#650 General Poster Session 2014年 米国臨床腫瘍学会 NEWS FLASH May 30-June 3, 2014, Chicago, Illinois HER2陽性乳がん脳転移に対するT-DM1の臨床効果 T-DM1 in HER2-positive breast cancer brain metastases (BM). Medical University of Vienna, Vienna, Austria Bartsch R, et al. HER2陽性転移性乳がん患者は脳転移をきたす症例が多く、脳転移に対する治療は放射線治療などの局所療法が標準的とされ るが、予後が長くなるにつれ局所療法の晩期毒性に注意を要する。一方、全身療法としてのトラスツズマブは脳転移に対する明 確なエビデンスはないが、トラスツズマブが脳転移巣に到達している可能性は考えられる。トラスツズマブに細胞傷害作用を有 するエムタンシンを結合させたトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)の脳転移に対する効果についてはまだ明らかになってお らず、今回、実地臨床の使用経験が報告された。 HER2陽性転移性乳がんの脳転移に対し、 トラスツズマブ エムタンシンによる転移巣縮小効果が期待できることが示唆された。 図1 対象と方法 <対象> <方法> HER2陽性乳がん脳転移例(n=6) 脳転移診断後、症例に応じて局所治療を施行後、もしくは脳転移に対する1次治療としてT-DM1を投与 年齢中央値:55歳 ● 局所治療:全脳照射、定位放射線治療、脳神経外科手術 ホルモン受容体:陽性4例、陰性2例 ● T-DM1: 3.6mg/kg、3週毎、点滴静注 追跡期間中央値6ヶ月 表1 脳転移診断時の患者背景 Case series(n=6) n Median age at diagnosis of BM, years (range) Time to cranial progression from first diagnosis of breast cancer, months (range) Yes Trastuzumab before BM No % 55 (35-66) 11 (1-84) 6 0 100.0 0.0 Lapatinib before BM Yes No 3 3 50.0 50.0 Pertuzumab before BM Yes No 2 4 33.3 66.6 Extracranial metastases Yes No 5 1 83.3 16.6 Meningiosis Present Absent 0 6 0 100 Neurological symptoms Yes No 3 3 50.0 50.0 2 1 33.3 16.6 1st line therapy for BM WBRT Stereotactic radiation Neurosurgical resection + WBRT T-DM1 1 16.6 2 33.3 BM; brain metastasis, WBRT; 全脳照射 初回の乳がん診断から脳転移発現までの期間中央値は11ヶ月であった。全例トラスツズマブの治療歴を有しており、他の前治療歴はラパチニブ+カペシタビン 3例、ペルツズマブ2例であった。初回脳転移診断時、3例は症候性、3例は無症候性で、無症候性の2 例は脳転移に対する1次治療としてT-DM1の投与を行い、 それ以外の 4 例は局所治療後の進行時にT-DM1を投与した。 表2 T-DM1の治療効果(3サイクル投与後) Intracranial response Extracranial response Patient 1 SD PR Patient 2 PR PR Patient 3 PR SD Patient 4 PD n.a. Patient 5 SD PR Patient 6 PR n.a. 脳転移巣は全例評価可能で、追跡期間6ヶ月時点でのT-DM1の治療効果はPR 3例、SD 2 例、PD 1例であった。内臓転移を有していた5例のうち転移巣の 評価が可能であった4 例では、PR 3例、SD 1例であった。 企画・提供: 記載されている薬剤の使用にあたっては、各薬剤の添付文書を参照してください。
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