右へ30 タートルになりきって、地上絵を描こう ―プログラミング理解を促すための授業の企画― 総合政策学部4年 根立俊恵 学籍番号79906995 ログイン名s99699tn ■プログラミング教育の難点 • 「子どもにできることが、なぜ大学生にできないのか? 」 大学生になってはじめてプログラミングを学んでも、その 仕組みを理解することは難しい – どうやったら言語による命令が図形になるのかイメージできない – 表そうとする図形をコンピュータに描かせるときに、どのような命 令を出せば良いのかわからない ■提案 • プログラミングに対する障害感をなくすためには、コン ピュータとのコミュニケーションに配慮した思考パターンを 理解することが大切。 • 「実行させたい動きを論理的に捉え、他人にもわかる言 葉で表現し、的確に伝える」という訓練を早くから行うこと が重要。小学校低学年~中学年のうちが望ましい。 ■授業の企画 • テーマ – タートルになりきって地上絵を描こう • 対象 – 小学校3、4年生(角度の測り方を理解していることが前提) • 用意するもの – – – – 石灰のラインマーカー 巻尺 大きな分度器 メール送信機能付きの携帯電話(チーム当り2機) • 条件 – 広いグラウンド、もしくは駐車場が確保できること ■授業概要 • 身体を使い、タートルグラフィックスのタートルになりきっ て、グラウンドに地上絵を描く。 • 命令役と実行役の両方を行うことによって、的確な命令 の出し方について考える。 • 言葉による命令から実際の作業への変換を身体でイメー ジする。 手順の説明 ①チーム編成 • クラスを2チームに分ける – 例えば、30人クラスの場合15人ずつ。チームA、Bとする。 Aチーム Bチーム ②ワークグループ編成 • 更に、一つのチームの中を4つのワークグループに分け る(1グループ3~4人)。 • それぞれのチームごとに、A-1、A-2、A-3、A-4、およびB1、B-2、B-3、B-4というワークグループを編成する。 A-1 A-3 B-1 B-3 A-2 A-4 B-2 B-4 Aチーム Bチーム ③出題 • 一つ一つのグループには、ある図形のそれぞれ4分の1 が描かれたカードが渡される。 • 1チームで一つの図形になる。 • 他のグループのカードを見てはならない。 A-1 A-2 Aチーム A-3 B-1 B-3 A-4 B-2 B-4 Bチーム ④シンキングタイム • カードを見て、その図形を描くためにはどのように命令す れば良いのか、各グループごとに考える。 • その際、(同じチームといえども)他のグループとは相談 してはいけない。 ? ? ? ? 《命令体系》 • 使って良い命令文は、 以下の6種類のみ。 1.右へ 〇 (右に○度回転) 2.左へ ○ (左に○度回転) 3.前へ ○ (前に○メートル進む) 4.後ろへ ○ (後ろへ○メートル進む) 5.ペンを上げる 6.ペンを下ろす (命令1,2) (命令3,4) (命令5) ⑤準備 • A-1、B-1のグループがそれぞれ携帯電話、分度器、巻尺、 石灰ラインマーカーを持ってグラウンドに出る。 • グラウンドには、A,Bチームそれぞれの起点が予め示さ れている。 携帯電話 携帯電話 ラインマーカー ラインマーカー Aチーム 分度器 分度器 巻尺 Bチーム グラウンド 巻尺 ⑥ワーキング1 • 教室に残ったA-2、B-2グループのメンバーは、A-1,B-1グ ループの持つ携帯電話に命令文をメールで送信。 • A-1、A-2グループは送られた命令に沿って石灰でライ ンを引く。 • このとき、命令を送るチームはグラウンドを見ない。 右へ30 右へ30 教室 A-1グループ グラウンド A-2グループ ⑦ワーキング2 • 同様に、次はA-2とB-2のグループがグラウンドに出る。 • A-3とB-3のグループが教室からメール送信、、、 • 以上の順序でAB両チームとも4つのグループが命令役 と実行役を全て行う。 Bチームの役割交代 Aチームの役割交代 交代① A-1 A-2 命令 作業 交代② 命令 交代③ 交代④ A-3 交代① B-1 B-2 命令 作業 交代② 作業 命令 作業 A-4 作業 交代③ 命令 交代④ 命令 B-3 作業 命令 作業 B-4 作業 命令 ⑧描画グラフの確認 • 全員で屋上に上り、描かれた地上絵を見る。 • A、B両チームで1~4までのカードつなげてみて、答え合 わせをする。 • 出題されたカードの図形に忠実な地上絵が描けたチーム の勝ち。 出題グラフ 比 較 検 討 描画グラフ ⑨議論 • 出題された図形と描画された図を比べる。 • 携帯電話に送られた命令文のログと照らし合わせる。 • どの命令が適切でなかったのか全員で話し合って考察す る。 • 正しく図形を描くための命令文を作成しなおす。 <命令ログ> ・右へ30 ・前へ50 ・ペンを上げる ・ ・ ・ ⑩プログラム表現へ • 教室に戻り、改善した命令文をコンピュータ上で実験する。 • 出題された図形と同じものができるまで、思考錯誤を繰り かえす。 • 利用するソフトウェアは株式会社ロゴジャパン ( http://www.logo.co.jp )の「ロゴライターwin」を前提とす る。 – vectorでは、「プログラミング>LOGO言語」にカテゴライズされて、 試用版がダウンロード可能 ⑪提出 • 最終的に出来あがったグラフと命令文をプリントアウト • 個人個人の感想を書いて提出。 ■この授業の意義 • この授業は、本格的なプログラミング学習を開始する前 の導入授業と位置付けられる。身体的な体験を通じて子 どもの心にプログラミングの考え方を受け入れる土壌を 作ることに、この授業の意義がある。 – 身体を使って楽しみながらプログラミングの考え方を学ぶことが できる – チーム対抗というゲーム感覚で行うことによって、自然にプログ ラミングの授業への導入ができる – ※楽器やスポーツの場合、最初はうまくできなくとも「ピアノをひきたい」「ゴルフが うまくなりたい」といった欲求が練習を続ける動機になり得る。しかし、プログラミ ングの場合、とりわけ小学生においては身近にモチベーションの源泉となる憧れ の対象に触れる機会が少ない。そこで、チーム対抗ゲームによって一次的にモチ ベーションを高めることが有効であると考えた。ゲームに熱中した結果、実践に よって「できる」という感が自然に身につけば、苦手意識につまづくことなく更なる プログラミング学習のステップに進むことができるだろう。
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