第 4 回電磁気学 I 演習 解答

2014 年 11 月 12 日(水)
第 4 回電磁気学 I 演習
解答
~ビオ・サバールの法則,磁気双極子モーメント~
1.電気双極子モーメント p  qle z の電位  (r , ) 
ql cos 
において,q  qm ,  0  0
4 0 r 2
に変えると磁位が求まる.磁位は,
q l cos 
m cos 
m (r , )  m

2
4 0 r
4 0 r 2
電場が E   (r , ) で与えられたのと同様に,磁場は H  m (r , ) で求まる.

1 
m ( r ,  ) e r 
m (r , )e
r
r 
m 2 cos 
m sin 

er 
e
3
4 0 r
4 0 r 3
H  m (r , )  
したがって, H r (r , ) 
Br (r , ) 
m cos 
m sin 
となり, B  0 H から,
, H (r ,  ) 
3
2 0 r
4 0 r 3
m cos 
m sin 
と求まる.
, B (r , ) 
3
2r
4r 3
【補足】E-H 対応の場合,磁荷の存在を仮定して,磁荷が磁場をつくると考えます.
このとき,電荷と電場に関して成り立つ様々な法則の,電荷 q を磁荷 qm に,電場 E
を磁場 H に,真空の誘電率  0 を真空の透磁率  0 に置き換えると,磁荷と磁場の法則
が得られます.ただし,電荷とは異なり,磁荷は単独で存在することはなく,正負
の磁荷がペアになっています(磁気双極子モーメント).電磁気学 I 講義は E-H 対応で
す.一方,E-B 対応では,磁場は電荷の運動である電流がつくると考えます.電磁
気学の教科書や参考書を読むときは,どちらの立場で書かれているか確認するよう
にして下さい.
2.ビオ・サバールの法則には外積が含まれているので,2-1,3 の解答のように r , r ' , dr '
をベクトルで表して計算する方法が簡単です.ベクトルを用いずに,大きさ dB(r ) を
計算する方法では,閉曲線で積分して B(r ) を求めるとき,どの成分が残るか考え
ることになります.そのためには,磁束密度がどの方向を向いているか外積の定義
に従って考えておかなくてはなりません.
2-1. r '  (a cos  , a sin  , 0), dr '  (a sin   d , a cos   d , 0)
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2-2.
dr '(r  r ' )  (a sin   d , a cos   d , 0)  ( x  a cos  , y  a sin  , z )
 ( za cos   d , za sin   d ,{ xa cos   ya sin   a 2 }d )
| r  r ' | 3  {x 2  y 2  z 2  2a( x cos   y sin  )  a 2 }3 / 2
 {r 2  2a( x cos   y sin  )  a 2 }3 / 2
1  2a
a2 
 3 1  2 ( x cos   y sin  )  2 
r  r
r 
1  3a

 3 1  2 ( x cos   y sin  )
r  r

3 / 2
2-3.2-2 から,
 0 Ia 
3az

z cos   2 ( x cos   y sin  ) cos  d
3 
4r 
r

 Ia 
3az

dB y  0 3  z sin   2 ( x cos   y sin  ) sin  d
4r 
r

dB x 
dB z 

 0 Ia 
3a
3a 2
2

x
cos


y
sin


a

(
x
cos


y
sin

)

( x cos   y sin  )d

3
2
2
4r 
r
r

これらを  について 0 から 2 まで積分すると,
B(r ) 
 0 Ia 2  3xz 3 yz
4r 3
 2 , 2 , 2  3
r
 r
x2  y2 

r 2 
と求まる.m  0 Ia 2e z とおくと,B(r ) 
1
4
 3r (m  r ) m 
 3  と等しくなるのは明
 r 5
r 
らか(計算省略).
【補足 1】ビオ・サバールの法則にある dr ' は, dr ' の「大きさ」と「方向を表す単位
ベクトル」の積で表します.この問題の場合,大きさは ad ,単位ベクトルは
( sin  , cos  , 0) です. dr '  (a cos(  d )  a cos , a sin(  d )  a sin , 0) とするのは
間違いではありませんが, f ( x  dx)  f ( x)  f ' ( x)dx というテイラー展開(第 1 回【宿
題】6 の解答参照)を使って,dr '  (a sin   d , a cos   d , 0) と変形して下さい.なお,
cos d  1, sin d  d を使ってもこのように変形できます.
【補足 2】1 では E-H 対応に基づいて,磁気双極子モーメント m  qm le z がつくる磁場
(磁束密度)を求めました.2 では微小閉電流がつくる磁場(磁束密度)を求めました.1
と 2 で同じ磁場(磁束密度)が得られることから,磁気双極子モーメントは微小閉電流
と見なすことができる(逆も成立する)ことがわかります.
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3.円筒座標系を用いると, r  re r  ze z , r '  r ' e z , dr '  dr ' e z であるから,
dr '(r  r ' )  dr ' e z  {re r  ( z  r ' )e z }  rdr' e .したがって,
dB(r ) 
B(r ) 
rdr ' e
0 I
2
4 {r  ( z  r ' ) 2 }3 / 2
l
z l
0 I
 I
dr '
dt
re 
  0 re 
2
2
3
/
2
2
l {r  ( z  r ' ) }
z  l {r  t 2 }3 / 2
4
4
2
1

 0 I 1 
z  l1
z  l2

 2
2
2
4 r  r  ( z  l1 )
r  ( z  l2 ) 2

2
1

e
