Effects of the serotonin 1A, 2A, 2C, 3A, and 3B

EMBASE文献速報
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悲しみの顔の表情に対する扁桃体活動の上昇:単極性ではなく双極性うつ病の状態マーカー
Elevated amygdala activity to sad facial expressions: a state marker of
bipolar but not unipolar depression.
Biol Psychiatry 2010; 67: 414-421
Almeida JR, Versace A, Hassel S, Kupfer DJ, Phillips ML
背景 : 情動処理に問題があることや社会機能が乏しいことは双極性障害(BD)および大うつ病性障害(MDD)患者に共通しており、結果的に
BD のうつ状態にある患者の多くが MDD と誤診されている。扁桃体は情動的な顔の表情など、情動が際立った刺激の処理に関与する重要
な領域である。しかしながら、ポジティブおよびネガティブな情動の処理中にみられる異常な扁桃体活動が、疾患の状態とは無関係な BD の
持続的マーカーであるか、あるいは BD および MDD のうつ状態に共通する、もしくはどちらかに特異的なうつ状態のマーカーであるかについ
ては明らかにされていない。
方法 : 成人 60 例を対象とした。内訳は DSM-IV および SCID (Structured Clinical Interview for DSM-IV) 研究版基準で診断されたうつ状
態にある BD の I 型患者(BDd 群)15 例、うつ状態にある反復性 MDD 患者(MDD 群)15 例、寛解状態にある BD 患者(BDr 群)15 例のほか、
健常コントロール被験者(HC 群)15 例であった。各群とも年齢、性別の比率を一致させ、患者群は疾患発症年齢および罹病期間を一致させ
た。うつ状態にある群ではうつ症状の重症度についても一致させた。BDd 群は他の患者群よりも多くの向精神薬を服用していた。全試験参加
者には、3T 神経画像検査を用いた事象関連実験に 3 回参加させ、実験中、標準化されたシリーズから恐怖、幸福、悲しみについて軽度およ
び強度の情動を示す顔、中立的な表情の顔を見させた。
結果 : HC、BDr、MDD 群と比較すると BDd 群では、悲しみに関する情動実験においてのみ、軽度および中立的な表情の顔に対する左扁桃
体活動の上昇が認められ(p<0.009)、投薬との関連は認められなかった。このほかの扁桃体活動において群間に有意差が認められたもの
はなかった。
結論 : 軽度の悲しみと中立的な顔に対する左扁桃体活動の異常な上昇は、MDD ではなく BD のうつ状態に特異的なマーカーである可能性
があり、このことは BD と MDD のうつ状態では異なった病態生理学過程が存在することを示唆している。
(翻訳:エルゼビア・ジャパン)
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