラ・プロジェクター用レンズ、デジカメ部品、マイク等
・電気:変圧器部品、リチウムイオン電池、マイクロモーター等
・小物家電:バキュームクリーナー、食品研磨機、アイロン等
・工具:プライヤー、モンキーレンチ、ハンマー、ドライバー等
中国側関税引き下げスケジュール
EH実施1年目 EH実施2年目 EH実施3年目
2009年輸入税率
(2011/1/1)※ (2012/1/1)※ (2013/1/1)※
0~5%以下
無税
5%超~15%以下
5%
無税
15%超
10%
5%
無税
※双方の手続きが2010年内に完了した場合
分野
品目
石油化学
(42項目)
・基礎原料:燃料油、オイルコークス、ギ酸等
・特殊化学品:カーボンブラック、界面活性剤、樹脂等
・プラスチック原料:ポリプロピレン、イノアック、ポリカーボネート等
機械
(69項目)
・産業機械:熱処理機器、紙処理機器、ゴム・プラスチック加工機等
・機械部品:圧縮機、ファン、バルブ、ベアリング等
・その他機械:シリンダー、エアシリンダー、オフィス機器等
繊維
(22項目)
・繊維川中・川上:綿糸、綿布、合繊綿等
・繊維川下:不織布、ナイロン、PU合成皮革等
輸送用機器 ・自転車:自転車完成品、同部品
(17項目) ・その他車両:ベビーカー、同部品
・化学品:無機化学品、有機化学品、芳香剤等
・染顏料:酸性染料、その他合成有機顏料等
・運動器材:ゴルフ用具、体操・競技用具・設備等
・精密機械:機器・器具の部品
・金型:押出ダイス等
その他
・金属製品:鉛の板、シート、ストリップ等
(117項目) ・ゴム・プラスチック:大小バス・自転車用タイヤ等
・ガラス:その他鉛水晶ガラス、道路標識、信号機用ガラス等
・娯楽設備:遊技場のターンテーブル、ブランコ、射撃場の設備等
・電子:テレビカメラ、電球、テレビカメラ用レンズ等
・電機:交換式電源供給機、その他モーター、蓄電池等
・その他:眼鏡、腕時計、歯ブラシ等
その他(伝統産業)・農産品
・タオル、アパレル、靴など台湾側の伝統産業に衝撃を与える品目は開放しない。
・現在、中国からの輸入を禁止している830項の農産品は制限を維持し、開放しない。
既に大陸からの輸入を開放している1,415項の農産品は関税引き下げを行わない。
台湾側関税引き下げスケジュール
EH実施1年目 EH実施2年目 EH実施3年目
2009年輸入税率
(2011/1/1)※ (2012/1/1)※ (2013/1/1)※
0~2.5%以下
無税
2.5%超~7.5%以下
2.5%
無税
7.5%超
5%
2.5%
無税
※双方の手続きが2010年内に完了した場合
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アーリーハーベストの概要(サービス分野)
中国側開放項目
台湾側開放項目
研究開発サービ 中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店等の形で商業拠点を
ス業
設立し、研究と開発サービスを提供する。
会計・監査サー 台湾の会計事務所が中国で臨時の監査を実施する場合の停留期間は、1年まで延長
ビス業
できることとする。
コンピューターサービ 台湾サービス提供者が、中国で独資企業を設立し、ソフト実施サービスとデータ処理サービスを
ス業
提供する。
自然科学・エン
非 ジニアリング研究 台湾サービス提供者が、中国で合弁、提携或いは独資企業を設立し、自然科学・エンジニ
アリング研究と実験開発サービスを行う。
金 開発
融
サ 会議サービス業 台湾サービス提供者が、中国で独資企業を設立し、会議サービスを提供する。
ー
ビ 専門デザインサー 台湾サービス提供者が、中国で合弁、提携或いは独資企業を設立し、専門的なデザイン
サービスを行う。
ス ビス業
業 台湾映画の輸
台湾映画の中国主管部門の審査通過後、輸入割当制限なく中国で放映。
入枠撤廃
台湾サービス提供者が、中国で合弁、提携病院を設立し、上海市、江蘇省、福建省、広
病院サービス業
東省、海南省では独資病院を設立する。
航空機メンテナン
台湾サービス提供者が、独資或いは合弁の形で中国の航空機メンテナンス業に投資する。
ス業
保険業
金
融
サ 銀行業
ー
ビ
ス
業
証券・先物業
・中国における外資の保険会社の参入条件である「532条件(資本金50億米ドル以
上、設立して30年以上経過、中国での事務所設置2年以上経過)」について、台湾の
保険業者に適用する場合は、保険会社単体ではなく金融企業グループ全体として要
件を満たしているかで判断する。
・中国において台湾の銀行が支店又は独資で子会社を設立し営業を申請するために
は、事務所設置後1年以上の経過しなければならない。
・中国において台湾の銀行の支店等が人民元業務の申請を行うためには、支店等設
置後2年以上の経過かつ申請前の直近1年の業績が黒字でなければならない。
・中国において台湾資本の企業に対する人民元業務の申請を行うためには、支店等
設置後1年以上の経過かつ申請前の直近1年の業績が黒字でなければならない。
・台湾の金融機関は、小企業向けの金融サービス専門機関を設置することができる。
・台湾の金融機関が、中国の中西部及び東北部での支店等の設置申請を行う場合
は、優遇して取り扱う。
・ 支店等設置の際の黒字か否か審査に当たっては、支店をまとめて全体で判断す
る。
会議サービス業
非
金
融
サ
ー
ビ
ス
業
中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店等の形で商業拠点を
設立し、会議サービスを提供する。
中国企業又は事業機関、展示会関係の団体又は基金会等が来台し、台湾展示会産
展示サービス業 業企業、公会、商会、協会等団体と専門展示会を共催する。但し、関連規定に合致す
ることが必要。
特製品デザイン
中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店等の形で商業拠点を
サービス業、室
設立し、オーダー製品のデザインサービスを提供する。
内設計を除く
中国映画と共 中国の映画が台湾主管機関の審査通過後、毎年10部に限り、台湾商業上映が可
同製作
能。また、中国映画を台湾で上映する場合、映画関係法規に合致することが必要。
ブローカーサービス 中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店設立等の形で商業拠
業、動物を除く 点を設立し、ブローカーサービスを提供する。
スポーツ・レクリエー 中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店を設立する等の形で
ションサービス業 商業拠点を設立し、スポーツレクリエーションサービスを提供する。
空運サービス業・
中国サービス提供者が、台湾で独資、合弁、パートナーシップ及び支店を設立する等の形で
コンピューター予約
商業拠点を設立し、コンピューター予約システムサービスを提供する。
システム
金
融
サ
ー 銀行業
ビ
ス
業
・中国資本の銀行が台湾での支店設置の申請する場合は、台湾に事務所を設置して
から1年を経過しなければできない。
・台湾の金融機関が中国においてQFII(適格海外機関投資家)の申請を行う際には便
宜を図る。
・中国のQDII(適格国内機関投資家)が投資できる金融商品リストに、台湾証券取引
所及び先物取引所のデリバティブを速やかに追加する。
・台湾の証券会社の従業員が台湾で証券業務を行うための資格及び免許を取得する
際の手続きに関し簡素化を計る。
3
海峡両岸経済協力枠組取決めに含まれるその他の主な内容
序言
経済協力(第3章)
・双方は、WTOの基本原則に基づき、双方の経済条件を考慮し、双方間
の貿易と投資の障害を段階的に軽減・除去し、公平な貿易と投資環境を
創造し、本協議の調印を通して、双方の貿易と投資関係を一層増進させ、
両岸における経済繁栄と発展にプラスとなる協力メカニズムを構築する
ことに合意。
・双方は、経済協力の強化について合意。
①知的財産権保護・協力、②金融協力、③貿易促進・簡便化、④税関
協力、⑤電子ビジネスの協力、⑥双方の産業協力戦略と重点分野の研
究、重要項目の協力推進、産業協力の中で発生する問題の調整・解決、
⑦中小企業協力の推進・中小企業の競争力向上、⑧経済・貿易組織に
よる出先機関の相互開設の推進、等。
・協力事項の具体的計画と内容について、速やかに協議を行う。
総則(第1章)
・協議の目標は、①双方間の経済、貿易、投資協力の強化・増進、②双
方の物品・サービス貿易の更なる自由化の促進、公平、透明、簡便な投
資・保障メカニズムの段階的な確立、③経済協力分野の拡大と協力メカ
ニズムの確立。
・協力措置として、双方の経済条件を考慮し、両岸経済交流・協力を強化
することに合意。
①双方間の実質的多数の物品貿易の関税と非関税障壁の段階的な軽
減・除去、②双方間の多部門に関わるサービス貿易の制限的な措置の
段階的な軽減・除去、③投資保護、双方向投資の促進、④貿易投資の
簡便化、産業交流と協力の促進、等。
貿易と投資(第2章)
・双方は、物品貿易、サービス貿易、投資について、ECFA発効後6ヶ月
以内に交渉を行い、早期に完成/達成することに合意。
・物品貿易協議の交渉内容は、①関税削減・撤廃の形式、②原産地規
則、③税関手続き、④非関税措置(TBT、SPS等)、⑤貿易救済措置(「A
D協定」、「補助金・相殺措置協定」、「セーフガード協定」の各措置及び、
双方間の物品貿易で適用される双方のセーフガード措置の適用を含む)。
・サービス貿易協議の交渉内容は、①多部門のサービス貿易の制限的
措置の段階的な軽減・除去、②サービス貿易の幅と内容の深度の継続
的な拡大、③双方のサービス貿易分野の協力増進。
・投資協議の交渉内容は、①投資保障メカニズムの確立、②投資関係
規定の透明性向上、③相互投資制限の段階的減少、④投資の利便化
の促進等。
アーリーハーベスト(第4章)略
その他(第5章)
(紛争解決)
・ ECFA発効後6ヶ月以内に紛争解決手続きに関する交渉を開始し、早
期に協議を達成し、本協議の解釈、実施、適用についての争議を解決
していく。
・紛争解決協議の発効前、本協議の解釈、実施、適用についての争議
は、双方の協議を通じて解決するか「両岸経済協力委員会」において解
決を図る。
・委員会では、協議の目標実施と必要な交渉、協議の実行監督・評価、
協議の解釈、重要な経済貿易情報の通知、解釈・実施・適用に関する
争議の解決等を処理する。
・委員会は重要性に基づきWGを設立し、特定分野の中で協議関係の
事項を処理することが出来る。
(発効と終了)
・協議調印後、双方が各自関係手続きを完成し、書面で相手方に通知
する。協議は双方が相手側の通知を受領した翌日から発効する。
・協議中止は、書面によって相手方に通知する。双方は終了通知発送
後30日以内に協議を開始する。協議がまとまらない場合、通知側が終
了通知を発出た日から180日目に終了する。
付属文書
①物品貿易アーリーハーベスト品目リスト・関税引き下げスケジュール、②臨時原
産地規則、③双方セーフガード措置、④サービス貿易アーリーハーベスト部門・開
放措置、⑤サービス提供者の定義
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