Title 日本人留学経験者を対象とした自助グループ的 - HERMES-IR

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日本人留学経験者を対象とした自助グループ的ミニセッ
ション : 帰国後異文化間教育の試み
髙濵, 愛; 田中, 共子
留学生教育学会第16回研究大会抄録集: 49-50
2011-08
Conference Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/23225
Right
Hitotsubashi University Repository
日本人留学経験者 を対象 とした 自助 グループ的 ミニセ ッシ ョン
ー帰国後異文化間教育の試み○高演
愛 (
一橋大学)・田中 共子 (
岡山大学)
I.は じめに
海外留学を終 えて帰国 した 日本人学生を対象 とした調査によれば、彼 らは リエン ト
リーに際 して何 らかの逆 カルチャー シ ョックを経験 し、ケアを必要 とす る存在である
01
1
a)
。我々は帰国後の異文化間教育の観点か ら、「
留学経験者
とい う (
高嶺 ・田中,2
のつ どい」 と題 した 自助 グループ的なセ ッシ ョンを実施 してきた (
高演 ・田中,2
01
0;
。 しか し学生の帰国時は、就職活動や大学院入試等が行われ る繁忙期 となって
2
01
1
b)
いることが多 く、帰国 した学生を一堂に集 め、かつ長時間の活動を運営 してい くこと
には、 しば しば困難が伴 う。そ こで今回は、そのバ リエーシ ョンとして少人数 ・短時
間の単発型 ミニセ ッションを実施 したので、その概要 と反応 を報告す る。
Ⅱ.方法
調査対象者
日本の P大学の学部生 2名 (
表 1)
O彼女たちは、P大学の短期交換留
学生 として、協定大学に約 1年間派遣 されていた。
表 1 セ ッシ ョン参加者の属性
ID
A
B
姓R/
J
女
女
年齢
g崇 患歯威名
好学凝固
2
0
23
イギ リス
タイ
1
1か月
1
1
GG###,
軌野
5
か月
か月「
設定 p大学において、約 1時間にわたって、 ミニ版
留学経験者の
8か月
催 した。参加者は上記 2名で、留学経験のある筆者 ら 2名がオーガナイつ どい」を開
加 した。セ ッシ ョンの模様は ビデオカメラで録画 し、後に逐語
ザー として参
使用教材 高演 ・田中(2
録 を作った。
01
0;2
01
1
b)で使用 した、 「
留学経験者のつ
ンダー式のテキス トの中か ら、留学経験を生か した将来プランに関す る どい」のバイ
(
表 2)。セ ッシ ョンでは、テキス トの項 目をた どりなが ら、留学経験 を部分を用いた
プランについて語 り合って もらい、オーガナイザーは進行役 ・聞き役 をいか した将来
ッション前 と後には、逆カルチャー シ ョックの経験 とつ どいの評価に関つ とめた。セ
ー ト (5件法、 自由記述法) を記入 し
す るワー クシ
表 2 テキス
て もらった。
トの使
官学逢坂をいか した将来プラン
1.
進路選び
2.
進路選びの
ヒン目次
ト①∼経験 の 「
たなお
用部分の
進路選びの ヒン ト② ∼○年後のキャ リアプラン∼
6. 自分の将来設計
7,ま とめ
4.学びの発展法
5.留学後※ ろ し」-
3.
※ r
留学後」とは、棒国後を指す に役立つ情報源
O
Ⅲ.
セ結果
ッシ と考察
ョン前評定では、2名 とも逆カルチャーシ ョックの経験 を
に)は
自分の "
普通"が通用 しな くなっている上に、周 りの 日本人 (
記 したO「
帰国後は
と思われているので、しん どかったです (
A)」な どと書かれていた。帰国後の問題 と
して、「自分がゆらいだ (
A)」「
帰ってきた らいきな り就活で焦った (
A)」「
一年進級
留学経験で社会貢献」を
が遅れた (B)」等が挙げ られたO意欲に関する項 目として 「
したい、「
後輩の留学サポー ト」を したい気持 ちの度合いを尋ねると、 2名 とも 「5.
大変あてはまる」を選んだ。一方で、「
将来のキャ リアプランを持っている」とい う項
3.どちらでもない」であった。
目の当てはま り度合いは、両名 とも 「
A)」 「
M BA を取 りに (
海
語 り合いでは 「(
留学の成果を) ビジネスでいか したい (
A)」 「
海外 と関わる仕事が した (
い) (B)」 「
も う1、 2カ国語 くら
外-)行 きたい (
いはや りたい (
-勉強 したい) (B)」 といった将来の意欲が語 られた。
セ ッシ ョン後評定を見ると、「
集いで得た もの、気付いた こと、役立った と思 うこと」
A)」「
忘れ
には、「
留学の経験を振 り返 るチャンスが意外 となかったことに気付いた (
かけていた経験 (
中略)を思い出せた (B)」 と記 していた。 「
今 日の集いを、今後 ど
A)」
う生かせそ うですか」との問いには、「
留学 とい う経験を生かす方法が広がった (
「自分の考えを整理 して、忘れないよ うにす る。形に残せ る (
B)」 と書かれていた。
「
今 日の集いに出て良かったですか」との質問には、2名 とも 「5.とてもよかった」
を選んだ。集いの感想 を尋ねると、「自分の意見が共感 された り、自分が共感 した りす
ることがあま り多 くなかったので安心できた (
A)」「
今までにないタイプのつ どいで
有意義 (B)」 と記 した。
結論 として、少人数で短時間行 うセ ッ
シ ョンで も、先のオ リジナル版セ ッシ ョ
01
0;2
01
1
b) と同様 に、
ン (
高演 ・田中,2
認知 ・行動 ・情緒的な効果の認識 が示 さ
気づき (
帝知)
F
G*
*・
,
展望
愈
れた (
図 1)
。気付 き、意欲 ・展望、安堵
が得 られ る点で、セ ッシ ョン規模 によら
矧
情緒,
図 1 セ ッシ ョン効果の 「
三要素」モデル
ず比較的安定的な感触が得 られ るよ うで
あ り、 ミニ版セ ッシ ョンの活用可能性 が
示唆 され る。
引用文献
高演愛 ・田中共子 (
2
01
0
)「
帰国後 日本人留学生のケアを目的 とした 自助 グループ活動」
『多文化関係学会 2
01
0年度第 9回年次大会抄録集』,p
p.
6
6
-6
9
高演愛 ・田中共子 (
2
011
a
)「
短期交換留学生の リエ ン トリー ・ステージにおける課題の
分析一 逆 カル チ ャー シ ョック と留学活用 を中心 に- 」『人文 ・自然研 究』 5号,
p
p.1
40
-1
5
7
高嶺愛 ・田中共子 (
2
01
1
b) 「
海外留学か ら帰国 した 日本人学生を対象 とした留学後教
育 :ケア とキャ リア形成のための 自助 グループの試み」『
201
1年度異文化間教育学
会第 3
2回大会発表抄録』p
p.1
5
0
-1
51
謝辞 本研究は、平成 21年 ∼2
2年度科学研究費補助金 (
挑戦的萌芽研究 21
65
3
0
9
0 代
表 高浜 愛)の助成を受けた。
50