【一般口頭発表】 -放射線部門- 15:20~15:30(国際会議場) 画質改善のための工夫 ~下肢 MRV の撮影において~ 《演者》 西東京中央総合病院 岩川 彰 【目的(はじめに)】 当院の下肢 MRV 撮像目的の大多数が静脈瘤の術前検査である。深部静脈の血流や、表在静脈へ逆流し、 拡張している血管の有無といった情報取得が重要である。下肢静脈は、その走行のため外部からの圧迫で血流 が阻害されやすく、末梢に行くほど細く、流速も遅くなる。当院では、動・静脈の分離が容易な 2D-TOF を下肢 MRV 撮像に用いているが、遅い血流や細い血管の描出に弱く、撮影時間が長いという欠点がある。そこで今 回、①2D-TOF における血管の描出能向上や撮影時間短縮の検討、②追加撮影として、静脈瘤を撮影するシ ーケンスの検討という 2 点を検討項目とし、画質の向上、検査時間短縮を目指した。 【方法(内容)】 検討項目①2D-TOF において、基本撮影条件をもとに 1.加温(下腿部) 2.撮影体位 3.呼吸補正(RC) 4.バンド幅(BW)を変えて撮影し、MIP 画像にて比較・検討した。 検討項目②静脈瘤の描出を目的として、表在静脈の撮影を①FIESTA 法 ②COSMIC 法の 2 法で行い、 MIP 処理した画像にて比較・検討した。 【結果・考察】 加温による検討では、足湯が 1 番末梢静脈を描出した。湯たんぽは撮影中も続けられため、足湯・湯たんぽの 併用で画質向上が期待できる。ポジショニングによる検討では、背側の外部から圧迫がなく、膝が軽度屈曲位に 出来る腹臥位が適している。体位困難な場合でも仰臥位で臀部と踵にクッションを入れた体位でそれに近い画 像がえられる。呼吸補正による検討では、仰臥位・腹臥位とも呼吸補正の有無での画質改善はわずかであり、撮 影時間短縮を目的に、呼吸補正なしが適していると考えられる。バンド幅(BW)の検討では、BW を広げると、血 管と静止組織の信号が両方落ち、MIP 像では静脈の描出能で差が見られない事から、撮影時間短縮を目的 に、バンド幅を広げることは有効だと考える。 表層静脈の描出を検討した結果、筋肉の信号に隠れて、深部静脈の信号が低く写り、表在静脈がより目立つ COSMIC の追加撮影が適しているといえる。 検討の結果、上記により静脈瘤撮影を追加しても 2 分 16 秒短縮した。 検討後の撮影では、末梢静脈が描出し、深部静脈の血流評価ができる画像が得られ、表在静脈の追加撮影 も静脈の形態や深部との交通も観察でき、有用な画像だといえた。 第 50 回TMG学会
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