システムエンジニアの職場ストレスとヘルスリテラシーに関する考察 -ストレス反応、ライフスタイルとの関連- 平井 大祐、玉木 健太郎、鈴木 圭子、渡邉 玲子 株式会社保健同人社 EAP グループ 【目的】 システム開発・運用の現場では、常に品 【結果】 有効回答は 748 名(84.1%) 、男女比は 質と納期、コストのバランスが求められ、システム 78.9%:21.1%、 平均年齢は 42.0±10.0 歳となった。 エンジニア(以下、SE)にかかるストレスは高い。 健康情報選択力高群は 73.3%(男性の 71.2%、女性 近年、従業員の能力発揮および生産性向上の視点か の 81.0%) 、健診結果活用力高群は 78.1%、HL 高群 ら、心身の不調に対して、より効果の高いセルフケ は 10.3%で、健康情報選択力では男女間で差があっ アを実践するために、 「健康情報にアクセスし、理解 た。職場ストレスとライフスタイルの関連では、 「朝 し、利用できる力」(Nutbeam, D. 1998)と定義され 食」 、 「塩分のとり方」、 「日常生活の中での歩行」で ているヘルスリテラシー(以下、HL)教育の必要性 有意な差があった。特に職場ストレス高群において、 が注目されている。本研究では、職場ストレスが、 健康情報選択力高群ではライフスタイルは有意に良 ストレス反応(ストレスによる心身の状態)および 好で、健診結果活用力高群ではストレス反応が有意 ライフスタイルに及ぼす影響について、ヘルスリテ に低く、ライフスタイルも有意に良好であった。一 ラシーの観点から検討を行った。 方、HL とライフスタイルの関連を見ると、 「栄養バラ ンス」 、 「食事量」 、 「睡眠時間」 、 「脂肪のとり方」、 「野 【方法】 SE を多数抱える企業 889 人を対象に、WEB 上での自記式アンケートを行った。HL 指標として① 菜のとり方」 、「塩分のとり方」 、「遅い時間の食事」、 「飲酒」 、 「余暇スポーツ」で有意な差が見られた。 「新聞、本、テレビ、インターネット等から、自分 の求める健康情報をうまく選び出せますか」 (石川ら、 【考察】 Health Promotion International 23(3) 、2008、以 め、社風等のバイアスも考えられるが、職場ストレ 下、健康情報選択力)と②「健診結果から、健康改 スが強い状況においても、健診結果を活用できれば 善のためにどう行動すべきか判断することができま ストレス反応、ライフスタイルの乱れともに緩和さ すか」 (福田ら、日本健康開発財団研究年報 24、2003、 れ、必要な健康情報を選択できれば、ライフスタイ 以下、健診結果活用力)について調べた。①で、 「で ルの乱れが緩和されることが示唆された。さらに HL きる」 、 「まあできる」を選択した群を健康情報選択 が高ければ、ライフスタイルは概ね良好に保たれる 力高群、 「あまりできない」、 「できない」を選択した ことも示唆された。職場ストレスの高い SE において、 群を、健康情報選択力低群と定義し、②も同様に、 ストレス反応の軽減や、心身のセルフケアを進める 健診結果活用力高群、健診結果活用力低群とした。 うえで、必要な健康情報を選択する力および健診結 ①②ともに「できる」を選択した群を HL 高群、それ 果の活用する力に関する HL を向上させるアプローチ 以外を HL 低群とした。ストレス指標として、職場ス が効果的だと推察される。今後、同企業に対し HL 教 トレスとストレス反応について、ストレスマネジメ 育を行い、ストレス状況下におけるセルフケアと能 ント検査『Co-Labo』(株式会社ヒューマネージ社) 力発揮を支援するとともに、同質問紙による経年的 を用いて調査した。職場ストレスは、ストレッサー 評価により、HL 教育の効果を検討していきたい。 尺度項目合計得点の上位 25%を高群、下位 25%を低 群とし、それ以外を中群と分類した。ライフスタイ ル指標として、食事、飲酒、喫煙、運動、睡眠等に ついて分析した。比較分析はχ2 検定、一要因の分散 分析及び、Tukey による多重比較を行った。 単一の企業におけるアンケート調査のた
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