加藤真愛さん

私の家は 4 人家族。主人と 4 歳の娘と 2 歳の息子がおります。
それぞれに忙しい毎日を送っているのですが、それを元気にこなしている理由の一つには、朝食は必
ず同じ時間に、野菜もしっかり食べてから出かけていることにあると思います。
子供達には野菜の好き嫌いがありませんが、はじめからなかったわけではありません。初めはなかな
か食べ進まないものもありましたし、食べず嫌いなものもありました。でも、その野菜や食べ物にはそ
れぞれのストーリーがあることを子供達には教えました。毎週日曜日に我が家は畑にでかけ、地域で野
菜を育てています。自分で収穫した野菜がどんな味がするのか、子供たちはいつも興味津々です。そし
て一つの野菜が様々なお料理になることも嬉しくて、よく手伝いたがります。
そしてそのお野菜が自分の身体で、色々な働きをしてくれることも知っています。お腹をお掃除して
ウンチをだしてくれることも、風邪をひいたときにばい菌と戦う力になってくれることも、幼稚園・保
育園で午前中眠くならずに元気に遊べる力になってくれることも教えました。子どもたちは新しいお野
菜をみると、食べたくないという前に「このお野菜は体の中で何をしてくれるの?」と聞きます。自分
を助けてくれるものだとわかると、一生懸命口の中に運びます。困ったときに自分を守ってくれる親の
愛と同じように口に運んでくれます。新鮮なお野菜は娘にいつもビニールの中でお漬物にしてもらいま
す。
お野菜は自分の小さな手でも簡単なお料理ができるというのも、身近になるきっかけとなりました。
子どもの脳は 8 歳までに獣から人間になっていくと言います。この期間 1 日 3 回食卓の時間は、何
百何千時間にもなります。食卓でのお行事や姿勢は社会でのマナーの基礎にもつながります。様々な味
を覚え、正しい姿勢で楽しく皆で食べる時間は、そのこの発達にも健康にも多くの影響があると感じま
す。この習慣が将来にわたり子供たちの身体と心の健康を育てていく、母の仕事の中でも最も大事な仕
事の一つだと思っています。
家族のその日の調子や子供の発達具合をみて、母は作る味付けをかえ、切り方をかえ、盛り付ける量
をかえ一人一人違うものをだします。そしてそのお膳を皆で準備し、囲い「いただきます」をいいます。
この時子どもと家族は、お料理そのものだけでなく、そうした家族同士の思いやりの気持ちと感謝の気
持ちも共に口に運びます。その味は、そのこの心の健康も将来にわたって作っていくものだと信じてい
ます。食べて得る自分の心身ともに健康で小さな力をまた周りの役にたてたいと思うようになる頃、そ
こにはまた新たな食卓が生まれているかもしれません。その時、自身が健康に育ってきた食卓をまた思
い出し、その食卓とそこを囲ったすべての人は、いつでも自分の力となり、受け継がれていることを感
じて欲しいと願っています。