Fe 3 Si/Ge(111)接合における界面構造とスピン偏極率の関係

構
Fe3Si/Ge(111)接合における
界面構造とスピン偏極率の関係
端
科
学
載
技
・加
術
推
工
進
等
機
は
⑩ナノテクノロジー・材料研究
○古川貴弘(院生)、伊藤博介(システム理工学部 物理・応用物理学科 准教授・JST-CREST)、鈴木直(教授)
研究概要・成果
近年,次世代半導体デバイス開発の観点から,強磁性体から半導体へスピンを注入する研究が各地で行われている。
その中に,高いスピン偏極率をもつ強磁性ホイスラー合金のFe3Siを半導体Ge基板上に単結晶成長させたFe3Si/Ge(111)接合による研究がある。
本研究では,第一原理バンド計算を用いて,そのFe3Si/Ge(111)接合の界面構造とスピン偏極率Pの関係を明らかにした。
その結果,本接合の界面近傍のスピン偏極率の符号が,界面構造により変化することがわかった。
これは,スピン注入測定時に,試料の界面構造がそのスピン信号の符号に対して影響を及ぼすことを示唆する。
先行研究
検出された信号(Hanle信号)の符号が予想と異なる
Fe3Si/Si(111)接合によるスピン注入測定(3端子Hanle効果測定)
:injectorのスピン偏極率 と
:detectorのスピン偏極率 が
同じ材料なのにも関わらず異符号になりうるのか?
大
学
先
:スピン注入条件
本研究の目的
界面1原子層目のFeの
スピン偏極率が異符号
: injectorのスピン偏極率
: detectorのスピン偏極率
異なる界面構造
P 
P  
参照:Y. Fujita et al.,
J. Appl. Phys. 113, 013916 (2013).
研究結果
写
・転
第一原理バンド計算により,Fe3Si/Ge(111)接合の界面構造と
西
界面におけるスピン偏極率の符号の関係を明らかにする。
関
研究手段
複
・第一原理バンド計算 (GGA-PAW法)
・計算パッケージVASPにより計算
・界面構造の異なる24通りの計算模型
Fe3Si(DO3構造)
引用:S. Yamada et al.,
PHYSICALREVIEW B 86, 174406 (2012) .
Fe3Si
Ge
無
真空
断
・フェルミ凖位EFにおける局所状態密度(LDOS)からPを計算
※
す
。
(~10Å) (17原子層) (13原子層)
ま
結論
じ
Fe3Si/Ge(111)接合界面におけるスピン偏極率の符号は,
正のスピン偏極率
( P )
負のスピン偏極率
( P  )
応用分野、実用化可能分野
禁
試料の界面構造により変化する。
原子層レベルの界面構造制御
スピン偏極率の最適化
高速、低消費電力、不揮発などの利点を持つ
次世代半導体デバイス(スピンMOSFETなど)への応用
問合せ先: 関西大学 システム理工学部 伊藤博介 E-mail:[email protected]
関人ORDIST
先
端
科
学
技
術
推
進
機
構
社会連携部 産学官連携センター、知財センター