触媒担持型 DPF のシミュレーション と PM 燃焼の評価

触媒担持型 DPF のシミュレーション
と PM 燃焼の評価
講演者 名古屋大学大学院工学研究科 機械理工学専攻 山本和弘
講演概要 ディーゼル排気ガスに含まれるススなどの微粒子(Particulate Matters:
PM)の規制は年々厳しいものとなっている.このような厳しい規制をクリアす
る重要な技術の一つとして,ディーゼル微粒子除去フィルタ(Diesel Particulate
Filter: DPF)が開発された.DPF には高い捕集性能が求められるが,PM を捕
集し続けるとフィルタが目詰りして背圧が上昇し,燃費が低下するなどの問題
が起こる.そのため,PM を酸化・除去し,フィルタを再生させる必要がある.
しかし,排気ガスの温度は DPF 内に捕集されたススが燃焼するほど高温ではな
い.また,PM を過剰に捕集した状態でフィルタの再生を行うと,PM が燃焼す
る際に発生する熱により DPF が割れるなどの問題がある.そこで,PM をフィ
ルタ内に堆積させることなく低温で酸化させる必要がある.
連続再生式 DPF では,フィルタの基材表面に触媒を担持させることで,捕集
した PM を低温で酸化させることが可能である.また,PM の捕集と酸化を同
時に行うため,多くの PM をフィルタ内に溜めこむことがない.ただし,白金
などの触媒は高価であり,使用する触媒の量を抑制するには排気ガスの流れや
PM の堆積・酸化の過程を詳細に把握する必要があるが,実験により内部現象を
詳細に検討することは困難である.我々の研究グループでは,格子ボルツマン
法を用いた数値シミュレーションを行い,フィルタ内部で起こるすすの堆積及
び酸化の過程を可視化・検討している.今回はシミュレーションによる研究事
例を報告する.また,本研究室で行っている実験についても紹介する.
参考論文
K. Yamamoto, T. Sakai, Simulation of continuously regenerating trap with
catalyzed DPF, Catalysis Today, Vol.153, in press.