DECIGO/DPF 用の 周波数安定化光源の開発 (3) 電気通信大学 レーザー新世代研究センター 中村 真大*、 堀 内 慎 也 、武者満、中川賢一、植田憲一 2009年 9月 10日 於 日本物理学会 秋季大会 目的 DECIGO / DPFの光源開発 DECIGO PathFinder (DPF)・・・DECIGO の技術実証機 DECIGO と DPFの要求性能 DECIGO DPF 光強度 10 W 100 mW 波長 532 nm (or 515 nm) 1064 nm (or 1030 nm) 強度安定度 δI / I ≦10-8/√Hz δI / I ≦10-8/√Hz 周波数安定度 δf ≦ 0.5 Hz/√Hz @ 1 Hz @532 nm δf ≦ 1 Hz/√Hz @ 1 Hz @1064 nm DECIGO と DPF の強度・周波数安定度の要求は同レベル 強度・周波数安定度の要求達成を目指す 前回の発表 ( 1 ) 1. DPF用光源として ヨウ素の飽和吸収線によるYb:NPROの周波数安定化 ・ファイバ結合導波路型PPLNで、安定・高出力な第2高調波発生 ⇒ 第2高調波の強度が 10 mW から 20 mWへ向上 ] z H t r / m B d [ ・I2 −光の相互作用長を40 cm から200 cmに延長 ⇒ 周波数弁別信号のS/N向上 ・I2 −光の相互作用時間を延ばすためセル中ビーム径を拡大 ⇒ 飽和吸収線の飛行時間拡がりを抑制 ・偏光調整により光のフレネル反射を抑制 ⇒ 光散乱雑音が減り信号のS/Nが向上 これらの改善により弁別信号のS/Nが向上 その信号でYb:NPROを周波数安定化 l a -30 n g -40 i s -50 r -60 o r -70 r E -80 -90 10 100 Frequency [Hz] 1000 前回の発表 ( 2 ) 2. DECIGO用光源の検証として* ファブリ・ペロー共振器による Nd:NPROの周波数安定化を行った ・機械振動が周波数安定度へ与える影響 (1 Hz/rtHz以下の実現には加速度が 10-5 m/s2以下) ・共振器の温度ゆらぎが周波数安定度に与える影響 (1 Hz/rtHz以下の実現には温度ゆらぎが 3 µK以下) * DECIGOの安定化光源は、 光共振器と飽和吸収分光法のどちらを利用するか検討中である 今回の発表 ・Yb:NPRO の強度安定化を行い、 強度安定度と周波数安定度を向上させた ・周波数安定化に最適な ヨウ素の飽和吸収線を特定した レーザー強度安定化 観測帯域 (1Hz帯) での強度安定化 ・・・ 重力波検出器の感度向上 変調帯域 (200 kHz帯) での強度安定化 ・・・ レーザー周波数安定度の向上 なぜ 200 kHz の強度雑音が 周波数雑音と結合するのか? 強度雑音と周波数雑音の結合 200kHz 位相変調 ] z H t Lock-in r Amp. / V [ EOM PBS pump probe I2 Cell 1E-6 1E-7 1E-8 ショット雑音 1E-9 1E+1 1E+2 1E+3 1E+4 1E+5 1E+6 1E+7 1E+8 Freq. [Hz] 光源の相対強度雑音スペクトル . f 0 f i d -5 光源の相対強度雑音 1E-5 周波数安定化系 l a n5 g i s 1E-4 RIN [1/√Hz] 200 kHz 変調帯域200 kHzの強度雑音は 光検出器のショット雑音より大きい 0 2 4 6 Laser frequency [MHz] 8 ⇒ 周波数雑音に強度雑音が結合している 強度安定化の4方式 ・光源の励起用LDの電流変調 原理的には制御帯域が広いが、 光源の制約で100 kHz以上は対応できない ・EOM (電気光学変調器) 応答が速く、200 kHz帯の安定化も可能 ただし動作に高いDC電圧が必要 ・AOM (音響光学変調器) 応答が遅く、200 kHz帯の安定化はできない ・同相雑音除去 信号から電気的に雑音を除去 feed forwardであり利得が1 今回はこの2方式について報告を行う 観測帯域1Hzの強度安定化(AOM) AOM とは、特定周波数の音響振動によって 光を散乱させる素子 AOMを利用した強度変調・・・ AOM駆動信号 (80MHz正弦波) を強度変調し、AOM回折効率を変調 振幅変調された80 MHz信号 AM input ビームサンプラ 光源系から 7.9 mW AOM (80MHz) Servo filter 0.9 mW ] g 50 e d [ 0 e s a -50 h P -100 -150 AOMの位相−周波数特性 105 106 Freq. [Hz] 107 観測帯域1 Hzの強 度 安定 化( 化 (AOM) 1.E-02 freerun stabilized Relative Intensity Noise [/rtHz] 1.E-03 1.E-04 1.E-05 1.E-06 DECIGO要求値 1.E-07 äI = 10-8 I 1.E-08 1.E-09 1.E+01 1.E+02 Freq. [Hz] 1.E+03 1Hz帯での強度安定化を行った (unity gain 10 kHz) 低域ゲインを増せば要求達成が可能 変調帯域 200 kHzの強度安定化(同相雑音除去) ビーム I2 セル サンプラ Vsignal + δvcommon 200 kHz + TEC − δvcommon Vsignal 15 10 5 0 FFTアナライザ -5 -10 -15 1. 飽和吸収信号の光源強度雑音成分を、減算回路で除去 2. 弁別信号のS/Nが向上し、周波数安定度も向上する 周波数雑音限界 δf = df δV dV ] 変調帯域 200 kHzの強度安定化(同相雑音除去) m B d 復調後の雑音パワースペクトル [ (周波数安定度と比例) m -10 u r t -20 c e p -30 s -40 r e w -50 o P -60 -70 15 Noise suppressed Direct 10 5 0 -5 -10 -15 弁別信号に重畳した 雑音のスペクトル 1 10 Freq. [Hz] 100 光の同相雑音を除去し、周波数安定度が向上した 飽和吸収線の評価(光 源の波 長掃引 特性)) 源の 波長 掃引特性 Yb:NPRO結晶温度による波長掃引 1.03024 理論による 波長掃引特性 Wavelength [μm] 1.03023 (LD電流2.0A) δλ = 0.04 nm 1.03022 1.03021 1.03020 1.03019 1.03018 1.03017 15 20 25 30 35 40 45 50 Tempature [℃] 実測値はモードホップ後に、同じ波長範囲へ戻ってしまう つまり波長の選択幅が小さく、吸収線の自由度が少ない (我々のNPRO固有の問題?) 飽和吸収線の評価 周波数安定化には鋭い飽和吸収線が有効 微分値が最大の信号 = 周波数安定化に最適 6 4 飽和吸収線 (1次微分) 2 0 -2 -4 -6 0.6 0.8 1 1.2 1.4 飽和吸収線 (2次微分の2乗) 波長515.10085 nm 最適な吸収線 1.6 1.8 まとめ ・観測帯域 1HzでAOM強度安定化を確認 ・変調帯域200kHzで同相雑音除去により 周波数安定度が向上することを確認 ・周波数安定化に最適な吸収線を特定 今後の予定 ・強度安定化のサーボを最適化する ・機械的信頼性の高い可搬式光源を構築中 通総研のモードロック レーザーと周波数安定度を評価する
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