IE03 IT の匠 - Beaconユーザ会

IE03 IT の匠
要旨
IE03 IT の匠
Ⅰ はじめに
『「技術屋」として IT にかかわってきた中堅以上の技術者の方々は、多くの技術や
知識・経験を持っています。技術の移り変わりの早い昨今ですが、長年培った技術や知
識・経験を活かし、
「IT の匠」としての職人魂をさらに開花させ、生き抜くためにはど
うするべきか、後継者育成も含めて討議する。
』というテーマに対して「あなたは IT の
匠ですか?」と質問したところ、誰も自分を「IT の匠」とは言いきれませんでした。
なぜなら「技術屋・技術者」は情報処理等の資格によってある程度明確にすることが可
能だが、
「IT の匠」を示す資格は明確になっていませんでした。
そこでまず、
「IT の匠」に必要とされるスキル※1を具体的にあげて考察し「IT の匠」
の定義について研究を進めました。(※1
スキル:知識・経験・能力を指す)
そして、この定義が後輩たちの業界を生き抜くための道しるべとなり、また、経営陣に
おいては、
「IT の匠」を育てる指針となることを望みます。
Ⅱ 研究内容
【命題】
1.「IT の匠」、
「一般の匠」の違いについて
2.「IT の匠」がなぜ必要とされるのか
3.「IT の匠」を育てるにはどうすればよいのか
【現状分析及び、進め方】
1.なぜ今「IT の匠」なのか?を分析する。
① 日本は米国に比べ IT 投資意識が低く、技術革新の進歩に対応できる人材が少ない。
② 先を見据えたシステムを考えられる環境がなく、人材が育てられない。
③ IT 投資の減少により、開発・保守業務の社外委託が増えたため、時間の経過とと
もに社内の有識者がいなくなる傾向にある。
2.「IT の匠」の定義がされていないため、「IT の匠」に必要なスキルを考察する。
3.「IT の匠」の定義を使って、後輩を育てる環境を検討する。
4.アンケートの実施
(1)目的:
(2)内容:
① スキルの現状分析、②「IT の匠」の定義の妥当性の調査
年齢、経験年数、経験業務、取得資格、技術能力 等
Ⅲ 研究過程
1. 導入議論
 「IT の匠」を調べたが明言はされていなかったので、一般的な匠を切り口に
「IT の匠」とはどう言うものかを議論した。
 一般的な匠と「IT の匠」には相違点が多く、そこから導くことは困難でした。
2. 詳細議論
「IT の匠」をスーパーSE と仮定して SE のスキルをカテゴリ分けした。
©2014 Beacon Users’ Group
IE03 IT の匠
要旨
 アプリケーションのスキル、DB のスキル、インフラのスキル、業務のスキル
3. 別の角度から議論に展開
今、企業が必要としている人材とは?
 障害時に迅速に対応できる人材
⇒ 俗にいう「火消し」
 プロジェクトを成功に導ける人材
⇒ 俗にいう「手配師」
 最先端技術を導入して業務を開発できる人材 ⇒ 俗にいう「開拓者」
4. 結果
 単にカテゴリ毎に特化した SE が、企業の求める人材ではないことが判明した。
 そこで、ITSS に定義されているカテゴリで細分化し、再度研究を進めた。
 一方、火消し、手配師、開拓者といった人材が保有しているスキルを分析すると、
カテゴリ毎に特化した SE ではないことが判明した。
 火消し、手配師、開拓者といった人材はカテゴリ間のスキルを多く保有している
という特徴が判明した。
5. 考察
「IT の匠」とは、単にカテゴリに特化したスキルを持った SE ではなく、カテゴリ
間の関連性を理解し、火消し、手配、開拓の3つのスキルを兼ね備えた人材と定義
した。
Ⅳ まとめ
【企業への提言】
一般的に人材育成としてジョブローテーション、研修(社内・社外)、OJT、自己啓発活動 等
をすでに実施していると思いますが、期待したとおりの結果が出ていますか?
今後「IT の匠」を自社で育成するためには、本研究で示したカテゴリ間のスキルを意識し
た育成計画を提言いたします。

フィールド関連図を作成する
①自社が保有するカテゴリ間のスキルを明確にすること。
②社外委託しているカテゴリと自社が保有するカテゴリの関連性を明確にすること。

フィールド関連図を活用する
①カテゴリ間のスキルを意識した人材育成を計画すること。
(それにより効率的な投資対効果が得られる)
②社外委託による社内有識者の減少を食い止めること。
【後輩への道しるべ】
スキルアップ(自己研鑽)するには、自身の強み・弱みを確実に理解し、強みを伸ばし、
弱みを補うことを日々意識して仕事をするべし。
1. フィールド関連図を基に自身の弱点を明確にすること。
2. 広い視野を持つためには異業種交流会、社外研修 等に積極的に参加すること。
3. 先輩たちと交流を持ち、後輩の面倒をよくみること。
©2014 Beacon Users’ Group