「データ分析意識の醸成」を目指して 全社情報戦略の中核を担うBIツール

お客様事例 : 化学
ライオン株式会社
「データ分析意識の醸成」を目指して
全社情報戦略の中核を担うBIツールを導入
人々の暮らしと共に歩み続ける、グローバル価値創造企業
洗剤、ハミガキ、石鹸などのトイレタリー用品や医薬品、化学品などで有名な
ライオン。1891年創業の小林富次郎商店を起源に、時代の折々で人々の生活を
より快適にする商品を世に出して業容を拡大。120年以上もの間、“暮らし”と
共に歩み続けてきたグローバルメーカーである。
創業120周年を迎えた2011年10月、ライオンは、2020年に向けての新経営ビ
ジョン「Vision2020」を策定。目指す姿として「くらしとこころの価値創造企業
を目指す。」「環境対応先進企業を目指す。」「挑戦・創造・学習 企業を目指
す。」の3つのビジョンを掲げ、新中期経営計画「V-1計画」を始動している。
さらなる成長に挑むライオンが価値創造の源となる情報戦略の基盤として選ん
だのが、MicroStrategyのBIプラットフォームである。
基幹システムのオープン移行を機に、
情報管理・分析基盤の刷新を決断
導入前の課題
情報分析システムの稼働基盤が長年にわたって拡張
を繰り返し運用してきたメインフレームで性能や機
能の面で老朽化していた。条件設定の操作が煩雑
で、ユーザーの要望のたびに都度、統合システム部
が出力画面を開発するといった工数の増大を招いて
いた。そうした旧来の環境で操作に習熟したユー
ザーが限られ、分析機会の減少、属人化の傾向が
あった。これらの課題から、機能および操作性に優
れた新しい情報分析基盤が求められていた。
導入後の効果
基幹システムのホストマイグレーションに伴う情報
管理システムの刷新で、折からの課題解決に向けて
BIツールを新規に導入。メインフレーム環境では困
難だった多様なデータ種の追加を柔軟に行えるよう
になり、ユーザー視点でのビジネス情報の可視化が
なされ、ビジネス環境変化に即した、シンプルで強
力な情報分析基盤を完成。ユーザー自身での自在な
情報分析が可能になり、統合システム部の作業工数
も大幅に削減された。
ライオンでは、受注、販売、物流(一部)、マスタ管理を担う基幹業務システム
として実に30年以上にわたってメインフレームが運用されてきた。長年基幹業務
システムとしての役割をまっとうしてきた同メインフレームも年数経過による老
朽化は否めず、2010年にオープン系システムへのマイグレーションが決定した。
全社規模のホストマイグレーションを機に浮上したのが、販売データや市場
データを管理する「MKシステム」の刷新である。約20年前にスクラッチベース
で構築され、ライオンの情報戦略を支えてきた情報系システムだ。同社 統合シス
テム部 副主席部員 阪間勇一氏は、「拡張を重ねて熟成されたMKシステムに特に
不足はありませんでした。しかしながら、ビジネス環境が急速に変化する中、将
来の拡張を考えると、ここでコスト面を含めた見直しが必要だという判断に至り
ました」と当時を振り返る。
約700人のユーザーが日々アクセスするMKシステムが抱えていた課題として、
統合システム部 主任部員 島村和良氏は、長年の運用で継ぎ接ぎを重ねた結果、
システムの統制が困難になりつつあった点や、営業部門向けに業務単位でシステ
ムを構築してきたため、扱うデータ種の重複を招いていたこと、開発言語の陳腐
化やCUI(文字ベースのユーザー操作環境)画面の入れ替え作業工数の増大で保
守性が低下していたことを挙げる。
検討を重ね、統合システム部は「システムのシンプル化」「利用者の利便性向
上」「データ分析意識の醸成」という、新MKシステムの目標を定めた。そし
て、次期基幹業務システムのオープンホスト環境に準じる形でMKシステムも刷
新し、情報分析機能についてスクラッチ開発ではなく、BIツールを新たに導入す
るという基本方針が固まった。
「旧システムはCUIながらも、ドリルダウンやスライシングといった分析機能
を備えていました。そうした既存の機能群を継承したうえで、最新のBIツールに
備わる、モダンで柔軟性の高い機能を取り入れる。それによって目標に掲げた
データ分析意識の醸成に向かうことができると考えました」(阪間氏)
要件を高いレベルで満たすBIツールとして
MicroStrategy 9を採用
販売実績情報や市場シェア情報など、ライオンのビジネスに不可欠な情報の管
理と分析を司るBIツールの導入は新しいMKシステムの機能面のハイライトとなる
ものだ。
2010年7月、その選定に際して阪間氏らは、10数社のBI製品について機能一覧表
を作成しながら吟味。同年12月、最終的にMicroStrategyに白羽の矢が立てられ
た。選定の決め手として阪間氏は、現行バージョンのMicroStrategy 9に備わる
最新のBI機能と優れた操作性を挙げる。同氏
MKシステムの構成図
はこれらに加えて、多種多様なソースを容易
に追加できる点を高く評価する。「事業部門
のユーザーからは、POS情報に加えてWebサ
イトのログデータなど、いわゆるビッグデー
タも含めソースとなるデータ種の追加要望が
上がっていました。旧環境では追加自体が困
難でしたが、MicroStrategy 9であれば柔軟に
取り込める期待がありました」(阪間氏)
統合システム部は2011年1月よりBI機能の要
件定義に取り組み、導入および構築作業を経
て、翌2012年8月の新基幹システムの本稼働を
待つ形で、MicroStrategy 9の利用をスタートさ
せている。
BIシステムの構築は、ユーザーの利便性向上
を優先して、MicroStrategy 9に備わる機能を最
大限に活用する方向で進められた。阪間氏によ
れば、従来のメインフレームの画面ではPCの
ようなGUIを持たないうえ、条件設定が煩雑なため、慣れていないユーザーの場合、1つの帳票を出力するのにも非常に時間がかかって
いたという。
「そこで、MicroStrategy 9の導入にあたっては、だれでも容易に扱えるよう、現状のユーザーニーズとの整合を図りながら、メニュー
や入力方法の整理および標準化を行いました」と阪間氏は語る。その結果、MicroStrategy 9の導入前に169あった提供画面数は整理統
合の後に35画面まで削減され、システムのシンプル化と開発コストの削減を実現している。
BIによる可視化と気づきの継続的提供でビジネスに貢献
基幹システムのホストマイグレーションと軌を一にして、先進的なBI機能を備えた情報分析基盤として刷新されたMKシステム。統
合システム部の期待は大きく、阪間氏はとりわけ、以前のCUI環境での最大の課題だったユーザー側での操作性、利便性が改善され
た点を高く評価する。「出力や分析の準備や設定にかかる時間が大幅に短縮されたことが大きいです。必要な情報を必要なタイミン
グで得られるので、ユーザーのシステムの活用機会が増しています」(阪間氏)
統合システム部にも多大なメリットをもたらされた。例えば、MicroStrategy 9の機能を活用して、分析のための一般的な定型画面
のほかに、ユーザー自身が自由に条件を選んで必要なデータを並べられる半定型(自由分析)画面が利用可能になった。旧環境では
ユーザーから要望が上がるたびに統合システム部が都度、出力画面を構築し提供して
いたわけだが、その作業負荷が大幅に軽減された。島村氏はこう補足する。「定型画
面自体も、ユーザーが後で自由に加工することができます。大半のユーザーが導入時
の教育を受けただけで既にMicroStrategyを使いこなしており、我々はユーザー教育や
ライオン(株)
統合システム部
サポート以外の業務に時間や労力を割けるようになりました」
副主席部員
阪間勇一氏
新MKシステムの下、全社でのデータ分析意識の醸成を目指していく過程で、統合シ
ステム部がこれからなすべきことについても尋ねてみた。
島村氏は、「まずは必要なデータをすべて網羅的に集めて可視化することが優先事
項です。そこで初めて、ビジネスをどんな軸で見るか、そしてKPI(重要業績指標)を
ライオン(株)
統合システム部
どう設定するかといった段階に移れます」と述べ、より粒度の細かい販売実績情報や
主任部員
島村和良氏
在庫情報、MKシステム以外の情報分析系を統合し、MicroStrategy 9のリッチなBI機能
を活用可能にする構想を語る。
阪間氏が挙げるのは、MicroStrategy 9に備わるダッシュボードの広範な活用と、情
会 社プロフィール
報収集、分析、アクション、そして改善のPDCAサイクルの確立である。「今日では、
http://www.lion.co.jp/
本社:東京都墨田区
月次の集計で動いていては手遅れになる局面も間々あります。ダッシュボード上の可
資本金:3,520億円(連結・2013年12月期)
代表取締役社長:濱 逸夫
視化されたビジネス状況から気づきを得てアクションに移すサイクルを極力、短縮し
ていきます」と阪間氏。その際の統合システム部の注力点は可視化と気づきの継続的
な提供にほかならず、MicroStrategy 9のポテンシャルを最大化する方向で、全社での
BI活用を推進していく構えだ。
マイクロストラテジー・ジャパン株式会社
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