諏訪の湖 御神渡り

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其の七十 三
うみ
諏 訪 の 湖 御 神 渡り
お
み わた
温暖化の影響もあり御神渡りの神事が行われなくなって
つかさど
久 し い が、 2 年 前 の 1 月 下 旬 の 早 朝、 雪 の 降 り 積 も る 中、
寒さに震えながらの取材となった。お伝えする神事を司っ
やつるぎ
て き た の は 長 野 県 諏 訪 市 小 和 田 の 八 劔 神 社 で あ る。「 御 神
渡 り 」 の 記 録 に よ れ ば、 江 戸 期 の 天 和 3 年( 1 6 8 3 年 )
から小和田村(当時)の役人が拝見役を務め、現在は氏子
みなもとのあそんあきなか
総代が神事の伝統を受け継いでいる。歴史は古く、平安時
さかのぼ
代末期に遡る。歌人の源朝臣顕仲が、
“ 諏 訪 の 海 の 氷 の 上 の 通 ひ 路 は、 神 の 渡 り て と く る な り
けり”
と詠んでいる。御神渡りは湖が全面結氷し、バリッ、バ
せ
リッ、という大音響を発しながら、氷が迫り上がって湖を
貫いてゆく訳だが、氷点下 度以下の日が数日間続かなけ
れば起きない自然現象だと地元民は言う。
昔から神様が氷の上を渡られた跡であることを受け止め
て、御神渡りができるまでは、氷の上に出てはならないと
( 写真・文 樋口健二 )
言い伝えられている。古式ゆかしい氷上神事もまた心地よ
いものである。
2015/12/25 16:02
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