共行動効果における社会的促進が身体活動量増加へ及ぼす影響 池山香1、末吉のり子1、村山敏夫2 新潟大学大学院、新潟大学 背景・目的 〜新潟県の現状〜 全国及び新潟県の運動習慣者の割合 全国及び新潟県の一日歩数平均(H24) 8000 7600 ( 歩) 7400 7200 35 健康日本21(第2次) 健康日本21(第1次)最終評価 日常生活における歩数の増加 (1200〜1500歩の増加) 30 運動の重要性は理解していても続かない 30 25 ⾏動に移せない 25 ( 20 7000 健康日本21(第2次)では平成34年までに1日男性9000歩、⼥性8500歩が目標 35 ( %) 健康日本21(第1次) 目標値 男性 9,200歩以上 ⼥性 8,300歩以上 身体活動基準2013 肥満者の割合 健康日本21(第1次) 目標値 男性 39% ⼥性 35% 40 7800 〜健康日本21より〜 平成24年国⺠健康・栄養調査 運動習慣者の割合の増加 (約10%の増加) % ) 6800 15 6600 10 20 地理 住⺠が運動しやすいまちづくり・環 境整備に取り組む自治体数の増加 (47都道府県) 15 5 6400 0 6200 男性 男性 女性 全国平均 全国 新潟平均 10 女性 経済 H13 新潟 H16 平成24年国⺠健康・栄養調査 男性…47都道府県中 40位 ⼥性… 〃 27位 男性 H20 H23 運動習慣者の割合 の増加 女性 インフラ Step1 健康維持増進を目的とした⾏動変容に効果的な仕組み構築を検討する 現状の把握 効果的な仕組み 仕組み実践 Step2 実態調査 -健康維持増進を目的としたイベント参加者の意識- 対象者:エクササイズイベントの参加者男⼥97名 調査項目:イベントへの参加意欲・満⾜度(アンケート) 10000 8000 8000 8000 6000 6000 6000 4000 4000 4000 2000 2000 0 0 •イベント概要 開催日時 2013年9月8日 開催場所 新潟県スポーツ施設 スタッフ数 参加者 約28名 97名 (参加者はメディカルフィットネ スクラブの会員が主であり、運動 医師 家族と 22% 管理栄養士 大学・研究機関 (歩) 12000 Q,誰と参加したのか 健康運動指導士 ひとりで 習慣者といえる) 2000 0 活動的 E 楽しみ 楽しみでない Step1・2より Step1では、運動を「楽しい」ものとしてとらえている人は有意に一日歩数平均が多いこ とがわかった。 Step2では、運動習慣のある群でも家族や友人が一緒にいることで⾏動を始めることができ るということがわかった。 仕方なく参加 Step1 運動を「楽しみ」ととらえること Q,来年はどの程度参加したいと思うか 5% 1% ひとりでもぜひ参加したい 普通 共⾏動存在が身体活動量の増加にどのように 影響を与えるかを検討する 家族や友人からのアプローチ 知人と一緒なら参加したい 37% 47% まあ満⾜ <共⾏動効果> ⼼理学⽤語で、「同じ作業屋課題を⾏っている他 者が別にいることで、社会的促進がもたらされる こと」をいう。「お互いの間で積極的な相互作⽤ は⾏われていないが、そこに他者が存在すること 自体が効果を持っている。」 知人が⾏きたがっていたら参 22% 加する 誰と一緒でも参加したくない 38% •活動量 •運動習慣者の増加 Step3 結果 効果的な仕組みの検討・提案 • 運動の満⾜度と歩数 • 性別と歩数 目的 共⾏動存在が歩数(⾝体活動量)増加に影響を及ぼす可能性を検討する 調査方法 • 対象者 • 期間 • 調査項目 • 手順 新潟大学事務職員29名 2014年7月〜継続中 歩数(⾝体活動量)、生活意識調査、POMS 被験者を集め、説明会を⾏った。歩数計は、日常生活でやむを 得ず外す場合(入浴・就寝等)以外は常に装着するように指示 した。この説明会では「歩数計を装着するようになる」ことに よる歩数への影響等がある可能性を考慮し、調査開始時は目標 値等の設定はしなかった。また、歩数や健康についてのチラシ (プラス10について等)を配布した。 P<0.05 = ** (歩) 14000 (歩) 18000 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 n.s. 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 男性 • 週ごとに⾒た被験者全体の歩数平均 C学部 D学部 X²値 8200 • 過去の運動経験や生活習慣(⾷・飲酒・睡眠・入浴・人間関係・ 仕事)と⾝体活動量に関連性は⾒られなかったが、運動習慣の満 ⾜度が高い人は歩数も有意に高い傾向が⾒られた。 2 P値 0.888 CFI 1.000 TLI 1.138 RMSEA 0.000 SRMR 0.015 X²値 n.s. 5.085 12000 自由度 2 10000 P値 0.079 7800 8000 CFI 0.908 7600 6000 TLI 0.724 7400 4000 RMSEA 0.231 7200 2000 SRMR 0.060 7000 0 1 2 3 週毎の平均 4 5 あり なし まとめ 考察 →(共分散構造分析の結果)調査開始直後と3週間後を比較すると歩 数計による動機づけの数値が低下していること、(週毎の平均歩数の 結果)時間経過とともに歩数平均の低下が⾒られないことから、歩数 計を⾝につけることによる増加ではないと考えられる。 0.237 自由度 調査開始3週間後 (歩) 14000 今回の調査では、一日歩数平均における男⼥差には有意な差がなかった。 生活意識調査においては、⾷生活・運動・飲酒・睡眠・入浴・人間関係・仕事の7 項目について質問したが、歩数との関連性があるのは運動についてのみだった。 • 本調査の対象者の平均歩数が8090歩であり、新潟県平均と比較し ても非常に高い結果となっている。 歩数計を⾝につけるようになったことによる結果か? • 調査期間中における歩くことへの動機づけ要因 (共分散構造分析) 調査直後 ** • 過去の運動経験と歩数 (歩) 8400 8000 A学部Aさん ** 女性 一日歩数平均 • 被験者の募集方法 下図のように、各学部の代表者と連絡をとり、それぞれの学部内で募集を してもらった。これにより、必ず最低一人はつながりを持つことができ、共⾏ 動者が存在することになる。 B学部 他者の存在が歩数(⾝体活動量)増加や運動習 慣をつけるための動機付けの一要因となるので はないか? Step2 ひとりでも参加できる 25% 22% 満⾜ 0 知人がどうしてもというので 61% とても エクササイズイベント •興味のあるレッスンに参加 •健康運動指導士による専門的な指導 •他の参加者との交流 •自分に合ったエクササイズを発⾒できる •効果的な運動法を知ることができる •仲間ができ継続につながる 2000 知人と一緒なら参加したい 61% 3% 攻撃的 4000 ひとりでも参加したい まあ不満 中間 攻撃性 •性格のタイプと⾝体活動量には関連性が⾒られなかった。 •運動を「楽しいもの」として捉えることが⾝体活動量増加につ ながる可能性がある。 Q,参加したいという気持ちがどの程度あったか 2% Q,参加しての満⾜度 攻撃的でない 非活動的 Step1より * 8000 37% 中間 活動性 10000 17% 友人と エクササイズイベント 実施 D 6000 新潟県内でエクササイズイベントを企画・運営。 アンケート調査を実施した。 ⾏政 C 運動に対する意識 •方法 被験者に3ヶ月間生活に支障のない 範囲で歩数計を装着してもらった。 同被験者に、生活意識調査・YG性格検査を⾏っ た。 n.s. n.s. 12000 n.s. 10000 タイプ •対象 事業所に勤務する30〜50代男⼥46名 (歩) n.s. 12000 n.s. n.s. A •期間 3ヶ月間 n.s. n.s. (歩) n.s. n.s. 12000 •内容 ⾝体活動量(歩数)調査 生活意識調査 YG性格検査 の検討・提案 Step1 現状の把握 -健康意識・性格と⾝体活動量の関係性- 対象者:新潟県内の事業所に勤務する30〜50代男⼥46名 調査項目:⾝体活動量(歩数)、健康意識(アンケート)、性格(YG性格検査) 実態調査 職場づくり n.s. n.s. (歩) 10000 Step2 社会整備の取組で重要な視点 まちづくり 職場 YG性格検査と歩数 人々を取り巻く環境の要因は多岐にわたる 現状の把握 地域 調査開始時は「歩数計を持つ」ことが動機づけの要因として大きく作⽤ している。 時間が経つにつれ、「歩数計を持つ」ことによる影響は小さくなり、ほ かの調査協⼒者による影響が大きくなる。 今後の課題 調査の経過を 目的 動機づけ要因 共⾏動存在が歩数(⾝体活動量)増加に影響を及ぼす可能性を検討する 共分散構造分析の結果より 時間の経過に従って、動機づけの要因が「歩数計を⾝につ けること」よりも「他の協⼒者がいること」のほうが強く影 響するようになっている。 仲間がいること、同じ目標や目的のために⾏動する人の存在が 歩数(⾝体活動量)の増加につながる可能性がある • 調査の動向を追う • 動機づけの要因をさらに細分 化し、⾝体活動量増加に効果 的だと考えられる要因を細部 まで検討する。その要因に即 した介入を⾏い、効果を検証 する。 追う を細分化 動機づけ要因 に即した介入 ⾝体活動量増加
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