回転格子ポテンシャル中のBose凝縮体における
渦格子構造とダイナミクス
東理大理 石山智彦
東大物性研 佐藤年裕
東理大理 二国徹郎
∼Outline∼
・Introduction
・Gross-Pitaevskii equation
−2D Gross-Pitaevskii equation in rotating frame
−Square Optical Lattice Potential
・Numerical Result
−Ground State without Rotation
−Equilibrum states
−Structure Factor
−Vortex Lattice Structure
・Summary
∼Introduction∼
非等方的トラップによる渦格子
MITの実験のようにBose凝縮体を
トラップし、非等方的なポテンシャル
で回転させて形成される渦格子の形
状はAbrikosov格子(三角格子)であ
る。
J.R.aAdo-Shaeer, Science 292, 476(2001)
格子ポテンシャルによる渦格子
最近のJILAの実験では格子状に配
置したレーザーを回転させることにより
渦格子を形成している。この場合、格
子ポテンシャルによるピン止め効果に
よって三角格子以外の形状の格子も形
成できることが観測された。
S. Tung, cond-mat 0607697(2006)
∼Introduction∼
四角格子状に配置したレーザーによって
トラップ中のBose凝縮体を回転させる。
レーザーの強度により構造転移
・Weak laser → Abrikosov lattice
・Strong laser → pinned lattice
S. Tung, cond-mat 0607697(2006)
格子ポテンシャルの間隔、強度、回転角
速度を変化させることによって、渦格子
構造を議論
∼Gross-Pitaevskii Equation∼
・今回解くべき方程式は回転系における2次元のGross-Pitaevskii方程式(以下
GP方程式)を規格化し無次元化したものであり、その方程式は次のようになる。
(i
)
t
規格化長:aho
2
1
2
x
h
m 0
規格化時間:tho
2
y
2
h
Lz
C : 相互作用定数 ( 1000)
0
aho
ただし、 0はトラップ振動数
Nは粒子数である。
C
Vlat : 格子ポテンシャル
N
ho
Vlat
2
: 散逸項
0
規格化波動関数:
y
2
1.01 m
1
規格化エネルギー:Eho
2
1 2
x
2
: 回転角速度
Lz : 角運動量
i x
y
y
x
∼Square Optical Lattice Potential∼
・今回の研究ではBlue-detuned laser beamによって作成した四角格子ポテン
シャルを回転させる。式は以下のように表せる。
Vlat
V0 exp
n1 , n2
r r
| r rn1 ,n2 |2
r
r
r
rn1 , n2 n1a1 n2 a 2
r
r
a1 (a,0), a 2 (0, a )
( / 2) 2
healing length ; / aho
a : 格子間隔
0.12
width of the laser beam ;
/ aho
0.65
∼Numerical Result∼
・GP方程式を時間発展させるために、初期状態として格子ポテンシャルを
含んだ状態で回転していない(Ω=0)系でのBose凝縮体の基底状態を求
めた。密度分布が下図の左である。また右は構造因子である。
a / aho
y
2.0 V0
5. 0
r
a2
r
a1
x
Condesate density
2
n(r )
(r )
kx
ky
Structure factor
S (k )
drn(r )e
ik r
・レーザーの格子間隔と回転角速度を固定し、強度を変えたときの平衡状態を
a / aho
以下に示す。上が密度分布、下が構造因子。
k0
ktr1
k0
ktr1
ksq
2.0
k0
0.90
ktr1
ksq
ksq
ktr2
ktr2
ktr2
Abrikosov lattice
coexisting state
pinned lattice
(V0=0.12)
(V0=0.8)
(V0=3.0)
∼Structure Factor∼
・ レーザー強度の変化による構造転移を見るために、3つのピークのStructure
factor (a/aho=2.0, Ω=0.88)とレーザーの強度の関係を以下に示す。
|S(ksq)| (■) : 四角格子のピーク(横の周期)
|S(k0)| (●) : 四角格子のピーク(縦の周期)
k0
ktr1
ksq
|S(ktr)| (▲) ( |S(ktr1)| と|S(ktr2)|の平均値) : 三角格子のピーク
ktr2
横と縦のピークの強度が一致
四角格子
k0
ktr1
ksq
ktr2
coexisting state
pinned lattice
三角格子
∼Vortex Lattice Structure∼
・格子間隔a/aho=2.0における渦格子構造を以下に示す。
極小値=強いピン止め効果
V 0 1 .2 ( / 0
0 . 90 )
V0
pinned lattice
(square)
coexisting state
/
0
・いくつかの格子間隔a/ahoにおけるレーザー強度の極小値に対しての回転角速度 Ω/ω0を以下に示した。
solid line
a/aho
a△ / aho
2
32 /
0
凝縮体の回転角速度から
予測されるAbrikosov格子
の格子間隔
a = a△
のときレーザー強度が
極小値を取る!
/
0
∼Summary∼
・今回我々は、格子ポテンシャルによるピン止め効果により、Abrikosov格子以外の形
状の格子を形成することをシミュレートした。
・渦格子のピン止めが起こるレーザー強度の極小値の存在。
・また格子ポテンシャルの格子間隔と、回転角速度から予測されるAbrikosov格子の格
子間隔が一致したとき、すなわちa = a△のときにピン止めが起こるレーザー強度は極小
値を取る。