10倍速くやり、5倍多く失敗し、2倍成功する ヤフーの「爆速

2015
1
34
先端企業ケーススタディ○
10倍速くやり、5倍多く失敗し、2倍成功する
ヤフーの「爆速経営」を支える人材育成
2012 年 4 月、経営陣を刷新したヤフー。同社は、再び攻めの姿勢を取り戻
すため、
「高速」を超える「爆速経営」へと舵を切り、大胆な改革を推進すると
ともに、人事面においても新たな施策を打ち出してきた。その試みは広く注目
を集めている。
「社員個々の才能と情熱を解き放ち、1人ひとりのパフォーマンスを最大化す
ることが人事制度の根幹」と語る同社執行役員の本間浩輔氏に、新たな人
事施策の狙いや人材育成の考え方などについて、お話しいただいた。 (聞き手:水上みさ=ヘイグループ・PR&マーケティングマネジャー)
本間 浩輔
課題解決のための
課題解決のため
課題解決
のための
のため
の
キーワー
キ
ーワード
爆速、
爆
速、フォーカ
ーカス
ーカス、
ス、ワイル
ワイルド
ー
ー
ヤフー株式会社
執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長
方法論が
方法
方
論が、
論が
論
論が「爆
、
「爆
爆速
速」
「フォー
「フォ
「フ
ォーカス
ォー
ォ カス
カス」
カス」
」、 早 い IT
IT の 業 界において
界におい
界に
界 にお
界にお
おいて
おい て「まず
「まず
方法論が、
「爆速」
、
「フォーカス」
「ワイル
「
イルド」である
であると言っています。
と
と言っ
と言
言ってい
言っ
言 ています
てい
て ます
ます。
。 やってみて、
やってみて
やっ
や
てみて、
てみて
、もしもだめだったら即
もだめだ
もだめ
だめだっ
だめだ
だったら
だったら即
た
たら
ら即
即
「ワイル
以上のこ
以上
のことから、
とか
とから
ら、
ら 社員と
社員
社 員と
として働
して働
以上のこ
座に次にいく」
というスタ
スタンスが重
ンスが
ンスが
スが重
重
座に次にい
という
際に念頭に
際に念
際
頭に置く
頭に
頭 置く
置くべき行動の原則
べき行動の原
べき行
き行動
き行
行動の原
行動
動の原則
動 原則
原則
く際に念頭に置く
要である
要
あると考えています。
と考え
と考
と考えて
考え
えていま
えています
います。
いま
ます
ます
す。
要である
̶̶
̶
̶ 現在
現在、
、御社は
御社 「
「課題解決エ
課題解決
課題解決エ
エ
は 最 上 位に
位 に「課
「課 題 解 決」
は、
(
「課
ンジン
ンジ
ン」という
というミッショ
ミッション
ミッショ
ミ
シ ンのもと
ンジン」
というミッションのもと
題解決をしたか」
した
したか
たか」
たか
か」
」
あり、
り それを
それ
そ
れを
を
題解決を
)があ
に、
に
、情報技術
情報技術で
で人々や社会の課
や社会 課
情報技術で人々や社会の課
実現する
実現
するため
する
ために
ため
に「爆速」
「爆 速」
「何より
実現するために
(
「何よ
ばどのような行動ですか?
題を解決する未来志向の企業
題を解決する未来志向の企
業
も爆速で
も爆速で動
も爆
爆速
速で動
速で動いてい
動いているか
いてい
て るか」
るか」
「 ォー
ォ
も爆速で動いているか」
)
、
「フ
「道があったら険しいほう
「道があ
「道
があった
があ
ったら険
った
たら険し
たら
ら険しい
ら険
ら険し
険
険しいほ
しいほう
しい
しいほう
ほう
ほうを選
を選
であり続けることを目指して
であり続けることを目指し
てお
であり続けることを目指してお
カス」
「やるべ
「や
るべき業
るべき業務に
き業務に
務にフ
フォーカス
ォ カス
ォー
カス
カス」
(
「やるべき業務にフ
べ」
と
と言
言い換える
言い換
換えるこ
換え
えること
える
ることが
ことがで
こと
とができ
ができ
がで
でき
きます
ます。
ま
す。
す
と言い換えることができ
られますが、
られますが
、まずは
まずは、
、そのために
している
して
いるか」
いる
るか」
るか
か」
」
「ワイルド」
「既 存
しているか」
)
、
「ワイル
(
「既存
例えば、
例え
例えば
ば、22013
ば
0133 年 10月
01
110月にシ
0月にショッピン
0月にシ
ン
必要となる人材についてお聞き
必要となる人材についてお
聞き
の枠組み
の枠
枠組みに
枠組みに
枠組
組み
みに
にとらわれない、
らわれな
らわ
れな
れない、
れない
い、ワイルド
い
の枠組みに
グ事業の
グ事
グ事業
事業
業の出店手数料無料化
業の出
業
出店手数料無料化を断
店手数料無料化を断
断
グ事業の出店手数料無料化を断
した と思 ます
したいと思います
したいと思います。
す
な判断をしているか」
している
して
いるか」
いる
か」
ます。 行し
行しま
ました
した。
。当然
当然、
、
「それでビジ
「それで
ビジネ
ビジ
ネ
「それでビジネ
な判断を
)があります。
も
もともと
と、ヤフ
ヤフー
ヤ
ヤフーの
フーのビジネ
フ
ーのビジ
ーの
のビジネ
のビジネスは
の
のビジ
ビジネス
ビジネスはイ
ネス
スはイ
はイ
イ
ヤフーのビジネスはイ
これ
れら
ら つがヤフーバリ
ら4
つがヤフ
つが
がヤフーバ
ヤフーバリ
ーバ
バリ
リューであ
ュ であ
ュー
であり、
り、 スになるのか
スになる
スに
なるのか
なる
な のか
か?」
という声
とい
と
う声が噴出す
う声
う声が噴出す
う声が噴出
が噴出す
噴出す
噴出
す
という声が噴出す
これら4
ンターネ
ンタ
ーネ
ネットの
トのサー
トのサ
ト
サーチ
サー
サ チ(検
(検索)
索)エン
トのサーチ
求める
求め
る人材像
人材像と
とも一致し
も一致し
も
致します。
ます
ます
す。
。
求める人材像と
ジンです
ジン
ですから
ですから
から、
、例えば場所と料理
例えば場所
例えば
例えば場
例え
えば
ば場所と
場所と料
場所
所と料理
と料理
と料
料理
理
ジンですから、
すなわ
す
すなわち
すな
す
なわち
なわ
わち
ち「課題の発見、
「課
「課題
「課題の
題
題の発見
題の 発見
発 見、
発見、
、解決、
解決
解 決、
、 ると
るという
という
いうのは
うのは
のは、
は、出店
は、
出店者
者(ス
( トア)
ア)に
るというのは、
すなわち
名を入力す
名を入
名
力すれば
力す れば
力
れば、
、一番おいしい
一番おい
一番
番おいし
番お
番
おいしい
おい
いしい
しい
しい
名を入力すれば、
反省」
反省
」
という学
とい
と う学
う学習の
う学習のサ
う学習
習のサイ
習の
のサイク
サイクル
サイ
イクルを
クルをス
クル
ルをス
をス
ス
という学習のサイクルをス
とって
とっ
と
て 1 つの
つの障壁
の 障壁
の障壁
障壁です
です。
です
。ストア
トアに
に
つの障壁です。
店がすぐ
店が
すぐに見
すぐ
に見つか
に見
つかるべ
つか
かるべき
かる
るべき
るべ
べき
きだし、
し
し「バ
「バ
店がすぐに見つかるべき
「
バ
ピーディ
ピ
ディに回すこ
に回すことで、
とで、競争優位
競争優
争 位
ピーディ
って望ま
って望
て望
て
望ま
ましいのは
しい
し のは
のは「出店コス
「出店コ
「出
「出店
店コス
店コ
店 ストが
とって望ま
レンタイン」
と入力す
と入
力すれば
力す
れば、
れば
、ビッグ
レンタイ
と入力すれば、
性を保とうとしているのがヤフーで、
している
して
いるのが
いる
るのがヤフ
のが
がヤ
がヤ
ヤフーで
ヤフーで
ーで、
で
で、
、 かからないこと」
かからな
かか
らないこ
らな
いこと」
いこ
こと」
こと
と」
」である以上、
である以
であ
る以上、
る以
る以上
上、
上 そ
性を保と
データを
デー
デ
タを
タを介し
タ
タを介
を介して
を介し
介
介して、
介し
介して
して、
し
て、
て
、その人にとって
その人に
その
そ
その人
の人にと
人にとっ
人にと
人に
にとって
とって
と
とっ
って
て
データを介して、
個人の行
人の行動に落
動に落と
動に落
とし込むなら
し込むな
し込
むなら
むな
ら「人
個人の行動に落と
り1
り 0 倍速くやって、
倍 速く
倍速く
速くやっ
速くや
やって、
やっ
や て、
て 5 倍多く失
倍多
倍 多く
倍多く
多く失
く失
失
一番いい
一番
番いい
番いいバ
番い
いいバレ
いい
い バレ
いバレン
バレンタ
レンタ
レンタ
レンタイ
ンタイン
タインの
インの
イン
ンの結
の 結果が
果が、
、 より10
一番いいバレンタインの結果が、
一番短い時
一番短
番短い時
番短
い時間で届
い時
時間
間で届く
間で届
届く
くようにするこ
にす
にする
するこ
するこ
一番短い時間で届く
敗して
敗し
て、
て 2 倍成功すればいい」
倍成功すれ
倍成功
すればい
すれ
ばいい」
ばい
い」
敗して、
と
いう価値観
いう
う価値観
価値観にな
になります。
ます。
とが仕事
とが
仕事で
仕事です。少し大き
少し大きく言えば、
く言えば
く言
えば、
えば
、 いう価値観にな
とが仕事です。
「ワイルド
ワイ
ワイルド」
イ ド」
ド」というのは、例え
というのは
と
う
、例え
、例
例え
え
̶̶「ワイルド」
るわ
るわけで
けですが
けですが
すが、
、出店
出店費用
費用がかか
費用がかか
るわけですが、
出店費用がかか
れはワイ
れは
ワイル
ワイルドだけれど、
ドだけれ
ドだ
けれど、
けれど
けれど
ど、無料化
無料化し
し
れはワイル
ましょうという判断になるわけです。
という判
とい
と
う判断
う判
う判断に
う判断
断
断になる
断にな
なるわけ
なるわけ
わ
わけです
けです
です。
す。
す。
破天荒
破
破天荒な
破天
天荒なや
天荒
荒なやり
なやり方
なや
やり方で
り方であ
り方
方であっ
方であ
であって
であ
あっても
あ
っても、
って
ても、
ても
ても
も、
、そ
破天荒なやり方であっても、
れがストアにと
れがス
ア
アに
にと
にとって
っての課
ての課
ての
ての課
の課題を解
課
課題を解
題を解決
題を解
決
っての課題を解決
自分の課
自分
分の課題で
課題では
課題
課
題ではな
題で
ではなく
はなく、
はなく
はな
なく、誰
く
く、誰か
く、
、誰か
誰
誰かの課
誰かの
誰か
か
かの課
の課
課
自分の課題ではなく、誰かの課
で
です
す から、
か
から「石
から
ら、
、
橋を叩いて
橋を叩
いて渡
いて
て渡
渡
です
「石 橋を叩いて渡
するソリュー
ュ ションで
ューシ
ンであ
あり
り、
、ヤフ
ヤフー
ーと
題を解決す
題を解
決するこ
決す
ることが
るこ
とが
とがヤフ
ヤフーの
ヤフ
ヤ
ーの使
ーの
の使
の使
題を解決することがヤフーの使
「間違
「間
「間違い
違
違いは許
違い
は
は許さ
は許され
は許
許されな
されない
され
れな
ない」
ない
」
と
る」、
「間違いは許されない」
とい
いう企
いう企業の
う企業の
う企
う
業の価値
業の価値観
価値観の具
価値 観の具現化
観の具 現化とい
現化と
現化とい
と
いう企業の価値観の具現化とい
命であり、
命
り、これを実現するための
これを
これ
を実現
実現す
するた
るための
めの
命であ
う発想は求
う発想は求
う発
想は求めてい
想は求めて
めていませ
めてい
めて ませ
ません。
ません
ん。
ん 変化の
変化
変化
化の
の
う発想は求めていません。
うことにな
になります
ます。
。
変化が激しい中で 10 年 20 年
人材育成においてもスピード
る仕事があるはずだから、その可
先を見据え、多少のリスクを取っ
感が必要になりますね。
能性を引き出すのが上長の仕事
てでもワイルドにやっていくという
フェイスブックの創業者である
である」
という考え方ですね。
のが今後のヤフーの方向性であ
ザッカーバーグ氏にしても、日本の
具体的に言えば、独りでやって
り、これを実践できる人が望まし
IT 業界の起業家にしても、若い
いける人は独りでやり、組織を見
い人材像と言えます。
人は20 代で社長ですよね。これ
ることができる人には組織を見て
が当たり前という中で、ヤフーだっ
もらう。さらに、組織を見るならプ
̶̶リーダー人材に求める資質、 て、その人たちと伍していかなけ
レイングマネジャーではなく、個と
能力についてはいかがですか?
ればならないわけです。そうする
向き合ってしっかり話をして、部下
「人を束ねる能力がある人」
と
とトップをつくるのにも、とんでもな
の才能と情熱に気づいて、その
「プロフェッショナルな能力がある
いスピード感が必 要になります。 人がやりたい仕 事をでき、かつ、
人」、その両者に経営トップのチー
ほかの業界では50 歳社長でも若
ムに入ってもらっています。人を育
いと言われるかもしれませんが、 につながるベクトルを一致させる
てるより自分で専門性を活かして
ITはそうはいきません。
ように導いてもらう。社員 5,000 人
やったほうが良いという人も、経営
ヤフーは、様々な事業ドメイン
のパワーを発揮するには、そうい
チームに参画してもらうし、人望も
があるので、経営トップも異なる
う管理職が不可欠です。そのた
スキルも有している人には、より大
経験が必要となりますし、一般の
めに上長と部下の間では『1 on 1
きな統括本部を束ねてもらうという
企業で3 年ごとに異動するところ
(ワン・オン・ワン)
ミーティング』を
考え方です。個々の強みを活かす
を、1、2 年で異動して適性を見る
原則、週 1 回 30 分行う仕組みを
ことが重要で、はっきり
「これを求
必要が出てきます。経営幹部を
つくっています。
個の成長のベクトルと会社の利益
めている」
というものはありません。
決めていくには、そういうサイクル
ただ、これまでのヤフーはそこ
でなければ間に合いません。
が曖昧でした。例えば、組織を束
一般の管理職については、先
ねる力がなくても、
「業務遂行能
ほどお話ししたことと重なりますが、 トレーニング自体は、他社と比
力が高いからたくさんの部下をつ
人を束ねてパフォーマンスを引き
べて多いわけではないのですが、
けてしまう」
といったことがありまし
出すことに向いている人は、そこ
僕自身は“ 渇いている人 ”をつく
た。それをもっと適材適所でやっ
に特化してもらい、それが得意で
ること、
“ 渇いた状態 ”にすること
ていくように修正しています。
ない人には自分の専門性を磨くこ
が重要だと思っています。
とに注力してもらうという組織づく
リーダーシップに困っていないの
りをやっています。
に「リーダーシップ開発の研修を
前提としてあるのは「才能と情
受けてください」
と言われたところ
熱を解き放つ」
というスローガンで
で、どれほど役に立つのか疑問
経営人材の育成も
異次元のスピード感で
̶̶トレーニングに関して、何か
注力されているものはありますか?
す。
「人にはそれぞれ個性があり、 ですよね。研修というのは、必要
̶̶「爆速」のビジネスと同様に、 やりたい仕事があって、注力でき
性を痛 感したときに受けるから
こそ、効果が上がる
社員の行動指針となる
「ヤフーバリュー」
課題解決
のだと思います。で
●課題発見・提示力
●徹底的にユーザーファースト
誰もが気づいていない課題を発見し、言語化して提示する
こと。自分ではなく誰かのための課題を解決すること。人の
ために何かをして「ありがとう」を言われるのは楽しい。
爆 速
フォーカス
成果を出すためにフォーカスは必須。集中しないといけな
い。シンプルということにつながる。何かを捨てるという選
択をすること。
Yahoo!
Value
●爆速は巧遅に勝る
●爆速発見・爆速決定・爆速実行
爆速とはメールの返信を早くすればいい、ということでは
ない。課題を発見し、まわりに伝え、意思決定をして、実行
していくというプロセスを爆速にするということ。
●2 番目を捨てるくらいフォーカス
●結果にこだわりまくる
ワイルド
●ならず者の DNA
●必要な失敗、失敗を恥じない
「ユーザーのためにワイルドなことをやる」こと。単に暴れ
ん坊になれということではない。起点は課題の発見である
こと。迷ったらワイルドなほうを選べ。
すから、基本的には
“ 渇かす仕組み”をつ
くった上で、必要なト
レーニングを提供す
るのが効果的だとい
う考え方でやってい
ます。
例えば、僕が人事
部長になって最初に
2015
行ったのが全社員に向けたアン
ケートで、
「あなたは、あなたの
リーダーについていきたいです
実社会の課題解決で
リーダーを育てる
か?」
とシンプルに問いかけました。
メンバーは悩みに悩むんです。
そしてプロジェクトリーダーの僕に
言いに来ます。
「事前に町長と
̶̶メディアでも多く取り上げ
面談していいですか?」
と。僕は
切ってリーダーのポジションを外
られていますが、他社との合同
「全てのチームと町長が面談する
れてもらいました。
研修など、先駆的な取り組みも
時間はありません。だから、自分
これをやると、残ったリーダー
行っていらっしゃいますね。
たちで考えてください」
と返します。
の人たちは「どうしたら、部下に
研 修 の 効 果を考えたときに、
この研修にはいろいろな要素
ついていきたいと思われるだろう
僕は「50 対 30 対 20」
という話を
がからんできます。課題を解決
か?」、
「普段やっている『1 on 1
よくします。50は仲間、30 がプロ
するために地道な努力をどう続
ミーティング』の質は、どうしたら
グラム、20は講師です。一般的
けるのか。それぞれ自分の会社
上がるのか?」と考え始める。
に20の講師に関心が向く傾向に
の業務もこなさなければいけない
ありますが、むしろもっとも大事な
中で、どうやってプロジェクトと仕
のは「誰と学ぶか」で、そうすると
事を両立させるのか。また、この
はなく、
それによってどれほどの
社内の研修では限界があります。
グループワークをどううまく回すの
成果が得られているかを
“見える
そこで、異 業 種の企 業が集
か。いろいろな業種、いろいろな
化”することに意味があると。
まって行う研 修を提 唱しました。
立場、いろいろな価値観の人た
大事なのは、1つの制度を入
複数の企業が集まって混成チー
ちを巻き込んで、自分の給料が
れたら終わりではなくて、その制
ムをつくり、北海道上川郡の美
上がるわけでもないけど、美瑛
度を補完する仕組みをいかにビ
瑛町が抱える課題の発見から、
のためにいい提案をしなければ
ルドインするかです。たとえば、
実施可能な解決策の提案までを
ならない。
行う
「地域課題解決プロジェク
通常業務であれば、それぞれ
行ってください」
と言って終わりに
ト」です。
の会社のやり方があって、前例も
するのではなく、うまくいっている
このプロジェクトは異業種 4 社
あって、組織に特有の「成功事
かどうかをアンケートで把 握し、
の賛同を得てスタートしました。ま
例」の蓄積がある。また、チーム
評価には使わないけれども、数
た、研修のゴールは、研修の最
の中での「決め事」
も、経験年齢
値にして返す。努力せざるを得
終日に、町 長にプレゼンをして、
とか年次とか上長など見えない規
ないような仕組みとセットで考える
と
町長が「それ、採用しましょう」
律があって、なんとなくことは決
必要があると思います。そのた
いうような課題解決の提案にしま
まっていきます。しかし、このプロ
めの人間理解は不可欠です。
した。テーマはそれだけ。ゴール
ジェクトではそのすべてがありませ
がシンプルで自由度が高いので、
ん。リーダーは役職ではなく、自然
「『1 on 1ミーティング』を週に1 回
発生的に生まれ、それが固定し
ヤフーの人を育てる枠組み
ない。イノベーションを起こす組織
スローガン:「個々の才能と情熱を解き放つ」
とはそういうものなのだと思います。
・上長と部下がフォーカス目標の進捗を確認
1 on 1ミーティング
・強みを活かした適材適所
・3 年任期制
・ポテンシャルの高い社員にはさらに早い
サイクルでアサイメントを与える
・上長のコーチング力を強化
・週に1 回、30 分
・個々の社員の中期的な育成方針
や後継者プランを議論
・年 2 回
マトリックス評価
さらに、最終プレゼンで評価さ
れたところで、昇格するわけでも
昇給するわけでもない。
課題解決型
トレーニング
・“ 寄ってたかって人を育てる”仕組み
人材開発会議
ハードルは高いと思います。
そして点数が悪い人には、思い
̶̶単にミーティングを行うので
戦略的な
ジョブローテーション
1
・“ 渇かす ”仕組みをつくっ
た上での研修の提供
・異業種との研修で「人を
束ねる」リーダーを育成
・「バリュー(360 度評価)」と
「プロフィット(実 績)」の 2
軸で評価
・半期に1 度
企業で評価される人の中には、
昇格など自分の評価を上げるこ
とはうまいけど、そうでないときに
うまくさぼる人もいる。実際に今
回の研修でも、社内で評価され、
高いポジションについている人が
案外活躍していないケースもあり
ました。そういう人は経営トップに
成について直属の上司とその関
た。目標設定と評価のサイクルは
は向きません。外的報酬だけで
係者が議論する会議があります。
4 半期ごとでしたが、実質的には
組織はリードできませんから。でも、
一昨年に、初めて「全社人材開
形骸化していたところもあったと
経験によってそのことに気づくこ
発会議」を1 泊 2日で開催し、将
思います。
とは可能だと思います。この研修
来の経営幹部候補についての
そこで、半期に1 度のサイクル
の意義はここにもあると思います。
議論を行いました。「全社人材
に変えて、しかもフォーカス目標を
開発会議」では、執行役員と人
目の前の1つか 2 つに絞って、そ
事のメンバーが加わり、有望な
れを上長と部下で確認して、週 1
あぶり出されるわけですね。
人材に対して、個別にどこをどう
回の『1 on 1ミーティング』で話し合
人を束ねるような人は、そうい
伸ばしていくか、今後どのような
うというやり方に変更しました。
う経験を若いうちから数多く積む
経験をしてもらうかといった話をし
評価はプロフィットとバリューの
必要があると思いますね。難し
ます。あるいは、
「このポジション
2軸で行っています。比重は50%
いプロジェクトで「これどうしよ
は次、誰にしようか」
というときに、
-50%ですが、昇給昇格における
う?」といったときに、
「それなら、
皆で意見を交わすこともあります。
優先順位はバリューに置いてい
あいつだろう」
という人材を育て
なぜなら1 人の上長だけが見
ます。バリューとプロフィットのマト
なければいけないわけです。
ていると、どうしてもうまくいかな
リックスに落とし込みますが、最
若手の人たちが喧々諤々やり
い場合が出てくるからです。上長
終的には評価会議を開いて、こ
ながら、僕らも影 響されたいし、
は、部下が「自分にとってどれだ
の人を昇格すべきか否かというこ
異業種の方々の考え方も聞きな
け快適か」で評価をしがちです
とは常にチェックします。
がら、将来的にはこのプロジェク
し、好き嫌いもありますから。さら
トをヤフーの中だけ、あるいはヤ
に弊害という側面でいうと、例え
フーとその他 1 社といった多様な
ば将来の経営者候補であれば、
̶̶ビジネスに必要な人材像が
̶̶常に先を見据えて、新しいこ
とを試みていらっしゃいますが、
「1、2 年ごとに異動させるべき」
ほかにも、これから仕掛けてい
であっても、上司は「自分の下に
くものがあれば教えていただけ
置いておきたい、さてどうしよう
ますか?
か」と悩みます。そういうときに、
新しいことをやっているというよ
皆から結論を迫られて「あと半
り、その場で、スピード感をもって、
年待ってくれれば出します」
とい
いいものをやり続けるということで
うように宣言せざるを得ないわけ
しょうね。人事の分野では過去や
です。
他社の事例を見がちですが、経
の経験を区別せずに、シームレ
僕らは「オールアイズ」
という言
営者は常に先を見ています。こ
スに捉えていらっしゃる印象です
葉を使っていますが、
「部下は上
れでは話しがかみ合いません。
ね。そういったプロジェクト型の
長だけが育てるのではなくて、皆
僕ら人事部門も、経営戦略や
研修、先ほどの『1on 1ミーティン
で育てていくもの」、
「寄ってた
経営者の考えを理解しつつ、基
グ』のほかに、経営層や管理職
かって人を育てる」ということを、
本的なMBAくらいのスキルをもっ
が人材育成にコミットしていくた
ヤフーの文化にしたいと思ってい
て読み解きながら、いまの人事の
めの仕 組みはありますか?
るんです。
ベクトルが合っているか間違って
形態で実施することがあるかもし
れません。
経営戦略と
ベクトルを合わせて
人事部門も進化していく
̶̶ 職務の経験とトレーニング
教科書的にはトップのコミットメ
いるか、違いがあるなら「じゃあ、
ントが重要と言いますが、トップ
̶̶ 今のお話は、評価とも連動
次の手を打とう」
と、試行錯誤を
が命令だけでやろうと思っても動
してくると思いますが、特に変
繰り返して進化していくことが重
きません。人事が、皆に「いいな」
化の速いI T業界では1年ごとの
要だと思います。そうであるなら、
と感じてもらえる仕掛けをつくらな
業績評価では追いつかないと
新しい考えが出てくるのは当然で、
いといけないと思います。
思いますが、具体的にどんな形
人事の責任者にはそういうことが
「人材開発会議」
と呼んでいま
で行われるのですか?
求められる時代になってきたので
すが、個々の社員の中期的な育
過去にはMBOをやっていまし
はないでしょうか。
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