第 11 次鳥獣保護管理事業計画(変更)案の概要 1 背景 近年、ニホンジカ、イノシシなどの野生鳥獣の生息域の拡大や個体数の増大に伴 い、野生鳥獣による生態系への影響や農林業被害が深刻化していること、鳥獣捕獲 の主な担い手である狩猟者の減少・高齢化により、鳥獣捕獲の担い手の減少が問題 となっています。 このため国は、 「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(以下「法」という。)」 を改正し、法の題名を「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」 (以 下「改正法」という。)に改め、鳥獣の「管理」を図るための措置を新たに導入す るなど、鳥獣の生息状況を適正化するための抜本的な対策を講じることとしていま す。(改正法は平成 26 年 5 月 30 日公布、平成 27 年 5 月 29 日施行) また、この改正法により、平成 26 年 12 月 16 日付けで、国が策定する「鳥獣の 保護を図るための事業を実施するための基本指針(以下「基本指針」という。)」も 改正法の内容を加えるなど変更されました。 2 本県の第 11 次鳥獣保護事業計画 法に基づき策定した現行計画は、本県が行う鳥獣保護事業の実施に関し、次のこ とを定めています。 (計画期間:H24.4.1~H29.3.31 の 5 年間) ①鳥獣保護区や休猟区に関する事項 ②特定猟具(銃器及びわな)使用禁止区域等に関する事項 ③鳥獣の放鳥獣に関する事項 ④特定鳥獣保護管理計画の作成に関する事項 ⑤捕獲許可に関する事項等 3 変更の主な内容 今回の主な変更は、原則、この度の法改正に伴う用語の修正・追加としています。 【主な内容】 ○ 計画名称の変更 「第 11 次鳥獣保護事業計画」を「第 11 次鳥獣保護管理事業計画」へ名称変更。 ○ 用語の整理 法の改正に伴い、計画本文中の用語を修正し追加。 1 (主な整理内容) ・ 法律により新たに「管理」が定義づけられたことから、「保護」と「管理」 の表現について、改正法を踏まえ整理。 「鳥獣の保護」:生息数を適正な水準に増加させ、若しくはその生息地を適正な範囲に拡大 させること又はその生息数の水準及びその生息地の範囲を維持すること。 「鳥獣の管理」 :その生息数を適正な水準に減少させ、又はその生息地を適正な範囲に縮小 させること。 ○ 特定鳥獣保護管理計画の整理 改正法で、これまでの特定鳥獣保護管理計画が、保護を目的とした計画である 「第一種特定鳥獣保護計画」と、管理を目的とした計画である「第二種特定鳥獣 管理計画」に区分。 これを受けて、本県の特定鳥獣保護管理計画は、その内容が「第二種特定鳥獣 管理計画」に該当するため、その記述を追加。 ○ 麻酔銃猟の許可に関する事項の追加 法改正に伴い、新たに住居集合地域等において認められることとなった麻酔銃 猟の許可に関する事項を追加。 ○ 法改正に伴う事業の追加 指定管理鳥獣※捕獲等事業についての記述を追加。 ※ 指定管理鳥獣は、全国的に生息数が著しく増加等している鳥獣であって、生活 環境、農林水産業等に深刻な被害を及ぼす鳥獣のうち、集中的かつ広域的に管理 を図る必要がある鳥獣として、環境省令(施行規則)で指定される鳥獣です。 指定管理鳥獣捕獲等事業は、県又は国が指定管理鳥獣を捕獲等する事業です。 ○ 特定猟具(銃猟)使用禁止区域の指定状況 平成 24 年度から 26 年度に告示した指定状況を記載。 2 表1 第 11 次鳥獣保護管理事業計画(変更)案の概要 下線部は変更箇所です。 項目 現行計画 変更計画 名称 第 11 次鳥獣保護事業計画 第 11 次鳥獣保護管理事業計画 各項目共通 第一 鳥獣保護事業 をめぐる現状 と課題 第二 鳥獣保護事業 計画の計画期 間 第三 鳥獣保護区、 特別保護地区 及び休猟区に 関する事項 第五 鳥獣の捕獲等 又は鳥類の卵 の採取等の許 可に関する事 項 第六 特定猟具使用 禁止区域及び 指定猟法禁止 区域に関する 事項 第七 特定計画の作 成に関する事 項 文言整理 ・鳥獣の保護管理 ・鳥獣保護員 等 鳥獣の区分 ・希少鳥獣 ※1 ・狩猟鳥獣 ※2 ・外来鳥獣等 ※3 ・一般鳥獣 ※4 保護管理の考え方(イノシシ、ニホンジカ、ニ ホンザル、カモシカ) ・特定鳥獣保護管理 計画期間 ・H24.4.1~H29.3.31 既指定鳥獣保護区の変更計画 ・変更なし 特例休猟区の指定計画 ・1,500ha(1 箇所) 許可 ・有害鳥獣捕獲に係る許可 ・個体数調整に係る許可 文言整理 ・鳥獣の保護及び管理 ・鳥獣保護管理員 等 鳥獣の区分 ・希少鳥獣 ・狩猟鳥獣 ・外来鳥獣等 ・一般鳥獣 ・指定管理鳥獣 ※5 保護管理の考え方(イノシシ、ニホンジカ、ニ ホンザル、カモシカ) ・第二種特定鳥獣管理 計画期間 ・H24.4.1~H29.3.31 ・改正法施行の日から鳥獣保護管 理計画として適用 既指定鳥獣保護区変更計画 ・△290ha 特定休猟区の指定計画 ・1,785ha(3 箇所) ※H26 までの実績を反映して変更 許可 ・有害鳥獣捕獲に係る許可 ・個体数調整に係る許可 ・住居集合地域等における麻酔銃猟 の許可 特定猟具使用禁止区域の指定計画 特定猟具使用禁止区域の指定計画 ・215,127ha(136 箇所) ・216,125ha(134 箇所) ※H26 までの実績を反映して変更 作成事項 ・目的 ・対象鳥獣 ・被害防除対策 作成事項 ・目的 ・対象鳥獣 ・被害防除対策 ・指定管理鳥獣捕獲等事業 等 備考 ※1 等 特に保護を図る必要があるものとして、国等が法の規定等に基づき定めるもの(コウノトリ 等)。 ※2 狩猟対象としての価値、農林水産業等に対する害性及び狩猟の対象とすることによる鳥獣の 生息状況への影響を考慮して、国が法の規定に基づき定めるもの(イノシシ等)。 ※3 本来、我が国に生息地を有しておらず、人為的に海外から導入された鳥獣(アライグマ等)。 ※4 希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣以外の鳥獣。 ※5 集中的・広域的に管理すべき鳥獣として、ニホンジカ、イノシシが改正環境省令で指定見込。 3 第二種特定鳥獣管理計画 案の概要 1 背景 その生息数が著しく減少、若しくは増加している鳥獣について、生息数の適正化 を図るため、鳥獣保護事業計画に基づき、鳥獣ごとに「特定鳥獣保護管理計画」を 策定することとされています。 改正法により、特定鳥獣保護管理計画が「第一種特定鳥獣保護計画」(鳥獣 の保護に係るもの)と「第二種特定鳥獣管理計画」(管理に係るもの)に区分 されました。 2 本県の特定鳥獣保護管理計画 本県では、中山間地域において個体数の増加による農林業被害等人とのあつ れきが深刻化しているイノシシ、ニホンジカ、ニホンザル及びカモシカを対象 として、その安定的な維持を図りつつ、生息数を適正な水準に減少させ、又はその 生息地を適正な範囲に減少させるために第 11 次鳥獣保護事業計画に基づいて、 特定鳥獣保護管理計画(計画期間:H24.4.1~H29.3.31)を策定しています。 保護管理を行う市町村は、この計画を基に、毎年度、それぞれ実施計画(捕 獲目標数、被害防除対策等)を策定し、これら4獣の保護管理に努めています。 表2 特定鳥獣保護管理計画の対象市町村 イノシシ ニホンジカ ニホンザル カモシカ 11市町村 9市町村 10市町村 9市町村 (豊橋市、岡崎市、瀬戸 (豊橋市、岡崎市、豊川 (豊橋市、岡崎市、瀬戸 (豊橋市、岡崎市、瀬戸 市、豊川市、豊田市、蒲 市、豊田市、蒲郡市、新 市、豊川市、豊田市、蒲 市、豊川市、豊田市、新 郡市、新城市、幸田町、 城市、設楽町、東栄町、 郡市、新城市、設楽町、 城市、設楽町、東栄町、 東栄町、豊根村) 豊根村) 設楽町、東栄町、豊根村) 豊根村) 3 現行計画からの主な変更内容 本県のイノシシ始め4獣ごとに策定している「特定鳥獣保護管理計画」は、 鳥獣の管理をする計画であるため、「第二種特定鳥獣管理計画」へ移行します。 今回の主な変更は、原則、この度の改正法に伴う用語の修正・追加としてい ます。 ただし、イノシシ及びニホンジカの現行計画において「延長を検討する」と している狩猟期間については、農作物に係る被害額が依然として高い状況であ るため、現行より1ヶ月延長します。 【主な変更内容】 ○ 計画名称等の変更等 それぞれの獣ごとに策定している「特定鳥獣保護管理計画」を「第二種特定鳥 獣管理計画」へ名称変更。 法の改正に伴い、計画本文中の用語を修正・追加 4 ○ 狩猟期間の延長(イノシシ及びニホンジカ) 狩猟による捕獲増を目的として、狩猟期間を 1 か月間延長(現行:11 月 15 日 ~2 月 15 日、延長後:11 月 15 日~3 月 15 日)。 表3 第二種特定鳥獣管理計画 案の概要 下線部は変更箇所です。 項目 名称 共通事項 現行計画 特定鳥獣保護管理計画 文言整理 ・鳥獣の保護管理 等 背景 ・特定計画の概要説明 変更計画 第二種特定鳥獣管理計画 文言整理 ・鳥獣の管理 等 背景 ・特定計画の概要説明 1 計画策定の 背景及び目的 2 保護管理す べき鳥獣の種類 ※改正法による法の題名の変更、 第二種特定鳥獣管理計画への 変更について追加 イノシシ ニホンジカ ニホンザル カモシカ 計画期間 ・H24.4.1~H29.3.31 変更なし 4 特定鳥獣の 管理が行われる べき区域 保護管理の区域 イノシシ :11市町村 ニホンジカ: 9市町村 ニホンザル:10市町村 カモシカ : 9市町村 計画期間 ・H27.5.29~H29.3.31 ・改正法施行の日から第二種特定 鳥獣管理計画として適用するこ とを追加 管理の区域 イノシシ :11市町村 ニホンジカ: 9市町村 ニホンザル:10市町村 カモシカ : 9市町村 5 特定鳥獣の 管理の目標 現状 保護管理の目標 現状 管理の目標 6 特定鳥獣の 数の調整に関す る事項 イノシシ、ニホンジカ 捕獲圧の調整 捕獲圧の調整 ・狩猟期間の延長 ・狩猟期間の延長 必要に応じ、狩猟期間の延長 狩猟期間を延長(11/15~3/15) (11/15~3/15)を検討する。 する。 3 計画の期間 等 等 ニホンザル、カモシカ 7 特定鳥獣の 生息地の保護及 び整備に関する 事項 8 その他特定 鳥獣の管理のた めに必要な事項 捕獲圧の調整 ・捕獲目標 等 生息環境の保護等 ・鳥獣保護区の指定 被害防除対策等 ・防護柵の設置 変更なし 等 等 変更なし 変更なし 5
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