2015年1月6日 東芝メディカルシステムズ株式会社 国際多施設共同研究により非造影 MR アンギオグラフィ―の臨床的有用性を世界レベルで立証 ~腎動脈狭窄評価の有用性が臨床エビデンスとして論文掲載~ 東芝メディカルシステムズ株式会社(本社:栃木県大田原市 社長:瀧口 登志夫)が後援する国際多施設共同研究 “REACT”( リ ア ク ト ; REnal Artery Contrast-free Trial) の 研 究 成 果 に 関 す る 論 文 が 、 AJR(American Journal of Roentgenology) January 2015, Volume 204, Number 1 にて、臨床エビデンスとして掲載されました。 本論文では、非造影撮像法である Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法注1による腎動脈狭窄評価の臨 床的有用性を、CT アンギオグラフィ―(CTA)と比較して立証しました。また、造影剤を用いる CTA と比べ、非造影撮像の Time-SLIP 法が、安全な代替評価手法となり得る可能性を証明しました。 国際多施設共同研究の背景 米国食品医薬品局 (FDA) は、 2006 年慢性腎疾患患者だけでなく末期腎疾患、急性腎不全の患者にガドリニウム系 造影剤を使用することによって腎性全身性線維症 (NSF) を発症する危険があるという警告を発表しました。現在 NSF の効果的な治療法がないため、この病気を避けるためには予防が重要になります。そこで、ガドリニウム系造影剤を使 わずに血管を高精細に描出可能な非造影 MRA が広く注目されるようになりました。 国際多施設共同研究“REACT” 腎動脈狭窄の診断ツールとしての非造影 MRA の有用性を検証するため、当社は米国、フランス、スペイン、中国、日 本の 5 カ国 7 施設注2と共同して国際多施設共同研究 REACT (REnal Artery Contrast-free Trial) を立ち上げました。登 録患者は 75 名(年齢: 58 ± 13 歳 (平均 ± SD), うち男性 41 人 (55%))で、被験者全員に対し、腎動脈狭窄の評価を 目的として非造影腎 MRA 検査注3および CT アンギオグラフィ(CTA)を実施し、データの解析が実施されました。 この研究では CTA を参照基準としたとき、腎動脈狭窄の検出における患者ベースの非造影 MRA の診断精度は 0.90、 感度と特異度はそれぞれ 0.74、 0.93 でした。また、非造影 MRA の画質評価は 96% の症例で "good" または "excellent" でした。これらの結果は、「ゴールドスタンダード」である CTA と比較しても非造影 MRA が腎動脈の有意狭窄 (>50% を有意狭窄と定義) の有無を判断する正確な手法であることを示しています。この結果は、2013 年 3 月 7 日に開 催された欧州放射線学会で、本国際多施設共同研究の首席研究者である Dr. Timothy Albert (米国 循環器診断センタ ー所長) によって、「非造影腎 MRA は非造影撮像の有用な手法であり、ガドリニウム系造影剤による腎性全身性線維症 (NSF) や腎性線維化性皮膚症 (NFD) といった稀ではあるが致命的となりうる多臓器線維化性疾患などの副作用のリ スクを回避すると同時に、高い信頼性で患者さんを診断するための正確かつ非侵襲的な手法である」と発表されました。 このたび、本研究に関する論文が AJR(American Journal of Roentgenology) January 2015, Volume 204, Number 1 に掲載され、非造影の Time-SLIP 法が腎動脈狭窄評価に有用であることの臨床エビデンスを得ることが出来ました。造 影剤を用いる従来の CTA と比べ、非造影撮像の Time-SLIP 法は安全な代替評価手法として有用であり、現行の医療に 新しい枠組みをもたらします。 Dr. Timothy Albert は、この論文掲載に際して「REACT は、世界初の非造影 MRA 国際多施設共同研究であり、アジ ア・欧州・米国で行った評価の集大成です。Time-SLIP 法は、ユーザにとって簡単に使える技術です。この手法により多 様な患者グループ(人種)において、安全で確実な腎動脈狭窄検査ができることが証明されました。本研究 REACT を通し て東芝は、最新技術の開発・提供だけでなく、臨床エビデンスの構築・提供に大きく貢献しました。」と述べています。 当社社長の瀧口は「経営スローガンとしてとして揚げている「Made for Life™」に基づき、患者さんのリスクを最小限に 抑えながら最善の治療に貢献できる優れた画像を提供できるよう開発を推進しています。REACT では、造影剤を使用せ ずに腎動脈狭窄を検出できるようになったことが確認されました。当社独自の先進的非造影 MRA は非侵襲的で痛みの ない手法であり、ガドリニウム系造影剤に伴うリスクを排除するだけでなく、セットアップにかかる時間も短縮できるため、 画質を損なうことなくより快適な、より短時間で終わる MR 検査を患者さんに提供できます。」と語っています。 注1:Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法:腎臓疾患のある患者さんを含めた全ての患者さんに対する撮像の安全性を向上させるため、 当社は造影剤なしで MRA 検査を実施できる先進的な非造影 MRA 手法を開発しました。Time-SLIP 法はこの非造影 MRA 手法のうちのひとつあり、東 芝の全ての MRI 装置で適用可能です。この手法は全身に適用可能で、血行動態の評価、機能評価、および血管構造物の描出に有用です。Time-SLIP 法では見たい血管のみを選択的に描出することができるため、特に腎動脈、門脈系、肺動脈のように多方向に走行する複数の血管と複雑な血行動態 をもっている血管の選択的描出に有用です。 注 2:東京大学(日本)、Advanced Diagnostic Imaging Center(米国)、University of Texas Health Science Center at San Antonio(米国)、Imagerie Médicale du Bois de Verrières(フランス)、Fundació Puigvert(スペイン)、Centros Médicos Creu Blanca(スペイン)、Peking Union Medical College Hospital(中国) 注 3:1.5T MRI 装置 EXCELART Vantage™ powered by Atlas と Vantage Titan™ の両方の装置を使用 以上 【東芝メディカルシステムズについて】 当社は、株式会社東芝 ヘルスケア社の⼀員として、疾病の早期診断、早期治療のための患者さんにやさしいさまざまな医療システム・サービスを世 界 135 カ国以上に提供しています。 当社の経営スローガンである「Made for Life™」(患者さんのために、あなたのために、そしてともに歩むために)のもと、みんなが健康でいきいき⽣活でき る社会の実現を⽬指します。 東芝メディカルシステムズ株式会社 ホームページ︓http://www.toshiba-medical.co.jp/ 【地球環境への取り組み】 当社は、より良い地球環境の実現のため、開発、調達、製造、販売、サービス、廃棄段階まで⼀貫して環境への影響に配慮した医療機器・システム を提供しています。地球温暖化防⽌をはじめとし、医療放射線被ばくの低減、資源有効活⽤、化学物質の管理など推進し、地球との共⽣や豊かな 価値の創造のために環境保全に取り組みます。 東芝メディカルシステムズ株式会社 環境活動︓ http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/company/env/ 株式会社東芝 環境活動︓http://www.toshiba.co.jp/env/jp/index_j.htm Made for Life、EXCELART Vantage、Vantage Titan は東芝メディカルシステムズの商標です。
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