試験報告書の書式改定

TL No.6. 2012.3
試験報告書の書式改定
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はじめに
本年最初の試験所ニュースを発行するに当たり、ご挨拶を申し上げます。皆様のご健勝と今年
のご多幸をお祈り申し上げます。昨年は自然災害の多い年でした。また、災害復興を通して人々
の絆の大切さを再確認した年でもありました。今年はオリンピックイヤーであり、世界経済が回
復に向かうと期待されます。さて、今年も依頼者各位のご要望に従い、厳正で公正な試験業務を
スピーディに行ないたいと考えております。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
物理試験所長 菊池修一
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試験報告書の書式改定
認定試験で用いる試験報告書の書式が本年 1 月に改定され、Rev. 8 となりました。新書式は英
文誤記を訂正し、更に「試験に用いた標準物質」欄で実用標準の説明を追加しました。従来、実
用標準に関する情報は弊社管理番号のみでしたが、試験に関する詳細情報を開示して欲しいとの
ご要望を受け、試験で使用した実用標準の厚さ情報を追記しました。以下に印刷例を示します。
また、認定外試験で用いる試験報告書の書式も本年 2 月に改定され、Rev. 9 となりました。こ
れら報告書の書式を一新しました。新書式の例を以下に紹介します。新書式は認定試験で用いる
報告書の書式に揃えました。見やすくなりましたでしょうか。また、報告書用紙も環境に配慮し
つつ長期保存に適したものに変えました。
厚さ試験
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組成試験
トレーサビリティ体系図説明書の改定
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厚さ及び組成試験
「試験所ニュース No. 2」でトレーサビリティ体系図の改定をお知らせしましたが、その説明
書も本年 2 月に改定され、Rev. 7 となりました。説明書では認定試験で用いる常用参照標準・実
用標準・SFT 標準物質の相互関係を図で説明しています。今回の改訂では、認定外試験でも同様
の説明を追加しました。さて、試験所が管理する標準物質に関して以下にご紹介します。
標準物質には実用標準と常用参照標準があります。試験所は弊社製蛍光X線膜厚計で実用標準
を用いて SFT 標準物質の厚さを試験します。実用標準の厚さは常用参照標準を用いて試験します。
常用参照標準は実用標準を校正するための標準です。常用参照標準の厚さは弊社が開発した質量
法で試験されます。厳密に管理された試験環境と JCSS 認定された試験装置を持つ外部委託試験
所が常用参照標準の長さと質量を計測し、試験所がその厚さと不確かさを算出します。試験所認
定機関1である JAB(公益財団法人 日本適合性認定協会)は常用参照標準のトレーサビリティが
確立されていることを確認しています。
これらの詳細は説明書に書かれておりますが、内容で分かりにくい点があれば、株式会社エポ
リードサービスの下記担当窓口を通してお問い合わせください。
0120-987-233
http://www.epolead.com/
[email protected]
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校正証明書と試験報告書
お客様より校正証明書の発行を依頼されることがあります。弊社は試験所であり、校正機関で
はないので校正証明書を発行できませんが、代わりに試験報告書(証明書)を発行します。校正
機関と試験所は共に ISO/IEC 17025 に従って認定され、校正に使われる証明書を発行しますが、
これらは区別されます。ここで、校正の定義を再確認します。校正とは「指定の条件下において、
第一段階で、測定標準により提供される測定不確かさを伴う量の値と、付随した測定不確かさを
伴う当該の表示値との関係を確立し、第二段階で、この情報を用いて指示値から測定結果を得る
ための関係を確立するための操作」ですが、第一段階だけを指す場合が多いようです。
さて、校正機関が全ての標準物質を校正するとは限らず、試験所が取り扱う標準物質もありま
す。SFT 標準物質はこれに該当します。JAB 認定シンボルが付いている試験報告書は校正証明書
の代わりとして使用できます。JAB が公開している基準である「測定のトレーサビリティについ
ての指針(JAB RL331-2011)」にその説明があり、以下に一部を抜粋して紹介します。
6.2 試験所に対する要求事項
内部校正を行う試験所は、校正機関と同様に 6.1 によるトレ-サビリティの確保が要求される。
注1 内部校正について校正機関としての認定を受ける必要はないが、ISO/IEC 17025 の校正機
関に対する技術的要求事項を満たしている必要がある。
注2 試験所に限って、題目が“試験報告書”と記載され、校正結果が記載された証明書を、トレ
-サビリティの証拠として用いることができる。ただし、
“試験報告書”には、ILAC/APLAC 相
互承認協定に参加している機関の認定シンボル又は認定についての言及があること、不確かさが
記載されていること、トレ-サビリティが確認されていることが必要である。
以上
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試験所認定機関に関しては次回の試験所ニュースでご紹介する予定です。
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