労使関係論1シラバス - Hiroshima University

広島大学経済学部 2015 年度前期
昼間コース(東広島キャンパス)水曜 3-4 時限
インストラクター:瀧 敦弘
office tel. 082-424-7218
e-mail [email protected]
労使関係論1シラバス
到達目的及びアウトライン…… 労使関係について、今後、社会生活で必要となる知識をつける
とともに、労使関係が実際の経済・社会において、いかに重要であるかを理解する。また、
現下に進みつつある労使関係の変容についても、関心をもつことを期待している。なお、
目的とアウトラインについて、より詳細には『経済論叢』
(広島大学経済学会)の学習指導
号を参照のこと。とくに、本年度(2015 年度)は、前年度とは変わり、「労使関係論1」
と「労使関係論2」をひとつづきのものとする。前後期をかけて、
「労使関係論」の基本的
な内容を講義する。
成績評価&コースポリシー……成績評価は期末(筆記)試験によることを基本とするが、レポート
試験に変更する場合もある----期末試験については必要最小限なことは掲示する。コースポリシー
の詳細は上記の、
『経済論叢』の学習指導号を参照のこと。Academic integrity は、大学の指針に
よる。
Schedule (tentative):「労使関係論1」+「労使関係論2」
1. 講義紹介
2. 経済学で考える労働と労使関係
3. 労使関係とは何か:集団的労使関係と個別的労働関係
4. 労働条件決定の基本的考え方
5. 経済理論における労働条件決定の考え方と労使関係
6. 労使関係の主体(1):労働者とは
7. 労使関係の主体(2):労働者の団体(おもに労働組合について)
8. 経済モデルにおける労働組合
9. 労働組合の組織と機能Ⅰ(制度的なもの)
10. 労働組合の組織と機能Ⅱ(組織率の低下問題など)
11. 労使関係の主体(3):日本の使用者・経営者
12. 政府と労使関係
13. 団体交渉と労使協議
14. 交渉の経済モデル
15. 労働紛争と労働争議
16. 労働紛争の解決
17. 労働紛争・争議の日本的特質
18. 日本的労使関係の系譜
19.第二次大戦後の労働組合運動史
20. 諸外国の労使関係*
21. 講義のまとめ
(1 項目 1 コマ(2 時限)を要するとは限らない。また、*は、時間がなければ省略する。
)
休講とその補講について
公務その他によって休講した場合、補講は、時間延長によって対応する予定(昼休みにくいこ
むことになるが、昼食などについて考慮する)。
質問などは随時受け付けますが、十分な時間が必要と思われる質問や相談は予め e-mail で
appointment をとることが望ましい。また具体的な講義内容についての広範囲にわたる質問は、
メールでは受け付けないので、できるだけオフィスアワーや、講義時間直後を利用してください。
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[The Main Reference(2015 年度版)]
教科書に相当するようなものは指定しない。大学の方針に基づき、ハンドアウトは講義時には
原則配布しない。ホームページ http://home.hiroshima-u.ac.jp/taki/ に貼り付けるので、各自が
事前にダウンロードすること(貼り付けることができない場合、入手方法をできるだけ記述する)
。
また、論文・雑誌記事等は、その都度紹介する。
[Suggested Readings]
基本的な労使関係の教科書
白井泰四郎(1996)『労使関係論』日本労働研究機構。
労働法に関する文献は多数あるが、講義の参考として、代表的なものをあげておく。
菅野和夫(2012)『労働法』第 10 版、法律学講座双書、弘文堂。
西谷敏(2012)『労働組合法』第 3 版、有斐閣。
三井正信(2012)『基本労働法Ⅰ』成文堂。
三井正信(2014)『基本労働法Ⅲ』成文堂。
労働法に関する、次の判例集は、教材として使用する頁がある。
村中孝史・荒木尚志編(2009)『労働判例百選』第 8 版、別冊ジュリスト、No.197。
基本的な人事労務管理のテキスト
佐藤・藤村・八代(2007)『新しい人事労務管理』第 3 版、有斐閣。とくに、第 10 章が該当する。
労働だけでなく、企業組織の経済学的な側面として優れたテキスト
ミルグロム・ロバーツ著(1997)『組織の経済学』NTT 出版
労働の分野で優れたテキストとして
小池和男(2005) 『仕事の経済学』第 3 版、東洋経済新報社。
大森義明(2008)『労働経済学』日本評論社。
久本憲夫(2010)『日本の社会政策』ナカニシヤ出版。
Borjas,George(2010), Labor Economics, 5th ed., McGraw-Hill. ← とくに、Chapter 10
労使関係や雇用システムについて考える材料として
濱口桂一郎(2009)『新しい労働社会----雇用システムの再構築へ』岩波新書 1194。
大内伸哉・川口大司(2012)『法と経済で読みとく雇用の世界』有斐閣
山崎憲(2014)『
「働くこと」を問い直す』岩波新書 1516。
フランスについて書かれたものだが、むすびの「では、日本では?」は読む価値がある
水町勇一郎(2001)『労働社会の変容と再生』有斐閣。
以下は分野別にいくつかあげるが、それぞれは、テキストではなくかなり専門的な書物である。
1)英文テキスト
Booth, A. L. (1995), The Economics of the Trade Union, Cambridge University Press.
Marrden, D. (1999), A Theory of Employment Systems, Oxford University Press.
Tachibanaki, T. and T. Noda(2000), The Economic Effects of Trade Unions in Japan,
Macmillan Press.
2)職場の状況まで踏み込んだ調査および日本における実状
小池和男(1977) 『職場の労働組合と参加』東洋経済新報社
ドーア(1987)『イギリスの工業・日本の工場』筑摩書房(文庫本あり)。
Katz, H. C. and O. Darshire (2000), Converging Divergences: Worldwide Changes in
Employment Systems, Cornell Studies in Industrial and Labor Relations No.32, Cornell
University Press (第6章で日本についてふれている).
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3)人材形成について
小池和男(1997) 『日本企業の人材形成』中公新書。
4)人事労務管理について*
橘木俊詔(1992)『査定・昇進・賃金決定』有斐閣
澤野雅彦(2001)『現代日本企業の人事戦略』千倉書房
5)労働組合に関して
中村・佐藤・神谷(1988)『労働組合は本当に役に立っているのか』総合労働研究所。
フリーマン・メドフ(1987) 『労働組合の活路』日本生産性本部(島田・岸訳)。
(原著 Freeman, R. B. and J. L. Medoff(1984), What Do Unions Do? Basic Books.)
橘木俊詔編著(1993) 『労働組合の経済学』東洋経済新報社。
久本憲夫(1998)『企業内労使関係と人材形成』有斐閣。
小池和男(2009)『日本産業社会の「神話」
』日本経済新聞出版社。
小池和男(2012)『高品質日本の起源:発言する職場はこうして生まれた』日本経済新聞出版社。
6)公務員の労使関係について
西村美香(1999)『日本の公務員給与政策』東京大学出版会。
前田健太郎(2014)『市民を雇わない国家:日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版
会。
7)労働委員会について
直井春夫・ 成川美恵子(1998)『労委制度ノート----新しい紛争解決システムの模索』総合労働研
究所。
道幸哲也(2014)『労働委員会の役割と不当労働行為法理----組合活動を支える仕組みと法』日本評
論社。
8)労働運動史について
兵藤 釗(1997)『労働の戦後史』上下 東京大学出版会。
久米郁男(1998)『日本型労使関係の成功』 有斐閣。
法政大学大原社会問題研究所編(1999)『日本の労働組合100年』旬報社。
労働省編 『資料労働運動史』各年版。
瀧 敦弘(2007)「労働争議と労使関係」橘木俊詔編『日本経済の実証分析』第10章所収、東洋
経済新報社。
二村一夫(2008)『労働は神聖なり、結合は勢力なり----高野房太郎とその時代』岩波書店。
ゴードン(2012)『日本労使関係史 1853-2010』二村一夫訳、岩波書店。(Andrew Gordon, The
Evolution of Labor Relations in Japan: Heavy Industry, 1853-1955, Harvard University
Council on East Asian Studies Monographs, 1985)
9)白書など
『厚生労働白書』
(
『労働白書』
)
『労働経済白書』
『労働運動白書』各年版
他にリクルートなどの企業や「連合」などが独自に白書という名称で出版物を出している。
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