2P37 Infrared spectroscopy of 7−azaindole tautomeric dimer

2P37
Infrared spectroscopy of 7−azaindole tautomeric dimer:
A spectroscopic signature of the ground-state proton-transfer reaction
(Kobe Univ.) Takumi Nakano, Hiroki Yabuguchi, Haruki Ishikawa, Akimasa Fujihara,
and Kiyokazu Fuke
【序】7−アザインドール(7−AI)二量体は励起
S1
S1
ESDPT
状態二重プロトン移動(ESDPT)反応を起こ
すことが知られている(Fig 1)。この反応によ
り生成された 7−AI 互変異性型二量体は可視
UV.
VIS.
蛍光を放出した後、基底状態二重プロトン移
S0
動(GSDPT)反応を起こしてノーマル型に戻
GSDPT
S0
Normal dimer
Tautomeric dimer
る。この反応は基底状態のプロトン移動反応
のモデルとみなすことができる。我々はこれ Fig 1. Scheme of DPT reaction of the 7−AI dimer.
までに NH 伸縮振動の観測に基づいてスペ
クトルに現れる DPT 反応の徴候を議論してきた。本研究では、DPT 反応における H−D 置換
効果について議論するために 7−AI 互変異性型二量体の ND 伸縮振動の観測を行った。
【実験】紙面の都合で実験の詳細は省略する。実験の詳細は文献[1]を参照されたい。
Intensity (arb.)
【結果と考察】Fig 2 に本研究で得られた赤
外スペクトルを示す。NH 基の H−D 置換に
NH-NH
よる 3 種類の互変異性型二量体を、以下
NH−NH 体、NH−ND 体、ND−ND 体と呼ぶ。
2000 cm−1 付近に見られるバンドは 3 つのス
NH-ND
ペクトル全てに現れているので、骨格振動等
の結合音と考えられる。2050 cm−1 より高波
数に現れたバンドを目的とする ND 伸縮振動
バンドと帰属した。NH−ND 体、ND−ND 体
ND-ND
ともにピークが重なったブロードな形状を
示しており、NH−ND 体の ND 伸縮振動バン
ド幅は ND−ND 体に比べて狭いことがわか
1800 1900 2000 2100 2200 2300
る。以前測定した NH 伸縮振動スペクトルで
Wavenumber / cm-1
は、NH−NH 体のバンド幅に比べて NH−ND
体のバンド幅が狭くなっていた。これらの結 Fig 2. IR spectra of the 7−AI tautomeric dimers.
果、NH−NH 体、ND−ND 体のようなホモダイマーに比べて、ヘテロダイマーである NH−ND
体のバンド幅が狭いという傾向が見出された。これは、H−D 置換によって二量体における単
量体ユニット内及びユニット間の振動エネルギーの流れが変化したことが原因であると考え
られる。DPT 反応には二量体全体へエネルギーが行き渡ることが必要なので、この振動エネ
ルギーの流れの変化は DPT 反応へも影響するものと考えられる。
【文献】
[1] H. Ishikawa, H. Yabuguchi, Y. Yamada, A. Fujihara, and K. Fuke, J. Phys. Chem. A 114, 3199
(2010).