平成22年度津島市の財政状況(PDF:157KB)

津島市の
津島市の財政状況について
財政状況について
平成22年度普通会計※決算を基に、津島市の財政状況についてご説明させていただきます。
(※普通会計とは、地方公共団体ごとに異なる会計範囲を調整し、全国統一の基準で統計を行う際に用いら
れる決算統計上の会計で、公営事業会計以外の会計をいい、津島市では、一般会計(訪問看護事業を除
く。)及び特別会計のうち住宅新築資金等貸付事業特別会計、コミュニティプラント事業特別会計を合わ
せたものです。)
1 決算規模
平成22年度の歳入総額は約207億円、歳出総額は約197億円となっています。
歳入・歳出ともおおよそ180億円程度の決算規模で推移していましたが、平成21年度は定額給付金給
付事業の実施、平成22年度は子ども手当創設による扶助費の増及び緊急雇用創出事業基金事業の実施
により例年に比べて決算規模が大きくなっています。
歳入・歳出規模の推移
(億円)
210
207
202
200
197
193
188
190
184
184
183
181
180
178
歳入決算額
歳出決算額
179
177
175
174
170
160
150
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(年度)
2 歳入構造
まず、歳入の状況を見てみます。
平成22年度の歳入総額である約207億円のうち、市が自主的に収入することができる財源(自主財源
といいます。)は、約109億円(52.6%)となっています。
?自主財源?
市の歳入は、市税、住民票の交付手数料、保育園の保護者負担金など、市が自ら調達することので
きる「自主財源」と、国庫支出金、地方交付税、県支出金のように、国等に依存している「依存財
源」の2つに分類されます。
歳入総額に占める「自主財源」の割合のことを「自主財源比率」といいますが、この割合が大きけ
れば大きいほど、自前の財源で自主的な財政運営ができることを示しています。
津島市の「自主財源比率」は52.6%となっていますが、これは愛知県内36市(政令指定都市の名古
屋市除く)中3番目に低い数値(県下最低ライン)です。
これは、「自主財源」の根幹である市税歳入、特に津島市ではかつての基幹産業である毛織物の繊
維産業が衰退後、産業構造の転換が図れず、また主だった産業も無いこともあり、特に法人市民税の
少なさからくる影響が大きく、歳入総額に占める市税の割合41.4%(県内36市中32位)、市民一人当
たりの市税収入額約131千円(県内36市中32位)等、共に低い数値となって表れています。
また、平成22年度の「財政力指数」は0.77となっていますが、これは県内36市の中で3番目に低い
数値(県下最低ライン)です。
?財政力指数?
一つの自治体が標準的な行政サービスを提供するために、自治体が標準的に収入し得る財源の割合
を示したもので、地方公共団体の財政力を示す指数です。
この指数が1未満の自治体に対して地方交付税が交付され、小さければ小さいほど財政基盤が弱いと
いえます。
以上のことからも、津島市の財政基盤は、「自主財源比率」が低く、地方交付税等の「依存財源」
に大きく依存した財政体質であるといえます。
歳入の構造(平成22年度普通会計決算額)
依存財源
98億円
47.4%
自主財源
109億円
52.6%
その他, 2億円, 1.0%
地方譲与税, 2億円, 1.0%
県税交付金, 8億円, 3.9%
市債, 15億円, 7.2%
県支出金, 17億円, 8.2%
国庫支出金, 25億円, 12.1%
市税, 86億円, 41.5%
地方交付税, 29億円, 14.0%
繰越金, 8億円, 3.9%
財産収入, 0億円, 0.0%
繰入金, 1億円, 0.5%
使用料及び手数料, 3億円,
1.4%
諸収入, 8億円, 3.9%
分担金及び負担金, 3億円,
1.4%
3 歳出構造 ~硬直度の高い財政体質~
次に、歳出の状況を見てみます。
平成22年度の歳出総額は約197億円ですが、そのうち人件費及び扶助費がともに39億円(19.8%)と
高くなっており、公債費約23億円とあわせた「義務的経費」の合計は、約101億円(51.2%)となって
います。
?義務的経費?
地方自治体の経費のうち、法律で支払いが義務付けられているなど、収入が減っても簡単には減ら
すことが出来ない経費のことを「義務的経費」といいます。市職員の給与などの人件費、生活困窮者、
児童、老人、障がい者などを支援するために使われる扶助費、借金の返済に使われる公債費がこれに
あたります。
歳出総額に占める「義務的経費」の割合を「義務的経費比率」といい、割合が小さいほど財政の弾
力性(自由度)があり、比率が高くなると財政の硬直度は高まるとされています。
津島市の「義務的経費比率」は51.2%となっていますが、これは県内36市中6番目に高い数値であ
り、硬直度の高い財政体質であるといえます。
歳出の構造(平成22年度普通会計決算額)
その他, 4億円, 2.0%
貸付金, 5億円, 2.6%
普通建設事業費, 11
億円, 5.6%
繰出金, 17億円,
8.6%
補助費等, 27億円,
13.7%
物件費, 32億円,
16.3%
義務的経費
101億円
51.2%
人件費, 39億円,
19.8%
扶助費, 39億円,
19.8%
公債費, 23億円,
11.6%
人件費
議員の報酬、職員の給与などの経費です。
扶助費
生活困窮者、児童、高齢者、心身障がい者等の生活を維持するために、法令に基づいて支出する経費
で、市が独自で行う各種扶助のための経費も含まれます。
公債費
市債(借金)の元金・利子や一時借入金の利子を支払うための経費です。
補助費等
市から他の地方公共団体(県、市町村、一部事務組合など)や民間に対して、行政上の目的により交付
される現金的給付に係る経費です。
主なものとして、講師謝金などの報償費、保険料などの役務費、負担金・補助金及び交付金(一般的な
補助金)などが該当します。
物件費
市の経費のうち、消費的性質をもつ経費です。
賃金、旅費、交際費、印刷費、通信料、委託料などがこれにあたります。
普通建設事業費
道路、橋、学校、庁舎など、公共施設・公用施設の新増設の建設事業や大規模な修繕に必要とされる、
投資的な経費です。
繰出金
一般会計、特別会計および基金の間で、相互に資金運用をするものです。
その会計から他の会計に資金を移す場合を「繰出」、他の会計からその会計に資金が移される場合を
「繰入」といいます。
貸付金
地域住民の福祉増進や地域の振興を図るため、市が、直接あるいは間接に、現金の貸付を行うための
経費です。
4 津島市財政の余裕度
では、津島市財政の余裕度は、いったいどのくらいなのでしょうか。
自治体の財政的な余裕度を示す指標の一つとして、「経常収支比率」があります。
?経常収支比率?
地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年経常的に収入される財源のうち、人件
費、扶助費、公債費のように毎年経常的に支出される経費に充てられたものの占める割合を「経常収
支比率」といい、この比率が高いほど、新たな行政サービスに対応できる余裕がなくなることを表し
ます。
財政構造の弾力性を判断するための指標となりますが、市では80%程度が適正水準であり、85%を
超えると要注意であると考えられています。
経常収支比率の推移
(%)
95.0
89.8
90.0
85.9
85.0
86.3
89.0
88.2
88.3
85.5
86.4
86.8
経常収支比率(津島市)
県内市平均(名古屋市除く。)
83.0
80.0
79.6
77.0
80.2
78.2
77.1
78.2
75.0
70.0
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(年度)
津島市の平成22年度の「経常収支比率」は、88.3%となっています。平成22年度の県内36市平均の経
常収支比率が86.8%となっていますが、津島市は1.5%上回っている(余裕が無い)状況にあることが、
この「経常収支比率」から見て取れます。
これは、歳入面においては「自主財源」である市税収入が少ないことによるもので、また歳出面に
おいては公債費や人件費は減少傾向にあるものの、扶助費が年々増加しており、津島市の歳出の特徴
である高い義務的経費比率が示すとおり、「義務的経費」全体として高い水準で推移していることに
よります。
さらに津島市においては、平成16年度以降、常に85%を越える状況にあり、今後もいわゆる団塊の
世代の退職者が集中し、退職金(人件費)が大幅に増加すること等が予測されることから、予断を許
さない状況です。
5 地方債、積立金(財政調整基金)の状況
このような厳しい財政状況の中、地方債残高(市の借金)と積立金残高(貯金)の状況をみてみま
す。
(1) 地方債残高
平成22年度末現在の地方債残高は、約160億円となっています。
平成15年度以降減少しており、市民一人当たりの地方債残高は約244千円と県内36市中14番目とな
っており、県内36市の平均残高(約240千円)を多少上回る状況にあります。
地方債現在高の推移
(億円)
250
201
200
196
188
181
177
168
165
160
H20
H21
H22
150
100
50
0
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
(2) 積立金(財政調整基金)残高
市の財政の積み立て(貯金)である財政調整基金については、平成22年度末現在の残高が、約15
億8千万円となっています。
厳しい財政状況の中、平成15年度以降は12億円から14億円程の間で推移していましたが、平成22
年度には、約3億3千万円の積立を行うことができました。
積立金(財政調整基金)残高の推移
(億円)
18.0
15.8
16.0
14.0
14.0
14.3
13.4
13.6
12.4
11.7
12.0
12.5
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(年度)