WILDSWANS

WILDSWANS
SINCE1998~
世紀目前の 年代末に
﹃ワイルドスワンズ﹄は誕生した。
デビュー当時から
その縫製技術の素晴らしさ、
丁寧な作り、革の質などが
高く評価されていた。
小誌を始め、さまざまな雑誌や
他のメディアでも取り上げられたが、
その確かなモノ作りは
海外の大手メゾンからも注目され、
やがて兄弟三人でスタートした
小さなブランドは着実にその歩みを
彼らが目指す高みへと
進めていったのである。
﹃ワイルドスワンズ﹄の製品は誠実だ。
町場の旦那衆が支えていた
江戸時代の職人文化と同じように、
作りの誠実さを以て
クオリティとする潔さがある。
職人は機械でもなければ
芸術家でもない。
ただ、機械のみではできない
高いクオリティを維持できる根気と
技を持っている人のことを指す。
そんなスタンスの職人たちが
黙々と革を縫う彼らの工房には、
心地よい緊張感が張りつめている。
現代の旦那衆は
彼らの製品を愛するファンであり、
そのファンの期待に応えようとする
思いが工房に漂う緊張感として
現れているのだろう。
ポストバブル世代の名品の
真実の価値を探って行こう。
134
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創業者である鴻野兄弟の
“鴻”
の文字の
英訳が
「ワイルドスワンズ」
。
オオハクチョウの英名が
ブランド名の由来となっている。
VOL.80
●
[ワイルドスワンズ]
Photo / Tomoaki Tsuruda
(WPP)
Text / Teruhiko Doi
(WPP)
21
'90
材料の革は輸入品も多いが、
製造工程はすべてメイドインジャパン。
付属品である木製のスリッカーも
国内の木工所で特別に作られている。
﹁入入入入
入念な仕上げ﹂といい
いう言言言
言葉
葉葉以外外外外外
見見つからないいい
見
いワイイ
イルドド
ドスワワ
ワンズズ
ズのののののの
名品品
品﹁WW
WAVV
VE﹂
。。
同社社
社の原点
点点ともいえる分厚厚厚
厚くくくくくくくく
ヘヴヴヴヴ
ヴィデューティなレザーと、
年ででで
でもももももももも 年でも使使使使
使い続続
続けることと
とをををををををを
20
20
念頭頭頭頭頭頭頭頭
頭に作作作
作業
業業業ささ
され
れれれたたたたた
れれ
た縫
縫縫縫製
縫縫縫縫
製製製に
にに魅魅
魅了さささ
されるるるるるるる
る。。。。。。
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特
に同
同同業業業業
業の
ののププププ
プロ
ロロロロも
もも唸るるるるるる
る
コババババ
バの丁丁丁丁丁丁
丁寧な
ななな仕上上上上
上げはははははははは
は圧巻巻巻
巻。。。。。。。。。。。。。。
財布布布布布布布
布類
類類にに
類類類
に付
付付付付属属属属属属属属属属属属属
属されれれれ
れる
るるる木木木木
るる
木製
製製のののの
のコババババババババババ
バ磨
磨磨磨ききき
きは
ははははは、
クククオオオ
ク
オリ
リリリリリリリリリテテテテ
ティのののののののの
の維持持持持持持持持
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持と同同同同同同同同同同同同
同時
時時にににに
に、、、、、、、、、、、
彼らららららららららら
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の表
表表れれれ
れで
でででででもあるるる
る。。。。。。。。。。
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137
1
10
WAVE
(ウェイブ)
/ベルギー製のサドルプルアップで作られた、
ホック留めのフラップ
式大型ロングウォレット。
ジップコインポケットの両サイドに紙幣が収められる。
カード
類の収納ポケットも12段と多い。
スライダーはYKKエクセラ。
ちなみにエクセラ導入初
期にオリジナルの刻印が許されたのは、
ヴィトンとワイルドスワンズだけだった
(現在は
別料金で可能)
という事実に、
日本人として興奮を覚えてしまう。
カーブの付いたフラッ
プと、
ホックのアタリが、
オリジナル・デザインとしてよく知られている。
上:ブラック、
下:チョコ。
価格 5 万4000円。
スリッカー
(コバ磨き)
付属。
である。ただ、生来の生真面
目さと、品質への強いこだわ
りがあって、準備期間に相当
リー﹂の工房。日本を代表す
る革製品ブランド﹃ワイルド
タート。軌道に乗り始めたと
在は独立︶が製造を担当し、
次
男の正好が営業という形でス
もないままサンプル作りに没
頭し、ノーブランドの製品を
くらいはほとんど収入のあて
ではないことは誰もが知って
いるとおり、鴻野兄弟も6年
一一一一一一一生生生生生生生生生生付付付付付付付付ききききききききき合合合合合合っっっっっっってててててててていいいいいいいいけけけけけけけけるるるるるるるる財財財財財財財財布布布布布布布布布布ををををををををををををを作作作作作作作作作作作作りりりりりりりりりりりりりたたたたたたたたたたたたたいいいいいいいいいいいいい。。。。。。。。。。。。。。
兄兄兄兄兄兄兄兄弟弟弟弟弟弟弟弟がががががががが目目目目目目指指指指指指指指しししししたたたたた理理理理理理理理理理理想想想想想想想のののののののの革革革革革革革革革革製製製製製製製製製製製品品品品品品品品品品品品物物物物物物物物物物物語語語語語語語語語語語語語りりりりりりりりりりりりりり。。。。。。。。。。
茨城県稲敷郡︱︱関東平野
の東端を流れる利根川の豊か
スワンズ﹄は、この静かな環
ころで三男の弘好が製造スタ
ッフに加わった。鴻野兄弟が
の時間がかかった。革製品の
製造が一朝一夕で出来るもの
な水系の恵みで支えられる穀
境で生まれている。
作って糊口を凌ぐ状況だった。
余談だが創業の2年ほど前に
倉地帯。農業で支えられた中
規模の集落はいま、高齢化と
そもそも革製品作りを始めた
のは、もの作りをしていた父
30
過疎化で人口減少の歯止めが
きかない状態にある。そもそ
所の長男である鴻野敏之、次
男の正好、三男の弘好が19
98年に発足させたブランド。
父親が廃業して空き家になっ
ていた工場をそのまま工房と
して利用し、革製品の製造を
始めた。当初は長男の敏之
︵現
れは長年の使用で疲弊した製
品のメンテナンスを責任をも
って行うというサービスで、
同社のHPでも強く謳われて
いる。ただ、他の革製品と比
べても圧倒的に頑丈でしっか
りした作りをしているため、
創業から 年ほどの期間に依
頼されたリペアは数件しかな
かったそうだ。基本的な哲学
は創業時と何も変わっていな
い。メイドインジャパンの真
髄は、
そんな誠実さが生み出す
ものなのかもしれない。
CADも正確な裁断が出来ま
すから、逆にクオリティを高
めるのに役立っているんです﹂
。
ワイルドスワンズの製品は、
年でも 年でも使い続けら
れることを常に意識して作ら
れている。そんな彼らが一つ
の結論としてたどり着いたの
が〝エイジングサポート〟
。こ
20
10
K ファクトリー︵ケイズ
ファクトリー︶は、この地で
鉄工所を営んでいた鴻野製作
親の影響だったという。同時
に、当時の自分たちの収入で
買える革製品に、納得できる
ものが無かったことも大きか
った。無いなら作ろうという
ことで、革製造の知識も経験
もないままにスタートしたの
も若者が働く場所がない農村
地帯なのに、一軒の旧家の敷
地内にある駐車場は常に満車
状態。敷地内の工房に多くの
若者が出入りする様子に、近
隣の人々は首を傾げているそ
うだ。ここは﹁K ファクト
生産性よりも製品の耐久性や
クオリティの維持に価値を求
めたモノ作りを追及している。
﹁生産性を求めれば製造にか
かる時間や負担を短くすれば
いいわけですが、そこだけは
絶対に妥協したくない。納得
できる効率は求めていますけ
ど、強度をないがしろにする
効率は求めていないんです。
上の写真は鴻野家の敷地内にあった鉄工所。
いまこの工場跡地に新しいアトリエ工房の建設が進め
られている。
おそらく近隣のランドマークになりそうな建物が出来る予定。
あのジブリ美術館でロボ
ット兵のアートを手掛けた造形作家の鯱丸邦生氏によるオブジェも敷地内に設置されるそうだ。
多
くのゲストを呼べ、
工程見学できるアトリエは、
実は革ブランドでは珍しい。
2015年秋完成予定。
’
s
などにCADを導入し、機械
化できる部分は機械を使った
作業がなされているが、それ
でも二つ折りの財布の場合な
ら1日の生産量は 個が限度。
﹁ひとりで作っていた頃は1
日5個でしたから﹂と現代表
の正好は笑うが、他社の製品
と比べて約2倍以上の時間を
かけるコバ磨きの工程など、
ド﹃ワイルドスワンズ﹄は、
ほ
どなくしてファッション関係
の目利きたちに高く評価され
るようになった。ポール・ス
ミスを始めとするいくつかの
ブランドともコラボレーショ
ンを行い、徐々にその知名度
を高めていったのである。オ
リジナル・ブランド作りが最
初の目標だとしたら、彼らの
次の目標は自分たちの製品を
買えるショップを作ること。
2008年には銀座2丁目の
日本を代表するこだわりの
デニム・ブランド﹁ウエアハ
ウス﹂と、ワイルドスワンズ
とのコレボレーション・モデ
ルがこの春から発売される。
これはウエアハウス 周年記
念のコラボレーション。タン
ニン染めされたインナーのカ
ラーが特長的。ふたつのブラ
ンドのエンボスがレアだ。そ
ういえば、ウエアハウスも兄
弟で設立したブランド。創業
年も近いし、意外な部分でワ
イルドスワンズとの共通項が
あるのかもしれない。写真の
ウォレットの他、全5モデル
が発売される予定。詳しくは
ウエアハウスのHPを。
ウエアハウスとの
コレボレーション
右の写真のレーザー式のCADと同時に、
昔からの抜
き型も現役で使用されている。
ワイルドスワンズの
歴史を作ってきた道具だ。
小誌編集部は偶然、彼らの製
品を目にする幸運に恵まれた。
しかし1998年の小誌№
374号﹁ドキュメンタリー
世紀﹂でこのブランドを紹
介するまでに、約2年ちょっ
との期間、編集部は記事化を
待たされたのである。そのク
オリティの高さに注目し、い
ち早く記事化したかった編集
者に対して﹁まだ納得できる
モノが出来ないんです﹂とい
うのが彼らの返答だった。
雌伏の時を経てデビューし
た彼らのオリジナル・ブラン
’
s
http://www.ware-house.
co.jp/
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静かな工房内では革の裁断から、
スキ、
縫製、
コバ磨き、
製品磨
きなどすべての工程が行われている。
新しいアトリエではこ
れらの作業の見学が可能となる。
誰に見せても恥ずかしくな
い自信があるということは即ち、
ワイルドスワンズのクオリ
ティの高さを証明することにもなる。
路面店﹁C.
O.
U.
﹂をオープ
ン。その4年後には京都の河
原町にも路面店をオープンさ
せた。製品も財布だけではな
くバッグや小物類などにも広
がっている。
茨城の工房︵アトリエ︶に
は、全国から彼らのもの作り
に憧れたスタッフが集まって
いる。無駄のない革の面取り
宮大工の手による糸ボビン用ケースや、
コバの
荒削りに使用する老舗・菊一文字の切り出しな
ど、
思いもかけない素晴らしい道具がそこらに。
20
両ブランドのエンボスが押された、
革
財布。
レア度満点のアイテムだ。
20
10
革の裁断面であるコバの処理を
どうしているのかでクオリティの差が出る。
素材から磨き上げる丹念なコバ磨きは
磨けば磨くほどツヤが出る泥団子と同じだ。
mono
ワイルドスワンズに関する
お問い合わせは
ケイズファクトリー☎03-6226-3533
http://www.wildswans.jp/
現代表の鴻野正好氏
(左)
と、
製造部門の最高責任者であ
る鴻野弘好氏
(右)
。
ワイルドスワンズのアトリエで活躍するスタッフ
たち。
平均年齢が若く、
過疎化が進むこの土地では
これだけ多くの若者が集まっている場所はほとん
どない。
そのため、
近隣からの注目度も高いという。
新しい形の町おこしになるかもしれない。
CIRCULO/サーキュロ 少し大きめのブリーフケース。
革の質の高さと、
弧を描く口元のデザインが特長的。
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チョコ。
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ーシックな二つ折り財布。
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らもワイルドスワンズの原
点となるベーシックライン
のコインケース。
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