ぞう組(5歳児) 5歳児は、みんなで一緒に遊び活動に取り組む楽しさが分かり、創り上げていく喜びを 感じることができる。自分の様々な思いを聞いてもらい、分かってもらえる仲間を支えに 安心して主体的に取り組んでいくことができる。またみんなとやり遂げる事への心地良さ を感じながら、その様々な体験こそが、就学に向けての土台作りになっている。 < 仲間の中で自分を高めていく > 【 自分の思いを様々な方法で楽しく表現してみよう 】 “声を出す気持ち良さ、聞いてもらえる心地良さを感じて欲しい”という思いから、朝の 会で声を出す機会を作っていった。みんなで声を合わせて歌うのが楽しくなってくると歌 がぐんと身近になり、散歩中大合唱になったり、歌を聞かせてあげたいと他のクラスに出 向いて歌いに行く姿も見られる様になった。また「みんなに話したいことがある。」とい った子が「昨日ね。リュックの用意を自分でしたの。 」と伝えたことがきっかけとなり次々 とこども達からの発信が多くなった。 ちびっこ先生の取り組みでは、小さい子に優しくしてあげられた喜びや、頼られること への嬉しさを感じて、“自分にもできた”という自信をより確かな力としていた。運動会 に向けての話し合いの時、「小さい子が泣かないように世界一楽しい運動会にしたらいい よ」という言葉も出てきて、ぞう組が大好きで小さい子達にも広がっていた♪虹のむこう に♪の踊りを子どもたちと作った。実際に子どもたちの体を動かしながら小さい子の立場 になって考える姿が見られ、“ぼくたちがリードしていくんだ”と自分の役割が明確にな り、行事にも意欲的に取り組めた。 また、友達のいいところや自分のいいところにもたくさん気づいて欲しいという思いか ら取り組んでいた「いいとこ探し」。その中で「○○ができてかっこいい」という声だけ でなく、「小さい子に優しくあそんであげていた」「自分が困っていたら助けてくれて嬉し かった」等と友達の姿に気付いたり、仲間であることが嬉しいというメッセージをたくさ ん語ってくれた。 お泊りに向けての話し合いでは、一つ一つ納得のいくまで話し合いを続けた。一人一人 が発言しやすい環境づくりを心掛けていった。ある時、ずっと黙り込んでいた子が突然泣 き出し、「おとまりイヤダ」と言葉にする。すると「わたしもおなじ」「こわい」と次々に 思いがあふれ出す。それを聞いて「大丈夫だよ。みんないるよ!」「隣で寝てあげるから 寂しくないよ」と友達を励ます言葉もたくさん出てきた。自分の心の中にあった不安をみ んなに聞いてもらえた事で安心できたり、“仲間がいる”事に気付くきっかけとなった。 そして“一晩泊まれた”という達成感が自信へとつながり、“この仲間とならできる”と いう思いが今後の活動への大きな基盤となった。 【 仲間ととことん遊ぶ 】 “みんなと遊ぶって面白い”4歳から遊び続けてきた“あみほっぽった“で、そんな思 いが膨らんだ子どもたち。警泥ゲーム(警察と泥棒ゲーム)では、宝をとるだけでなく、 つかまった仲間を助けなくてはならない。遊んでいくなかで「けいさつは3人の方がいい よ」「仲間を助けるまで続けようよ」「宝にくっついて守るのは、なしね」等と自分たちが より遊びを楽しめるルールをみんなで話し合い、つくりだしていった。 捕まることを恐れずに、仲間を助けてあげたい一心で飛びこんでいく姿もみられ、「あ りがとう」と友達に声をかけたり、今度は助けてもらった子が助けにいったりと遊びの中 でも仲間意識が高まり、大人が見守っているだけで仲間同士でとことん遊びを続けること が出来るようになっていった。 《 作り出す喜びを 》 きりん組の時にもらった折り紙カルタをきっかけに、折ることが大好きになった子ども たちに自分の手を使って作り出す事の喜びを感じて欲しいという願いから、毎月折り紙を 折って一年のカレンダーにしようという取り組みをしていった。月初めにカレンダーに貼 り出しておくと「今度はこれをつくるの?早く作りたいな」と楽しみにする姿があった。 ひとつ工程をおると「次はどうやって折るの?」と保育士の姿を真剣に見つめたり、一つ 一つ「できたね」と確認しながら、完成すると「できた!」と達成感が味わえた。折り方 を覚え、友だちと教えあったり、小さい子に折ってあげたり。手先を器用に巧みに動かせ るようになってきた。出来上がったものをすぐに展示し、友達やお母さん達と見合うのも また楽しいものとなった。 大森先生との出会いで、木工や粘土の楽しさを教えて頂き、のこぎり、釘打ちに時間を 忘れてとことん熱中する体験や粘土を使って顔の立体をとらえながら作り上げた時の達成 感や満足感を味わった。自分の手を使うことが楽しく、喜びになっていくことを感じた。 生活の主人公になり、仲間と共に体験をしてきたこども達。描く絵には、仲間がたくさ ん出てきて、言葉と共に生き生きと感動を語る場面がたくさんあった。自分たちで育てた 野菜の観察画では実った喜びと手で触った感触、発見を表現していた。また、様々な道具 (クレヨン、絵の具、ダブルマーカー、サインペン、鉛筆)を使うことで表現が豊かにな ってきた。“自分も仲間も大好き”“自分だけで何でも出来るよ!”と色々な体験を信頼で きる仲間と共に持っている力を存分に発揮しながら、みんなで力を寄せ合って協力して作 り上げていく楽しさを味わえたように思う。
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