集中講義
非可換空間の基礎の非果敢な review
白石 清(山口大学理学部)
平成 26 年 6 月 15 日
概要
ていうか, review になってない。
1
目次
1
座標と微分
1.1 座標 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1.2 微分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
3
3
2
並進と平面波
2.1 並進 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2.2 平面波 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4
4
4
3
非可換トーラス
3.1 基底 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3.2 Fuzzy torus . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5
5
6
4
2次元非可換空間とフォック空間による表現
7
5
star 積
5.1 Weyl-Moyal star product . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.2 フーリエ変換 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.3 結合則 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
8
8
9
9
6
非可換場の古典解
6.1 広がった「点」 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
6.2 フォック空間の基底による表示 . . . . . . . . . . . . . . . .
6.3 非可換ソリトン解 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
11
11
12
14
7
非可換空間上のゲージ理論
16
7.1 field strength . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16
7.2 vortex solution . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17
8
非可換空間上の量子場の理論
19
8.1 相互作用のない理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 19
8.2 φ3 理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 19
8.3 φ4 理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20
2
座標と微分
1
1.1
座標
座標がまともな「数」でなく,非可換であるとしよう。
xi , xj = iθij
(1)
ただし θij は実で,θ ji = −θij 。また,θ は逆 θ−1 を持つとする。
1.2
微分
微分は,
∂i xj = δij
(2)
となるように定義する。
座標の関数 f(x) の微分は
∂i f = −i(θ−1 )ij xj , f
(3)
と書ける。
f = xk の場合,確かに
∂i xk = −i(θ−1 )ij xj , xk
= −i(θ−1 )ij iθ jk = δik
(4)
f も演算子的に考え,つまり,後ろにぶち当たる ψ とかあったりする
と思えば
∂ˆi , f ψ = −i(θ−1 )ij xj , f ψ
(5)
(区別のため notation をこそっとかえた。)というわけで,
∂ˆi = −i(θ−1 )ij xj
を使うこともできる。使い方に注意。このとき
∂ˆi , ∂ˆj
=
−i(θ−1 )ik xk , −i(θ −1 )j x
(6)
= −(θ−1 )ik (θ−1 )j iθ k
= −i(θ−1 )ji = i(θ−1 )ij
(7)
これも普通でないね。
(∂ˆi を U (1) ゲージ場を含んだ共変微分と思えば,右
辺が磁場に見えてくる,よね。)
3
並進と平面波
2
2.1
並進
並進を
xi → xi + a i
(8)
とする。
無限小の場合,xi → xi + i で f → f + δf = f + i ∂i f 。
したがって1
f(xi + ai ) = e−i(θ
2.2
−1 )
ij a
i xj
f(x)ei(θ
−1 )
ij a
i xj
(9)
平面波
平面波 eik·x は次を満たすとする。
∂j eik·x = ikj eik·x
(10)
普通の exponential でいいみたい。
ただ積を考えると
eik·x · eik
·x
i ij
ki kj
= e− 2 θ
ei(k+k )·x
(11)
となる。(これは,なんとかいう公式2 からでるよね。)
また3
eik·x · f(x) · e−ik·x = f(xi + θij kj )
(12)
この関係は,
(エネルギー)運動量が大きいと,非局在性が大きいことを
表している。
1
Baker-Campbell-Hausdorff formula
e Be−A = B + [A, B] + · · ·
2
これも Baker-Campbell-Hausdorff formula というのでした。
1
A B
e e = eA+B+ 2 [A,B]+···
3
前の並進の式 (9) で kj = −(θ−1 )ij ai とおく。
A
4
非可換トーラス
3
3.1
基底
通常の空間で
f(xi ) = f(xi + 2πni )
(13)
(ni は整数)となるような関数を考えることに相当。その基底は
j
uj = eix
(14)
2次元空間では,トーラス上の任意関数は
f(x1 , x2 ) =
anm un v m
(15)
n,m∈Z
と表せる。ここで
1
2
u = eix ,
v = eix
(16)
非可換空間では
eix · eix = e− 2 θ ei(x +x
i
i ij
j
i
j)
(17)
eix · eix = e− 2 θ ei(x +x ) = e 2 θ ei(x +x
j
i
i ji
i
j
i ij
i
j)
(18)
であるので
j
Uj = eix
(19)
Ui Uj = e−iθ Uj Ui
(20)
と書くと
ij
の関係が成り立つ。
なんとなく量子群的変形を思い浮かべる。
2次元非可換空間
x1 , x2 = iθ
(21)
では,
1
2
U = eix ,
V = eix
(22)
と書くと
U V = e−iθ V U
の関係が成り立つ。
5
(23)
3.2
Fuzzy torus
互いに素な整数 p,N があって,ω = e2πip/N とする。
2つの N × N 行列





U =





1
ω
ω2
...
ω N −1





,





1




V =




1
...







1 

(24)
1
をつくると,
UV = e−2πip/N V U
(25)
を満たすので,
p
N
の場合に対応する。この特殊な場合を Fuzzy torus と呼ぶ。
θ = 2π
特殊である。
基底は全部数えて N × N 個と,有限である。
6
(26)
4
2次元非可換空間とフォック空間による表現
x1 , x2 = iθ
(27)
ただし θ > 0 とする。
z ≡ x1 + ix2 とすると
[z, z¯] = −i x1 , x2 + i x2 , x1 = 2θ
1
a ≡ √ z,
2θ
とすれば
(28)
1
a† ≡ √ z¯
2θ
(29)
a, a† = 1
(30)
a,a† を消滅,生成演算子と見たときのフォック空間を考え,
f(x1, x2 ) =
∞ ∞
fmn |mn|
(31)
m=0 n=0
と表すことが出来る。ただし a† a|m = m|m。
特に,軸対称な場合,
f(x1 , x2 ) =
∞
fm |mm|
(32)
m=0
で表される。
ex.
|00| =: e−a
†a
:=
∞
(−1)k
k=0
を示せ。
7
k!
k
a† ak
(33)
star 積
5
5.1
Weyl-Moyal star product
座標が普通の数でないと思うかわりに,積が普通の積でない と思って
みてはどうだろう。
xi xj − xj xi = xi , xj
= iθ ij
(34)
Weyl-Moyal star product を次のように定義する。
i ij
∂i ∂j
(f g)(x) ≡ e 2 θ
f (x)g(x )
(35)
x =x
(ここで x は普通の数,∂i なども普通の微分。)4
例1
f(x) = xi ,g(x) = xj のとき
i
xi xj = xi xj + θ ij
2
(38)
したがって
xi xj − xj xi = xi , xj
= iθ ij
(39)
を満たす。
例2
f(x) = eik·x ,g(x) = eik ·x のとき
eik ·x eik
·x
= e− 2 θ
i ij
k
i kj
ei(k+k )·x
(40)
はすぐにわかりますね?
4
場合によっては,以下のように書いたほうがよい:
i ij ∂ ∂
(f g)(x) ≡ exp θ
)g(x
)
f
(x
1
2 2 ∂xi1 ∂xj2
(36)
x1 =x2 =x
もっと気になるときは,こう書こう。
i ij ∂ ∂
(f g)(x) ≡ exp θ
f (x + ξ)g(x + η)
i
j
2 ∂ξ ∂η
ξ=η=0
8
(37)
5.2
フーリエ変換
積分は普通でよくなるので,割と楽。
f (x) のフーリエ変換を
f˜(k) =
1 n ik·x
d x e f(x)
n
(2π) 2
(41)
とすると,
f
g(k) =
1
n
(2π) 2
n d ke
i ij
θ ki kj
2
1
1
f˜ k + k g˜ k − k 2
2
(42)
ex. これを示せ。
というわけで,k = 0 とすれば簡単に
n
d x (f g)(x) =
がわかります。
したがって
dn x f (x)g(x)
(43)
dn x (g f)(x)
(44)
dn x (f g)(x) =
です。(ちょっとほっとした?)
5.3
結合則
Weyl-Moyal star product は,結合則を満足する。
[f (g h)](x) = [(f g) h](x)
(45)
これを示すには,
1 n ik ·x ˜
f(x) =
d k e f (−k)
n
(2π) 2
1
dn p eip·x g˜(−p)
g(x) =
n
2
(2π)
1 n iq·x ˜
h(x) =
d q e h(−q)
n
(2π) 2
(46)
(47)
(48)
として,
eik ·x (eip·x eiq·x ) = (eik·x eip·x ) eiq·x
9
(49)
を示せばよい。
左辺は
e− 2 θ
i ij
ki (p+q)j
e− 2 θ
ei(k+p+q)·x
(50)
e− 2 θ
ei(k+p+q)·x
(51)
i ij
pi qj
右辺は
e− 2 θ
i ij
(k+p)
i qj
i ij
ki pj
両者は一致。
e− 2 θ
i ij
ki pj
e− 2 θ
i ij
ki qj
e− 2 θ
i ij
p
i qj
ei(k+p+q)·x
(52)
前の subsection の最後の結果と合わせると
d x (f1 f2 · · · fn )(x) =
n
dn x (fn f1 · · · fn−1 )(x)
(って当たり前か。行列とトレースみたいなもんだねえ。)
10
(53)
非可換場の古典解
6
6.1
広がった「点」
2次元ユークリッド空間で次の方程式を考えよう。
f f(x) = f (x)
ただし,
x1 , x2
= iθ
(54)
(θ > 0)
(55)
とする。(42) から
1 i
1
1
dk1 dk2 e 2 θ(k1 k2 −k2 k1 )f˜ k + k f˜ k − k 2π
2
2
˜
= f(k)
(56)
f
f (k) =
f˜ として,ガウシアンを仮定してみよう。
˜ = A e−αk2
f(k)
(57)
このとき (56) は以下のようになり,
−αk2
Ae
A2 α 2
2i θ(k1 k2 −k2 k1 )
2
=
dk1 dk2 e
exp − k − 2αk
,
2π
2
このガウス積分を実行すると
Ae
−αk2
A2 π
α
θ2 2
=
exp − k 2 −
k
2π 2α
2
32α
(58)
(59)
となるので
θ 2
f˜(k) = θ e− 4 k
(60)
が (56) の解。したがって (54) の最も単純な解として
r2
f(x) = 2 e− θ
(61)
を得た。ただし,r 2 = (x1 )2 + (x2 )2 。
チェックとして,(54) から求まる
d2x [f(x)]2 =
d2 x f(x)
(62)
は容易に確かめられる。5
ここで求めた解は,θ のオーダーの拡がりをもつことに注意しよう。
5
今の解の場合,この値は 2πθ。
11
フォック空間の基底による表示
6.2
以前にみた,フォック空間におけるオペレータによる表示6 との関連を
考えてみる。その場合,座標は交換しない「数」であるから,量子力学
におけるオペレーターオーダリングの様な微妙さがある。
以下のようなフーリエ逆変換
1
f(x) =
(2π)n/2
dn k f˜(k) e−ik·x
(63)
において,x を非可換な座標としたものが,可換なものに対応すると決め
よう。7
前の subsection で求めた解については,
f(x1 , x2 ) =
θ 2 − θ k 2 −ik 1 x1 −ik 2 x2
d ke 4 e
2π
(64)
すなわち
∞
θ 2π
k iϕ
− θ4 k2
−iϕ
f (z, z¯) =
dϕ
dk k e
exp −i z¯ e + z e
2π 0
2
0
(65)
である。ただしここで k1 = k cos ϕ,k2 = k sin ϕ とした。
BCH 公式から
k
exp −i z¯ eiϕ + z e−iϕ
2
k2
k iϕ
k −iϕ
= exp − θ exp −i z¯ e
exp −i z e
4
2
2
(66)
おのおのの exponential を展開して,ϕ についての積分を行うと8
f (z, z¯) = θ
∞
dk k e
− θ2 k2
0
∞
(−1)
=0
$!$!
2
k
2
z¯ z (67)
となって,最後に k 積分を行うと(Γ($ + 1) = $!)
f(z, z¯) =
∞
(−1) z¯ z =0
6
7
8
オペレータ表示,演算子表示とも言う。
Weyl 変換
2π
0
dϕ ei(
−m)ϕ = 2πδ m
12
$!
(2θ)
(68)
となることがわかる。これは以前にやった表示で
†
: e−a a := |00|
(69)
|00|00| = |00|
(70)
のことである。
であるので,(54) の解になっていることは明らかである。
非可換座標でかかれたものから,逆変換も一意的に決まることが知ら
れている。ここでは割愛する。
ついでながら,こちらの表示では「体積積分」にあたるものとして Tr
を導入し,
Tr e−ik·x = (2π)n δn (k)
(71)
を満たすとしなければならない。これは (63) と通常の座標表示のものを
比べればわかる。
Tr f g = Tr g f
(72)
Tr f(x) = 2πf˜(0)
(73)
θ 2 − θ k2 −ik 1 x1 −ik 2 x2
|00| =
d ke 4 e
2π
(74)
Tr |00| = 2πθ
(75)
を満たす。
先ほどの2次元の例では
だから
より
では,Tr |11| は何か?
θ
2π
θ
=
2π
θ
=
2π
θ
=
2π
|11| =
z¯
z
¯
¯
d2 k e−θk k √ e−ikz¯−ikz √
2θ
2θ
¯ 1
¯
d2 k e−2θkk
z¯e−ik z¯e−ik z z
2θ
−1 ∂ ∂ −ik¯
¯
¯z −ik z
d2 k e−2θkk
e
e
2θ ∂ k¯ ∂k
2 ¯
¯ −4θ k k + 2θ −ik
¯
d2 k e−2θkk
e z¯e−ikz
2θ
13
(76)
(k = (k1 − ik2 )/2, k¯ = (k1 + ik2 )/2 である。)であるから
Tr |11| = 2πθ
(77)
Tr |mm| = 2πθ
(78)
Tr = 2πθ TrH
(79)
同様に
ということは,
ここで
TrH f =
∞
n|f|n
(80)
n=0
6.3
非可換ソリトン解
スカラー場 φ の action
1
d x ∂i φ ∂i φ + V (φ)
2
2
(81)
を考える。V (φ) はスター積で書かれていることを表す。再び
x1 , x2
= iθ
(θ > 0)
(82)
とする。
√
xi → xi θ と変換すると action は
d2 x
ただし
1
∂i φ ∂i φ + θV (φ)
2
x1 , x2
=i
(83)
(84)
θ が大きいときは,kinetic term は無視できる。9 したがって
∂V (φ)
=0
∂φ
が θ が大きい場合の方程式。
9
ソリトンみたいな穏やかなものがあるとして
14
(85)
さて,ポテンシャルが「自発的対称性の破れ」のタイプ・
・
・すなわち
φ = 0 が極大,φ = v が極小の場合,
φ (φ − v) U(φ) = 0
(86)
のような運動方程式になる。U は何らかの関数。
この運動方程式の解は,上で見た f f = f の解 f を用いて
φ0 (x) = v f(x)
(87)
φ0 (φ0 − v) = v f (v f − v) = v 2 (f f − f) = 0
(88)
と書ける。なぜならば
15
非可換空間上のゲージ理論
7
7.1
field strength
通常の場合。
Fij = ∂i Aj − ∂j Ai + i [Ai , Aj ]
= −i [Di , Dj ]
(89)
ただし Di ≡ ∂i + iAi 。
非可換空間では,(89) の一行目のように
Fij() = ∂i Aj − ∂j Ai + i [Ai , Aj ]
(90)
とすればよろしいでしょう。U (1) でも最後の項が残ることに注意。
U (1) ゲージ変換は
δAi = ∂i λ + i [Ai , λ]
この変換で
δFij() = i Fij() , λ
したがって
dn xFij() Fij()
(91)
(92)
(93)
はゲージ変換の下で不変。
Fij() Fij() はゲージ不変ではない!
Nonabelian のときは?
(89) の二行目の書き方をするには,もともとこの導出は後ろに何かぶっ
かかってるのをおもいだせば,
Di → Ci ≡ ∂ˆi + iAi = −i(θ−1 )ij xj + iAi
(94)
をつかって書くべき。ただ前に見たように微分演算子が可換でないので
Fij = −i [Ci , Cj ] − (θ−1 )ij
16
(95)
7.2
vortex solution
可換空間では,スカラー場のあるときに特異性のない解がつくられる。
非可換時空の非局所性のため,スカラーなしでも,特異性のない解が期
待できる。
2次元10 非可換座標で
x1 , x2 = iθ
(θ > 0)
(96)
を満たすとする。
i
C1 = x2 + iA1 ,
θ
i
C2 = − x1 + iA2
θ
(97)
を組み合わせ
1
1
C = (C1 − iC2) = − z¯ + iA,
2
2θ
1
1
C¯ = (C1 + iC 2 ) = z + iA¯ (98)
2
2θ
をつくる。ここで
1
A = (A1 − iA2 ),
2
これを用いて
1
A¯ = (A1 + iA2 )
2
(99)
1
F = F12 = −2 C, C¯ +
θ
(100)
Tr F 2
(101)
action は
運動方程式は
C, C, C¯
=0
(102)
もちろん真空
1
1
z¯,
C¯ = z
2θ
2θ
は運動方程式の解である。(このとき F = 0)
またそのゲージ変換
C=−
C=−
10
1 †
U z¯U,
2θ
1
C¯ = U † zU
2θ
エネルギーとか議論するときは (2 + 1) 次元にする。
17
(103)
(104)
も解である。
U U † = 1 でなくてはならないが,U † U = 1 である必要はない。11
この性質を満たす最も単純なものは S † と S で
S† =
∞
|n + 1n|,
S=
n=0
∞
|nn + 1|
(105)
n=0
これらは SS † = 1 を満たすが12
S †S = 1 − |00|
(106)
U = S m などととれば
† m
θF = 1 − (S ) S =
m
m−1
|nn|
(107)
n=0
total flux は
θ Tr F = 2πθm
(108)
全エネルギー=質量13 も整数 m に比例。
Tr F 2 =
2πm
θ
(109)
通常の空間上で,巻き数を変える変換が作れないわけは,原点で特異
性を持つためです。14 非可換空間では非局在性のため,nonsingular な変
換が作れる。
11
12
13
14
¯ ,Tr U † F 2 U = Tr F 2 U U † = Tr F 2
¯ = U † C CU
たとえば,
U † CU U † CU
∞
1 = n=0 |nn|
(2 + 1) 次元で議論すべきですが・
・
・
U = eimϕ のように。
18
非可換空間上の量子場の理論
8
4次元 Euclidean スカラー場の理論を考える。
8.1
相互作用のない理論
action を以下のようにする。
d4 x
S=
1
1
∂ i φ ∂i φ + m 2 φ φ
2
2
(110)
運動量空間で考えよう。
d4 k ik·x ˜
e φ(k)
(2π)4
φ(x) =
eik ·x eik ·x = e− 2 θ
i ij
k
i kj
i
(111)
ei(k+k )·x ≡ e− 2 k×k ei(k+k )·x
(112)
なので action は
i
d4 k 1 ˜
k×k
˜
2
φ(−k)e
(k 2 + m2 )φ(k)
(2π)4 2
d4 k 1 ˜
˜
=
φ(−k)(k 2 + m2 )φ(k)
4
(2π) 2
(113)
k × k = 0 なので,プロパゲーターは変わらない。
k2
8.2
1
+ m2
(114)
φ3 理論
action を以下のようにする。
S=
d4 x
1
1
g
∂i φ ∂i φ + m2φ φ + φ φ φ
2
2
6
(115)
相互作用項は
eik 1 ·x eik 2 ·x eik 3 ·x
= e− 2 k2 ×k3 eik 1 ·x ei(k2 +k3 )·x
i
= e− 2 k2 ×k3 e− 2 k1 ×(k2 +k3 ) ei(k1 +k2 +k3 )·x
i
i
19
(116)
によってバーテックス
∝ e− 2 k1 ×k2 δ4 (k1 + k2 + k3)
i
(117)
を導く。
φn 理論ではバーテックスに
exp −
i ka × kb
2 1≤a<b<n
(118)
の因子が現れる。(k はすべてバーテックスに入っていく方向。)
cyclic symmetry
8.3
15
はあるが,permutation symmetry は無い。
φ4 理論
action を以下のようにする。
S=
1
1
λ
∂ i φ ∂i φ + m 2 φ φ + φ φ φ φ
d4 x
2
2
4!
(119)
φ4 理論ではバーテックスに
i
exp − (k1 × k2 + k1 × k3 + k2 × k3)
2
(120)
の因子が現れる。
one-loop self-energy diagram を考える。
入ってくる運動量を p,ループを k が回るとする。
k1 = p と選ぶ。16
−p の選び方に以下の3通り。
・k2 = −p と選ぶ。このとき因子は
i
exp − (p × (−p) + p × k + (−p) × k) = 1
2
15
16
(53) からわかる。
4通り。
20
(121)
・k4 = −p と選ぶ。このとき因子は
i
exp − (p × k + p × (−k) + k × (−k)) = 1
2
(122)
・k3 = −p と選ぶ。このとき因子は
i
exp − (p × k + p × (−p) + k × (−p)) = exp [−i(p × k)]
2
(123)
したがって
(2)
(2)
Γ(2)
1 = Γ1 planer + Γ1 nonplaner
(124)
−λ d4 k
3(2π)4 k 2 + m2
(125)
−λ d4 k
=
eik ×p
6(2π)4 k 2 + m2
(126)
Γ(2)
1 planer =
(2)
Γ1 nonplaner
これらを regularize する。Schwinger parameter を用いて
Γ(2)
1 planer
−λ ∞ 4 −t(k2 +m 2 )
=
dt d ke
3(2π)4 0
−λ ∞ dt −tm2
=
e
3(4π)2 0 t2
(127)
regularize のため e− 4Λ2 t を導入すると(Λ はカットオフ)
1
(2)
Γ1 planer
−λ ∞ dt −tm 2 − 12
4Λ t
=
e
3(4π)2 0 t2
m
−λ
=
4mΛK1
2
3(4π)
Λ
(128)
これは普通の発散の regularization。
同様に
(2)
Γ1 nonplaner
−λ ∞ 4 −t(k2 +m 2 )+ik ×p
=
dt d ke
6(2π)4 0
−λ ∞ dt −tm2 − p◦p
4t
=
e
6(4π)2 0 t2
21
(129)
ここで p ◦ p = pi θ ik θjk pj 。
1
regularize のため e− 4Λ2 t を導入すると
∞
dt −tm2 − 4Λ2ef1 f t
−λ
e
6(4π)2 0 t2
−λ
m
=
4mΛeff K1
6(4π)2
Λeff
Γ(2)
1 nonplaner =
−2
ここで Λ−2
ef f = p ◦ p + Λ 。
nonplaner では Λ2 → ∞ でも Λ2eff は有限!
!≈ 1/p ◦ p
これが発散するのは p ≈ 0 のとき。おお,IR?
UV と IR の発散が混在している?
!
22
(130)
参考文献
[1] I. Ya. Aref’eva, D. M. Belov, A. A. Giryavets, A. S. Koshelev
and P. B. Medvedev, “Noncommutative Field Theories and (Super)
String Field Theories”, hep-th/0111208.
[2] N. G. Deshpande, “A review of non-commutative gauge theories”,
Pramana 60 (2003) 189.
[3] M. R. Douglas and N. A. Nekrasov, “Noncommutative Field Theory”, Review of Modern Physics 73 (2001) 977. (hep-th/0106048).
[4] M. Gomes, “Noncommutative Field Theories”, Braz. J. Phys. 32
(2002) 838-842.
[5] F. Hofheinz, “Field theory on a non-commutative plane: a nonperturbative study”, Fortschr. Phys. 52 (2004) 391.
[6] A. Konechny and A. Schwarz, Phys. Rep. 360 (2002) 353
hep-th/0012145.
[7] Kh. Namsrai, “Noncommutative Field Theory”, Int. J. Theor. Phys.
42 (2003) 2609.
[8] M. Olsson, “Noncommutative Scalar Field Theory and the UV/IR
Mixing”, Master’s degree project (2002).
[9] V. O. Rivelles, “Supersymmetry and Gravity in Noncommutative
Field Theories”, Nucl. Phys. B (Proc. Suppl.) 127 (2004) 63-70.
[10] V. O. Rivelles, “Noncommutative Supersymmetric Field Theories”,
Braz. J. Phys. 31 (2001) 255-262.
[11] F. A. Schaposnik, hep-th/0408132.
[12] M. M. Sheikh-Jabbari, “Noncommutative string and field theories, a
review of the status”, Nucl. Phys. B (Proc. Suppl.) 108 (2002) 113.
[13] R. J. Szabo, “Quantum Field Theory on Noncommutative Spaces”,
Phys. Rep. 378 (2003) 30 hep-th/0109162.
23
[14] R. J. Szabo, “Magnetic Backgrounds and Noncommutative Field
Theory”, physics/0401142.
[15] J. Zahn, “Wirkungs- und Lokalit¨atsprinzip f¨
ur nichtkommutative
skalare Feldtheorien”, Diplomarbeit, Universit¨at Hamburg, 2003.
[16] 浜中真志 「非可換ゲージ理論におけるソリトン解」,
http://www.math.h.kyoto-u.ac.jp/˜takasaki/soliton-lab/nis/iss2001/
[17] 松尾泰 “Geomertrical Aspects of Noncommutative Soliton”,
http://hep-th.phys.s.u-tokyo.ac.jp/˜matsuo/paper/yitp2001.ps.gz
24