2015 年度 本州太平洋におけるサケ回帰状況 (第 2 報:10 月 31 日現在) 国立研究開発法人水産総合研究センター 東北区水産研究所 沿岸漁業資源研究センター ・10 月 31 日現在までの本州太平洋側の地域全体のサケ来遊数は前年を下回る ・4 年魚の河川捕獲数は、河川によって状況が異なり、岩手県の津軽石川、織笠川、片岸川 では顕著に少ない状況 ・震災年に放流された 5 年魚の河川捕獲数は、青森県の奥入瀬川、岩手県の安家川、片岸 川、盛川、宮城県の気仙沼大川において、過去 10 年間で 2 番目~最も少ない状況 ※11 月の最盛期に向けて引き続き今後の動向を注視する必要があります。 1.サケ来遊概況 10 月 31 日現在の本州太平洋側(竜飛岬から東の青森県~茨城県)におけるサケ来遊数 (沿岸漁獲数と河川捕獲数の合計)の累計値は 215 万尾※1(前年同期:87%)と前年を下回 り、平年同期(1989~2014 年の平均値、375 万尾)との比較では 57%という状況です(図 1) 。 河川捕獲数の累計値は 19 万尾(前年同期:111%) と前年を上回り、平年同期(34 万尾) との比較では 57%となっています。 ※1:青森県(太平洋)、岩手県、宮城県の河川捕獲数および沿岸漁獲数(10 月 31 日現在) 、茨城県河川捕 獲数(10 月 20 日現在)の累計値 1,000 河川捕獲 沿岸漁獲 800 (万尾) 600 400 200 0 年 図1 8 月 1 日~10 月 31 日までの本州太平洋側におけるサケ来遊数(累計値)の経年変化 1 2.年齢別河川捕獲数と 4 年魚および 5 年魚の河川捕獲状況 現在までに年齢査定の終了している河川について、年齢別の河川捕獲数、主群となる 4 年 魚および震災年に放流された 5 年魚の河川捕獲状況をお知らせします。 ※枠内:第 1 報と同文 なお、本年度、年齢調査結果のお知らせを予定している河川および各河川におけるサケふ 化場の被災状況を図 2 に示します。調査河川の中では、岩手県の安家川、田老川、津軽石 川、片岸川、盛川のサケふ化場において、津波被害が甚大であっため、回帰動向が特に注目 されます。 1 川内川 青森県 2 奥入瀬川 3 新井田川 岩手県 4 安家川 5 田老川 6 津軽石川 7 織笠川 8 片岸川 9 盛川 10 気仙沼大川 宮城県 11 北上川 図2 河川 ふ化場施設の 津波被害 震災時の放流状況 1 川内川 なし 停電のため緊急放流 2 奥入瀬川 なし 停電のため緊急放流 3 新井田川 なし 4 安家川 甚大 5 田老川 第一ふ化場が水没 6 津軽石川 甚大 7 織笠川 なし 8 片岸川 甚大 9 盛川 甚大 停電のため緊急放流 停電のため緊急放流 10 気仙沼大川 なし 停電のため緊急放流 11 なし 震災の前日に放流終了 北上川 2015 年度 年齢調査河川(左図)および各河川におけるふ化場の被災状況(右表) 青森県 【奥入瀬川】 4 年魚の捕獲数は、過去 10 年間で 3 番目に多くなっているものの例年並み(図 3-B)、5 年魚の捕獲数は過去 10 年間で最も少なくなっています(図 3-C) 。これらにより、全ての年 齢構成を累計した河川捕獲数(以下、累計河川捕獲数)は、例年並みとなっています(図 3A) 。 【新井田川】 4 年魚の捕獲数は、過去 10 年間で最も多くなっており(図 3-B) 、5 年魚の捕獲数は、昨 年度を上回り、例年並みとなっています(図 3-C) 。これらにより、累計河川捕獲数は過去 10 年間で 2 番目に多い値となっています(図 3-A) 。 2 3年魚 4年魚 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 4年魚 A 4000 1500 3000 尾 尾 奥入瀬川 (10月20日現在) B 2000 1000 500 1000 ※ 500 ※ 0 年 年 3年魚 4年魚 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 A 尾 尾 20000 15000 10000 5000 0 年 4年魚 30000 25000 ※ 0 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 B 尾 0 新井田川 (10月20日現在) C 1500 1000 2000 2年魚 5年魚 2500 2000 5000 尾 2年魚 18000 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 5年魚 C 年 年 年 図 3 年齢別の河川捕獲数(A)および 4 年魚(B) 、5 年魚(C)の河川捕獲数の経年変化 いずれのグラフも過去の 10 月 20 日時点における累計値と比較。※は調査を実施していないことを 示す。 岩手県 【安家川】 4 年魚の捕獲数は、過去 10 年間で最も多くなっており(図 4-B) 、5 年魚の捕獲数は、昨 年度を下回り、過去 10 年間では、最も少ない状況になっています(図 4-C) 。これらによ り、累計河川捕獲数も過去 10 年間で 2 番目に多い値となっています(図 4-A) 。 【田老川】 放流数が少なかった 4 年魚の捕獲数は、過去 10 年間で 4 番目に少なくなっており(図 4B) 、5 年魚の捕獲数は、昨年度を上回り、過去 10 年間の変動の範囲内となっています(図 4-C)これらにより、累計河川捕獲数も過去 10 年間で 2 番目に少ない値となっています(図 4-A) 。 【津軽石川】 4 年魚の捕獲数は、極めて少ない状況であり(図 4-B) 、5 年魚の捕獲数については、ほぼ 例年並みとなっています(図 4-C) 。これらにより、累計河川捕獲数は、過去 7 年間で低い 水準に留まっています(図 4-A) 。 【織笠川】 4 年魚の捕獲数は、極めて少ない状況であり(図 4-B) 、5 年魚の捕獲数は、ほぼ例年並み となっています(図 4-C) 。これらにより、累計河川捕獲数は、過去 9 年間で低い水準に留 まっています(図 4-A) 。 3 【片岸川】 放流数が少なかった 4 年魚、および 5 年魚の捕獲数は、ともに極めて少ない状況であり (図 4-B) 、これらにより、累計河川捕獲数は、過去 10 年間で最も少なくなっています(図 4-A) 。 【盛川】 放流数が少なかった 4 年魚の捕獲数は、前年を上回り、過去 10 年間の平均を上回ってお り(図 4-B) 、5 年魚の捕獲数は、昨年度を下回り、過去 10 年間で 2 番目に少なくなってい ます(図 4-C) 。これらにより、累計河川捕獲数も過去 10 年間で 4 番目に多い値となってい ます(図 4-A) 。 4 4年魚 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 4年魚 尾 40000 尾 安家川 (10月31日現在) A 50000 30000 20000 10000 0 45000 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 B 尾 3年魚 60000 4年魚 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 4年魚 10000 5年魚 6年魚 3000 4000 2000 2000 1000 0 0 年 7年魚 8年魚 ※ ※ ※ 4年魚 5年魚 10000 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 B ※ ※ ※ 7年魚 8年魚 4年魚 尾 尾 5000 B 4年魚 5年魚 7年魚 8年魚 4年魚 尾 尾 10000 B 8000 尾 A 12000 6000 10000 4000 5000 2000 0 0 4年魚 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 4年魚 A 10000 B 8000 8000 尾 尾 10000 6000 6000 4000 4000 5年魚 C 年 12000 14000 盛川 (10月31日現在) 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 年 年 3年魚 12000 年 14000 15000 2年魚 ※ 0 年 6年魚 25000 20000 1500 500 ※ 0 年 3年魚 C 1000 1000 ※ 5年魚 2000 2000 2000 片岸川 (10月31日現在) 2500 4000 3000 4000 2年魚 ※ ※ ※ 3000 尾 A 6000 6000 0 5年魚 C 年 7000 8000 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 年 6年魚 10000 織笠川 (10月31日現在) 年 4年魚 A 3年魚 C 4000 6000 年 2年魚 5000 尾 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 4年魚 尾 尾 津軽石川 (10月31日現在) 3年魚 6000 8000 5年魚 7000 B 尾 A 12000 年 2年魚 5年魚 C 年 14000 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 尾 尾 田老川 (10月31日現在) 3年魚 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 年 年 2年魚 尾 2年魚 2000 2000 0 0 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 5年魚 C 年 年 年 図 4 年齢別の河川捕獲数(A)および 4 年魚(B) 、5 年魚(C)の河川捕獲数の経年変化 いずれのグラフも過去の 10 月 31 日時点における累計値と比較。※は調査を実施していないことを 示す。 5 宮城県 【気仙沼大川】10 月 20 日現在 4 年魚の捕獲数は、前年を上回るものの、過去 10 年間の平均を下回り(図 5-B) 、5 年魚 の捕獲数は過去 10 年間で最も少なくなっています(図 5-C) 。これらにより、累計河川捕獲 数は、過去 10 年間で低い水準に留まっています(図 5-A) 。 【北上川】10 月 31 日現在 4 年魚の捕獲数は前年を上回り、5 年魚の捕獲数は前年を下回るものの、いずれも例年並 となっています(図 5-B、5-C) 。これらにより、累計河川捕獲数は例年並みとなっています (図 5-A) 。 3年魚 12000 10000 5年魚 6年魚 7年魚 8年魚 4年魚 7000 A 尾 4000 3000 4000 2000 2000 1000 0 0 4年魚 5年魚 6年魚 1000 0 年 7年魚 8年魚 4年魚 A 40000 尾 尾 40000 30000 B 30000 25000 30000 10000 10000 0 0 C 20000 15000 20000 20000 5年魚 35000 尾 50000 年 50000 60000 北上川 (10月31日現在) 3000 2000 年 3年魚 4000 5年魚 C 5000 6000 2年魚 5000 B 6000 8000 尾 気仙沼大川 (10月20日現在) 4年魚 尾 2年魚 10000 5000 0 年 年 図 5 年齢別の河川捕獲数(A)および 4 年魚(B) 、5 年魚(C)の河川捕獲数の経年変化 気仙沼大川は 10 月 20 日、北上川は 10 月 31 日時点における累計値と比較。 6 年
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