税金読本(4-6)株式投資と税務調査

株式投資と税務調査
4
−6
投資家が支払いを受けた株式等の譲渡
。
(注)
代金については、証券会社などから税務
ただし特例により、同一人に対する株
署に提出される株式等の譲渡の対価の支
式等の譲渡の対価の1回の支払金額が30
払調書でわかります。
万円を超える場合には1回の支払いごと
株式等の譲渡の対価の支払調書には、
に作成し、支払確定日の属する月の翌月
投資家の「住所」
「氏名」
「銘柄」
「株式数」
末日までに税務署へ提出することが認め
「支払金額」「支払確定年月日」などが記
られています。この特例方式の方が手続
載されています。
きが簡便であるため、証券会社はこの方
株式等の譲渡の対価の支払調書は、同
式を採用しています(注)。
投資家がどのような配当を受けたか
支払金額にかかわらず、すべての配当等
一人に対するその年中に支払うべき株式
特定口座で上場株式等の取引を行った
は、会社から税務署に提出される配当の
の支払調書が税務署へ提出されます。
等の譲渡の対価を合計し、その支払金額
場合、特定口座を設置した証券会社等か
支払調書でわかります。株主総会または
ただし、源泉徴収口座へ受入れた上場
が100万円を超える場合に作成し、その合
ら、支払調書の代わりに特定口座年間取
取締役会で配当の支払いが確定すると、
株式等の配当等については、支払調書は
計表を添えて、
支払確定日の翌年1月31日
引報告書が投資家と所轄税務署に送付さ
1ヵ月以内に発行会社または株式事務代
提出されず、特定口座年間取引報告書に、
までに税務署へ提出されるのが原則です
れます。
行機関である信託銀行などから配当の支
その源泉徴収口座で受け入れた上場株式
払調書という資料が税務署に提出されま
等の配当等の額等が記載されます。この
す。これには「株主の住所」
「氏名」
「株
場合、(2)の支払通知書も交付されま
式数」「配当金額」
「銘柄」などが記載さ
せん。
上場株式等の配当等について確定申告
源泉徴収口座に上場株式等の配当等を受
れています。税務署はこの資料に基づい
未公開株式等の配当についての支払調
をする場合には、支払通知書を確定申告
け入れている場合には、特定口座年間取
て、株主が適正に申告しているかどうか
書は、1銘柄1回の配当が10万円(年1
書に添付しなければなりません。ただし、
引報告書を添付します。
式
◆(1)配当の支払調書
◆(3)株式等の譲渡の対価の支払調書
株
支払調書
● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編―
◆(4)上場株式等の配当等の確定申告時の添付書類
(注)
チェックします。
回配当の場合) を超える場合に提出さ
上場株式等の配当等については、その
れます。
●支払調書等
特定口座
年間取引
報告書
◆(2)配当の支払通知書
上場株式等(外国株式、外国株式投資
場株式等の配当については、特定口座年
信託も含みます)の配当については、配
間取引報告書に配当の金額等が記載され
当の額等を記載した支払通知書が、証券
ているので支払通知書は交付されませ
会社等から投資家に交付されます。
ん。
ただし、源泉徴収口座に受け入れた上
源泉徴収
あり
譲渡分
提出される
配当
支払分
口座に受け入れた配当等の額等が記載され、譲渡分と合わ
せて提出される
源泉徴収なし
提出される
上場株式等の配当等の支払調書
提出される
ただし、源泉徴収口座に受け入れた配当等については提出
されない
株式等の譲渡の対価の支払調書
提出される※(特定口座以外の場合)
上場株式等の配当等の支払通知書
株主に交付される
ただし、源泉徴収口座に受け入れた配当等については交付
されない
上場株式等の配当等の確定申告時
の添付書類
特定口座年間取引報告書または支払通知書
※ただし、1回に支払いを受ける金額が30万円以下である場合には提出されません(注)。
(注)配当額は、次の算式により計算した金額が
基準となります。
配当の計算期間(直前の配当に関する基準日の翌日から今回の配当に関する基準日
10万円 × までの期間)の月数(12ヵ月超の場合は12とし、
1ヵ月未満の場合は1とする) 12
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(注)平成28年1月1日以後は、1回の対価の額ま
たは年間の売却代金にかかわらず、支払調書
が提出されます。
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● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編―
◆(5)ストック・オプションに関する調書
異動調書
ストック・オプションの権利行使を行
月31日までに、保管の委託等を受けてい
異動調書は、株式の購入資金が、納め
が異なる例もみられます。
った場合には、権利行使日の翌年の1月
る証券会社から税務署に対して、その株
るべき税金を納めた後の資金かどうかを
異動調書と先の支払調書とは全く別の
31日までに、新株予約権の行使に関する
式の保管の委託等を行っている者の氏
調べるためのものです。この調書は正式
ものです。したがって、配当の支払調書
調書が、ストック・オプションの付与を
名・住所、権利行使価額、数量などを記
には「株式の取得に関する資料せん」と
が提出されない場合でも、取得した株数
行った会社から税務署に提出されます。
載した「特定株式又は承継特定株式の異
呼ばれています。
が税務署の指定株数を上回っていれば異
権利行使により取得した株式を譲渡し
動状況に関する調書」が提出されます。
異動調書は、税務署が発行会社に対し
動調書が提出されます。
た場合には、株式等の譲渡の対価に関す
税制適格ストック・オプションの行使
個別的に、たとえば1万株とか2万株と
異動調書が税務署に提出されますと、
る支払調書が提出されます。
により取得した株式を譲渡した場合に
かいった具体的な株数を指定し、その株
税務署はこれをもとに資金源を調査する
◆税制適格ストック・オプション
は、株式の譲渡の対価に関する支払調書
数以上の株式を取得などした株主につい
ため「お買いになった資産の買入価額な
税制適格ストック・オプションが付与
が提出されますが、一般の記載内容に加
て、その株主の「住所」「氏名」「取得株
どについてのお尋ね」あるいは「贈与税
された場合には、付与を行った会社から
えて、ストック・オプションの行使によ
数」などを税務署あてに報告するように
の税務相談について」などの書類を送付
税務署に対し、付与された役職員等の氏
り取得した株式も含まれている旨、また、
求めるものです。したがって、税務署に
してくる場合があります。これらの資料
名・住所、ストック・オプションの内容
同一銘柄の中にストック・オプションの
よって指定される株数は、各発行会社に
の記入にあたっては、次ページの記載例
などを記載した調書が、翌年の1月31日
行使により取得したものとそれ以外のも
よってまちまちです。また同一の発行会
などを参考にしてください。
までに提出されます。
のの両方が含まれているときには、各々
社であっても、決算期ごとに「指定株数」
税制適格ストック・オプションの行使
に対する譲渡対価の額・数量などが記載
により取得した株式で、株式の買取価格
されます。
式
取扱いを受けたものについては、毎年1
株
◆ストック・オプション全般
と行使時の時価の差額について非課税の
◆(6)株式無償割当てに関する調書
株式無償割当て(100ページ参照)の
その株式会社の本店の所轄税務署長に提
うち、種類株主総会の決議が行われたも
出されます。調書には、株式無償割当て
のについては、原則として株式無償割当
を受けた者の氏名、住所、株式無償割当
てに関する調書が、株式無償割当てを行
てにより交付した株式の種類および数な
った株式会社から翌年の1月31日までに
どが記載されます。
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● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編―
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