気密性・換気

気密性・換気
気密性グレードの意味
サッシの気密性とは、サッシの隙間から漏
れる空気の量を示し、サッシ1m2における
1時間当たりの通気量を、JISで定義する
等級グレードで表します。
◆等級が小さいほど隙間風は少ない。
グレードは等級曲線で表わしますが、これ
は、右ページのグラフの中では、単位と
してm3/hr・m2の値で示されています。
これは、1時間で、1m2あたり何m3の空
気が漏れるかを示します。
また、気密性の善し悪しは、次の4点に影響を
及ぼします。
冷暖房における
熱負荷の問題
省エネルギーに
つながる
外・内部騒音における
遮音の問題
静けさにつながる
外部からの塵埃、
粉雪の吹込みの問題
快適な環境につながる
室内換気の問題
高気密型サッシには
換気設備の設置や
時たまの窓の開放が必要
◆気密と通気の度合いは、換気・防音・断熱・
防塵との関係から求めます。
等級を表わす数字は、戸内外の圧力差が
10Paの時の通気量です。例えばA-3等級
のサッシ・ドアセットとは、内・外の圧力差が
10Paの時、1時間当りサッシ・ドアセット
1m2に付き2m3<通気量≦8m3の空気が
もれることになります。
JISグレード(JIS A 4706・4702)
新等級表示
旧等級表示
A-1〈A-1等級線〉
A-2〈A-2等級線〉
A-3〈A-3等級線〉
A-4〈A-4等級線〉
120
30
8
2
判定基準
該当する等級について、通気量がJIS A 1516
(建具の気密性試験方法)に規定する気密性等
級線を上回らないこと
気密性の試験方法
試験状態図
圧力差測定器
JIS A 1516-1998にサッシ・ドアの気密性試験方法
気密性等級線
圧力箱
が規定されています。試験方法は下図のように
サッシ・ドアを取付け、各段階の圧力差を加え気密
1000
試験体取付枠
箱の方にもれた空気の量を測定し、計算した数値
送風機
を気密等級グラフにプロットし、あらかじめ決めら
圧力調節機
れた気密等級線を超えていないか確認します。
A1等
級
線
500
300
線
級
A2等
通 気 量 q
120
100
正圧又は負圧
気密試験手順
(加圧線図)
(Pa)
500
500
400 300 Pmax
300
200
200
50
100
※ 10
(m3/h・m2)
3
級
線
30
整圧板
(じゃま板)
●Pmaxが600Pa以下の例
150
100
50 30 10
時間
(s)
A-
3等
※は開閉確認 ●Pmaxが600Paを超える例
700 Pmax Pmax+10%
4等
級
線
正圧又は負圧
10
8
A-
5
600
500
500
400
400
300
(Pa) 300
3
200
100
2
1
30 50
※ 10
3
10
30
50
圧力差 P
(Pa)
100
※は開閉確認 1
10
100
150
200
時間
(s)
流量測定装置
試験体
気密性・換気
■冷暖房における熱負荷の問題
例えば、気密性A-2〈A-2等級線〉とA-3〈A-3等級線〉の製品とでは約4倍の
熱負荷の差があります。
気密性能による熱損失比較表
等 級
A-1
A-2
A-3
A-4
〈A-1等級線〉
〈A-2等級線〉
〈A-3等級線〉
〈A-4等級線〉
すきま風の風量[m3/h]
冬 期
夏 期
すきま風による
熱負荷[W]
480
120
32.0
8.0
顕熱負荷
3465
866
231
57.8
潜熱負荷
1602
401
107
26.7
合計熱負荷
5067
1267
338
84.5
顕熱負荷
624
156
41.6
10.4
潜熱負荷
2678
669
179
44.6
合計熱負荷
3302
826
220
55.0
■外・内部騒音における遮音の問題
例えば、気密性A-2〈A-2等級線〉とA-3〈A-3等級線〉の製品とでは、
2〜3dBの遮音効果の差があります。
気密性;
(0.2m3/hr・m2)
40
音響透過損失
︵ ︶
A-4〈 A-4等級線〉
30
気密性;
(2m3/hr・m2)
20
気密性;
A-3〈 A-3等級線〉
(5m3/hr・m2)
10
気密性;
A-2〈 A-2等級線〉
(10m3/hr・m2)
dB
0
125 250 500 1000 2000 4000
(5mmガラス使用)
設定条件
W=2,000mm H=2,000mm
冬 期
室 内
外 気
30
20
0
26
相対湿度(%)
40
55
50
65
絶対湿度(g/kg)
5.79
2.07
10.47
17.37
空気密度(kg/m3)
1.20
1.29
1.18
1.16
顕熱負荷 qs=Cpγ△tQi/3600
潜熱負荷 qL=rγ△xQi/3600
qs=すきま風による顕熱負荷[W]
qL=すきま風による潜熱負荷[W]
Cp=空気の低圧比熱=1005 J/(kg・K)
γ=空気密度
r =空気の蒸発潜熱=2501 J/g
△t:室内外乾球温度差[K]
△x:室内外絶対湿度差[g/kg]
Qi:すきま風の風量[m3/h]
●使用の目安
等級
用途
気密性( )内数値は圧力差10Paにおける性能値です。
室 内
温 度(℃)
A-1
A-2
A-3
A-4
〈A-1等級線〉
〈A-2等級線〉
〈A-3等級線〉
〈A-4等級線〉
通気性を
必要とする
特殊部位
一般建築用
周波数
(Hz)
上表は、引違いサッシ(気密性別)の平均的な遮音特性を示したものです。
夏 期
外 気
防音・断熱・防塵建築用
サッシ・ドア
の呼称
—
普通
サッシ・ドア
—
防音サッシ・ドア
断熱サッシ・ドア
換気について
省エネルギー基準の改正に伴う建築の高気密・
室内空気の汚染度は、暖房器具やたばこの煙、さらに人体からも発生する炭酸ガス濃度が目安となりますが、
高断熱化により、快適な室内環境を保つために
室内の大きさとの比率も関係してきます。 建築基準法では、換気に有効な開口面積は居室床面積の
は、新鮮な外気を取り入れる換気の問題が重要
1/20と定めていますが、開口部の位置・大きさなどへの配慮・バランスに心がける必要があります。
となってきています。換気や通風が充分な部屋
は、人体の健康上有効であることはもちろん、
結露も生じにくく、中間期もしのぎやすいため、
冷暖房期間の節約にもつながります。
当社主要サッシ群の引違い窓、片引き窓には、自然換気以外の換気促進装置として、換気かまちと
ただし、都市部での騒音や防塵対策、強風時や
換気小窓を用意しています。
寒冷期対策など、相反する要求条件への配慮
も必要となります。
換気かまち
換気小窓
2
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