第27回(2014) 【AM46】1kV の電位差で 0.5J のエネルギーを蓄える

臨床工 学技士国家試験
電気工学分 野
問題
第27回(2014)
【AM46】1kV の電位差で 0.5J のエネルギーを蓄えるコンデンサの容量[μF]はどれか。
(1) 50
(2) 10
(3) 5
(4) 1
(5) 0.5
【AM47】巻数 20 のコイルに鎖交する磁束が、0.2 s の間に等しい割合で 1Wb から 2Wb に
変化するとき、コイルに誘起される起電力[V]はどれか。
(1) 5
(2) 10
(3) 20
(4) 50
(5) 100
a
R
R
【AM48】R[Ω]の抵抗 5 個を図のように接続したとき、ab 間の合成
R
抵抗は R の何倍か。
(1) 0.5
(2) 0.75
(3) 0.8
(4) 1.0
(5) 1.25
R
R
b
【AM49】図の回路で、R3 で消費される電力が 1W であるとき、R1
で消費される電力[W]はどれか。ただし R1 = 1 Ω、R2 = R3 = 2
Ωである。
(1) 0.5
(2) 1.0
(3) 2.0
(4) 4.0
(5) 5.0
R1
E
R2
R3
【AM50】インダクタンス 10mH に正弦波交流電流 2 √2 sin(120πt)[A]が流れている。正し
いのはどれか。
a. 電流の実効値は 2A である。
b. 電流の周波数は 60Hz である。
c. インダクタンスの両端に発生する電圧の実効値は 20mV である。
d. インダクタンスの両端に発生する電圧は電流より位相がπ/2 rad 遅れる。
e. インダクタンスの消費電力は 0 である。
(1) a、b、c
(2) a、b、e
(3) a、d、e
(4) b、c、d
(5) c、d、e
【PM46】導体 A、B、C が図のように配置されている。導体 A に正電荷を付与するとき、
正しいのはどれか。ただし、各導体は絶縁されている。
C
A
a.
b.
c.
d.
e.
B
導体 C に静電誘導が生じる。
導体 C 内に電界が生じる。
導体 B の表面に負の電荷が誘起される。
導体 C の電位が変化しても導体 B の電位は変化しない。
導体 C を接地すると導体 B が静電シールドされる。
(1) a、b
(2) a、e
(3) b、c
(4) c、d
(5) d、e
【PM48】図の回路で、コンデンサ C1 にかかる電圧[V]はどれか。ただし C1 = 2 μ F、C2 = C3
= 1.5 μ F である。
臨床工 学技士国家試験
電気工学分 野
問題
C2
(1) 2
(2) 3
(3) 4
(4) 6
C1
(5) 8
10V
【PM49】図の回路において t = 0 でスイッチを入れた。正しいのは
どれか。
(1) 時定数は LR である。
(2) 直後に抵抗にかかる電圧は E となる。
(3) 直後に流れる電流は E/R となる。
(4) 時間が十分に経過すると抵抗にかかる電圧は E/2 となる。
(5) 時間が十分に経過すると抵抗で消費される電力は E2/R と
なる。
【PM50】
C3
スイッチ
R
E
L
1
の偏角[rad]はどれか。ただし j は虚数単位である。
1 j 3
(1) -π/3
(3) 0
(2) -π/6
(4) π/6
(5) π/3
【PM51】図の正弦波交流回路(f = 50 Hz)で静電容量が 10 μ F のときに電流が最大になっ
た。L の値[H]に最も近いのはどれか。ただしπ2 はおよそ 10 である。
R
(1) 0.01
(4) 10
(2) 0.1
(5) 100
L
(3) 1
【PM52】1 次巻線数 n1、2 次巻線数 n2 の理想変圧器について正しいのはどれか。
a. 交流電圧の変換に用いられる。
b. コイルの発生する誘導起電力を利用している。
c. 1 次と 2 次のインピーダンス比は巻数の二乗に反比例する。
v1 n2
が成立する。
d. 1 次電圧を v1、2 次電圧を v2 としたとき
v2 n1
e. 1 次電流を i1、2 次電流を i2 としたとき
(1) a、b、c
(2) a、b、e
i2
i1
n1
が成立する。
n2
(3) a、d、e
(4) b、c、d
(5) c、d、e
C
臨床工 学技士国家試験
電気工学分 野
解答
第27回(2014)
【AM46】(4)
静電容量 C[F]のコンデンサに電圧 V[V]がかかり電荷 Q[C]が溜まっているとき(Q[C] =
C[F]・V[V])、このコンデンサに蓄えられるエネルギーは次の式で表される。
エネルギー[J] =
本問では
1 Q2
2 C
1
QV
2
1
CV 2
2
1
C 10002 として C = 1 × 10 -6 F = 1 μF。
2
1
CV 2 を使おう。 0.5
2
【AM47】(5)
N 回巻きのコイルに鎖交する磁束がΔ t 秒間に磁束がΔφ[Wb]だけ変化するとき、コイ
ルに生じる起電力 E[V]は E
N
で表される。この式を知っているかどうかだけの問
t
題。本問では N = 20、Δφ= 2 - 1 = 1、Δ t = 0.2 で、E = 100 となる。
磁束の変化が「等しい割合で」であるから、この式でよいが、たとえば正弦波などだった
d
らΔφ/Δ t の部分を微分とした E N
を使わなければならない。
dt
【AM48】(4)
この手の問題はパターンなので、勘のよい人ならすぐ気づくだろう。
そう、この回路はホイートストーンブリッジを構成しているのだ。例
によって向かい合った抵抗同士のかけ算は等しく、真ん中の抵抗には
電流が流れない。つまり真ん中の抵抗は無いのも同じ。後は抵抗の直
列・並列の問題。赤の部分は直列で 2R、青の部分も同様に 2R、これ
2R 2R
R となる。
が並列になっており
2R 2R
a
R
R
R
R
R
b
【AM49】(3)
R1 の消費電力(P1)を求めるには R1 にかかっている電圧 E1 と流れている電流 I1 がわかれば
P1 = E1・I1 で求められる。またオームの法則より E1 = I1・R1 = I1 × 1 = I1 であるから、結局 R1
の電圧か電流のどちらか一方がわかればよいことになる。
手がかりはもちろん R3 の電力 P3(=1W)である。R3 でオームの法則を使うと E3 = I3・R3 = 2I3
となる。R3 の電力 P3(=1W)は P3 = 1 = E3・I3 で、先ほどの E3 = 2I3 を代入すると 1 = E3・I3 = 2
(I3)2 となり I3 = √ 0.5 A とわかる。
R2 は R3 と並列なので R3 と同じ電圧がかかっており、R2 = R3 だから同じ電流が流れてい
る。つまり I2 = √ 0.5 A で、I2 と I3 を足したものが I1 となり I1 = 2 √ 0.5 A である。
R1 の電流がわかったので最初に戻ると、P1 = E1・I1 で E1 = I1 だったから、P1 = (I1) 2 = (2 √
0.5) 2 = 2W となる。
【AM50】(2)
a と b は右の式を参考に考えよう。
電流は 2 √2 sin(120πt)[A]で右の実効値 A に相
当するのは 2。なので a は正しい。角周波数ω
は 120 π。周波数 f は 60Hz で b も正しい。
インダクタンス(コイル)の抵抗はω L = 3.8 Ω。
従って電圧(の実効値)は電圧(実効値) = 抵抗×
電流(実効値) = 3.8 × 2 であり c は誤り。これ
で(2)が答えだとわかるが、解説を続けよう。
実効値
角周波数
周波数fがわかっていればω=2πf、
周期Tがわかっていればω=2π/T
A 2 sin(w t + q )
位相差
振幅 進んでいる場合はθはプラス、
遅れている場合はθはマイナス
臨床工 学技士国家試験
電気工学分 野
解答
コイルに流れる電流は、コイル
コイル(インダクタンス)
コンデンサ(キャパシタンス)
にかかる電圧より位相が 90 ° 電
電
遅 れ る。 言 い 換 え れ ば、 コイ 圧
圧
ル に かか る 電 圧 は 、 コイ ルに
流れる電流より位相が 90 °進
む。d は誤り。
最後は e で正しいのだが、こ 電
電
流
流
れ に つい て 説 明 し よ う。 コイ
ル に 流れ る 電 流 は 、 コイ ルに
かかる電圧より位相が 90 °遅
れ る 。こ れ を グ ラ フ に描 くと
電
右 図 のよ う に な る 。 電力 は電 電
力
力
圧 × 電流 で あ る が 電 力は プラ
スとマイナスを往復してい
る 。 この プ ラ ス マ イ ナス を平
均すると 0 になる。これは電力がプラスのときは回路からコイル内部に磁気エネルギーと
してエネルギーをため込み、マイナスのときには回路にエネルギーを放出するという意味
になり、結局、トータルではコイルの消費電力は 0 になる。
ちなみにコンデンサ(キャパシタンス)の場合は電圧が電流より 90 °遅れる。やはり電力は
振動し、コンデンサの消費電力も 0 になる。
コイルとコンデンサは電力を消費しない。理由は電圧と電流に 90 °の位相差があるからで
ある。電力を消費するのは電圧と電流に位相差のない純抵抗である。
C
+
+
+
+
+
+
A
B
+
+
+
+
+
+
C
+
-
+
+
+
-
+
+
+
+
B
-
+
A
+
+
+
+
+
+
【PM46】(2)
導体 A に付与された正電荷は A の表面
に配置し、周囲の空間に右図上のよう
な電界を作る(図の都合上、A の右方向
の電界しか描いていない)。この電界に
よって導体 C には右図下のように電荷
が誘 起さ れる。こ れが静電誘導で a は
正しい。C に誘導された電荷によって C
内 部 (導 体 内 お よ び 中 空 部 分 )に は 電 界
が 発 生 す る の だ が 、 こ の電 界は 導体 A
による電界と打ち消しあってしまう。
そのため C 内部には電界が無いことに
なる。b は誤りである。この時点で(2)
が答えだとわかる。
さて C 内部には電界が無いので導体 B
の表面に電荷が誘起されることは無い。
c は 誤りで ある 。つまり導体 B には導
体 A の影響が及ばないわけで、これが
静電シールドである。C 内部に電界が
無いということは C 内部は同電位とい
うことだ。ところで C 外部の電界を変
化させる(たとえば A を遠ざけるなど)
と、C に静電誘導される電荷の量も変
わり、C の電位も変わる。C と B は同
電位であるから B の電位も変わる。d
は誤りである。
ここまでは A に電荷を与えたときの、B
+
-
-
+
臨床工 学技士国家試験
+
-
+
+
-
+
+
-
-
-
+
+
-
+
+
-
-
-
-
+
+
+
-
+
+
+
+
+
-
B
+
-
-
A
+
+
+
B
-
-
+
A
-
+
+
+
+
+
+
+
+
+
-
+
-
+
-
-
-
-
+
+
C
+
-
-
C
+
解答
-
+
+
電気工学分 野
-
+
の影響を見てきたが、逆に B に電荷を与え、A への影響を考えよう。この場合、C には上
図左のように静電誘導が生じ、それによって外部電界が発生し、導体 A にも静電誘導が
生じる。つまり B の影響が A に及んでいるわけである。このとき C をアースすると上図
右の状態になる。つまり C の外側の+電荷がアースに逃げて、外部電界が発生しなくな
る。その結果、B の影響は A に及ばなくなる。問題文 e「導体 C を接地すると導体 B が静
電シールドされる」はこのことを言っているのであろう。
電荷が外部にある場合、中空導体は接地しなくとも内部は静電シールドされる(接地に関
係なく、内部は外部の影響を受けない)。一方、電荷が内部にある場合は、接地しないと
静電シールドされない(接地しないと内部の影響が外部に及ぶ、接地すれば及ばない)。こ
の問題はその辺が曖昧で、不適切問題なのではないかと思われる。
【PM48】(4)
並列接続のときはかかっている電圧が同じ(電荷は違う)、直列接続の
ときは蓄えられる電荷が同じ(電圧は違う)。
並列接続されている C2 と C3 をまとめて C23 とすると C23 = 3 μ F であ
る。コンデンサの電荷は Q = C・V であるから
C1・V1 = C23・V23 → 2V1 = 3V23、ただし V1 + V23 = 10
となる。これを解いて V1 = 6 となる。
2μF 3μF
C1 C23
10V
【PM49】(5)
R
(1)~(3)は過渡現象、(4)と(5)は定常状態になった話である。定常
状態の方が簡単なのでそちらを先に見てみよう。直流電源において E
(定 常 状 態 で は )コ イ ル は 単 な る 電 線 な の で 回 路 は 右 図 の よう に な
る。抵抗には電源電圧は E がそのままかかっており(4)は誤り。オ
ームの法則から流れる電流 I は I = E/R。電力 P は P = I・E なので I = E/R を代入すると P =
E2/R となり(5)が正しいとわかる。つまり(1)~(3)は誤りである。答えは出たが、確認し
ておこう。
(1) RL 直列回路の時定数は L/R である。RC 直列回路なら時定数は CR になる。
(2)コイルは電源周波数が低いと低抵抗(極限の直流では抵抗 0 の電
R
線)、電源周波数が高いと高抵抗(極限の周波数∞では抵抗∞の断線)
として振る舞う。スイッチを入れた瞬間は、一瞬で電圧が変化する E
ので周波数∞と考えられ、コイルは断線と見なせる。このとき抵抗
には電流が流れない。すなわち抵抗には電圧がかかっていないこと
になる。問題文の間違えを直すと「直後に抵抗にかかる電圧は 0」。
(3)上の説明の通り。問題文の間違えを直すと「直後に流れる電流は 0」。
(2)と(3)は RC 直列回路において正しい。
【PM50】(1)
1
j 3
1
j 3
j 3 1
1
j 3
j 3
1 3
1
4
j
解答
a+jb
b
θ
a 実数軸
3
4
虚数軸
1
1
電気工学分 野
虚数軸
臨床工 学技士国家試験
複素数の偏角問題も、以前は 1 + 2 j などだったのにだんだん難
しくなってきた。
複素数を a + j b と表して右のようにグラフ表示したときの角度
θが偏角である。問題の式を a + j b の形に変形してみよう。
1
3
、b =
とわかったのでグラフにしてみよう(右図)。
4
4
黄色に塗った三角形は辺の長さの比が 1:2:√3 の直角三角形で
θ= 60 °
= π/3 rad。ただし下側に来ているのでマイナスがつく。
数学が得意ならこんなまどろっこしことをしなくても 1 + j √3 だ
3
から 60 °
だな、これが分母だから- 60 °
か、という具合に一発で - j
4
答えられる。
a=
1
4
θ
実数軸
1
3
- j
4
4
【PM51】(3)
RLC 直列回路で電流が最大というのは、このとき回路は共振しているということ。共振
1
1
[Hz]で、これが 50 である。また C の値もわかっているので後は L を求
2π LC
めるだけ。
周波数は
【PM52】(2)
a と b は特にひねりも無く、素直に正しい。
理想トランス(変圧器)の基本式はこの三つ。
① E2
N2
E1 、② I 2
N1
N1
I1 、③ R 1
N2
N1
N2
A
I1 一次側
二次側
2
R2
c は③式のことを言っていると思うが、何か変。巻
数の二乗に反比例って 1 次側の巻数?それとも 1 次
側?
d は①式のことだが、間違っている。
e は②式そのまま。
I2
R1
R2
E1
A'
N1
N2
E2