伊差川浩之さんの「リフターズコラム 第7回」

[JPA リフターズコラム-7 回:2015 年 2 月]
母への感謝とフルーツサラダ
年が明けてあっという間に 1 月が過ぎていきました。昨年は大晦日も仕事して新年
は元旦からトレーニング、2 日からは ONE ON ONE のレッスン開始で、お正月気分は
あっという間に吹っ飛びました。というか、吹っ飛ばしたのかも知れません。
昨年 11 月 29 日、大阪での全日本ベンチプレス選手権の日に、最愛の母が 93 歳で
旅立ちました。ちょうど私の試技が始まる時刻でした。大阪に出かける数日前に母の
大好きなフルーツサラダを作って病室を見舞い、大阪へ出かけることを伝えツーショッ
トを撮ったのが最後で、命の最後を看とることができませんでした。主治医からは年
越しは難しいと言われていましたので、県外遠征の時は常に覚悟はしていましたが、
それが現実のものとなり、やはり残念で寂しいです。
私の母榮子は、強く元気な人でした。若い頃母は助産師で、私が小学校時代、同学
年に母が取り上げた子が 7〜8 人はいました。極めつけは、私と同じ日に生まれたク
ラスメイトがいて、母は午前中に彼を取りあげ、午後に私のお産をしたそうです。私は
逆子だったようで、自分のお産は大変だったようです。1953 年 7 月のことでした。
写真:上段 1983 年ワイキキビーチ 母 62 歳、私 30 歳。
下段左 1954 年 母 33 歳、私 1 歳。中、右 母 91 歳
掲載の組み写真をざっと説明しますと、上段:1983 年 7 月、ロサンゼルへ向かう途
中立ち寄ったハワイのワイキキビーチでのツーショット。母が 62 歳で私が 30 歳。下段
左:実家の玄関前で母 33 歳、私 1 歳。下段中:母 91 歳。時々は筋トレも行って強化し
ました。下段右母 91 歳。服とネックレスのマッチングがオシャレでした。
1979 年 2 月、母は琉球大学医学部創設前に解剖学実習のために設立された“献体
団体でいご会“の篤志家 13 名の一人として加わり、以来副会長として沖縄の医療の
発展を末端で支え続けてきました。
母の体は、翌朝献体として琉球大学医学部へ搬送されたため、会うことが叶わないま
ま永久の別れになりましたが、悔いはありません。また、そんな母を大変誇りに思い
ます。
母は、私の競技をいつも応援してくれました。私が、パワーリフティングで頂点を極
めることができたのは、この母の応援と、強い DNA を継承できたからです。
私も 60 歳を過ぎて、そろそろ自分の“将来“の身の振り方を考えていかないといけな
い時期になりました。今、私も母の志を継承していこうかと考え始めています。老いて
も鍛え続けた己の肉体が、解剖学の発展に少しでも寄与できるのであれば、生涯パ
ワーリフターとしての価値が生かされるかも知れません。
これまで、私は 2 度パワーリフティングを通してデータ収集に協力したことがあります。
具体的にどのようなデータ収集だったのかは既に忘れてしまいましたが、一度目は故
松尾昌文先生の依頼で、1983 年の全日本男子パワーが駒場の東大トレーニング室
で行われた際でした。二度目は 1999 年の全日本マスターズパワーが岡山大学体育
館で行われた際、三浦孝仁先生の依頼でした。過去二回のデータ収集にどれだけ貢
献できたか定かではありませんが、三度目の機会がもし献体となるなら、しっかり貢
献できる身体でいられるよう、日々トレーニングに励みたいと思います。
ここで、私が大好きで母も大好きだったフルーツサラダをご紹介したいと思います。
私が初めてこのフルーツサラダを口にしたのが、東京の麻布台にあったクラークハッ
チフィッチネスセンターのカジュアルレストラン“カロリーカウンター“でした。かれこれ
40 年近く前です。
カロリーカウンターというネーミングと、バラエティーに富んだヘルシーフードメニュー
の数々は、40年後の今でも十分にヒットするもので、あの当時はかなり斬新なアイデ
ィアのレストランでした。トレーニングを終えてエネルギーが枯渇した状態でレストラン
へ寄って、口にしたフルーツサラダの味が何とも言えませんでした。フルーツの糖分と
酸味の利いたドレッシングがマッチして、ハードトレーニング直後の憔悴し切った身体
と空腹感を満たすには、十分過ぎる至福の一品でした。以来 40 年近く自分なりのアレ
ンジを加え、特にアメリカから沖縄へ戻ってからは、秋から春のイチゴが店頭に並ぶ
季節に日課として作っています。
以下、レジェンド流にアレンジしたフルーツサラダ簡単レシピです。
フルーツ:バナナ 3 本、イチゴ 10 個、キウイ 1 個、リンゴ 1/2 個、グレープ
フルーツ 1/2 個、クルミ、ドライレーズン
ドレッシング:ヨーグルト約 150g+プロティンパウダー約 75g+カテージチーズ約 100g+レ
モン果汁約 50cc
写真:レジェンドスペシャルフルーツサラダ
フルーツのポイントはバナナの塾度で、完熟バナナは直ぐに変色し水っぽくなります
ので要注意です。イチゴとキウイは、彩りのポイントになります。りんごとくるみは、他
のフルーツと異なりサクサクの立体的食感が食欲を増進させます。特にくるみは、数
あるナッツ類の中でも栄養価が豊富です。抗酸化値が高く、ポリフェノール値は赤ワ
インよりも多いそうです。良質のオメガ 3 脂肪酸、食物繊維,ビタミンやミネラルなどを
豊富に含み、必須アイテムです。グレープフルーツは、酸味を隠し味として効かし全
体の味を引き締めます。量が多すぎると全体が水っぽくなりますので、適量が肝心で
す。
ドレッシングのポイントは、それぞれのアイテムのバランス配分です。日によっては、
ヨーグルトとプロテインの配分を変えたり、カテージチーズの量を増やしたりして変化
をつける事も良いと思います。プロテインは、プレーンやバニラ系が、味もシンプルで
きれいな彩りになります。
この位の量を毎回作り置きして、忙しい時の食事代わりや間食として補給しています。
因に今回の量で約 2 日分です。作り置きは鮮度に限りがあり 2 日が限度です。是非
一度お試しください!
写真:月刊ボディビルディング4月号より
さて、昨年三回に渡り、月刊ボディビルディング誌に、今年から連載するパワーリフ
ティングトレーニングの内容予告をさせて頂きましたが、いよいよ今月 25 日発売の 4
月号から長期連載をスタートいたします。私が、40 数年に渡って取り組んできた
BIG-3 トレーニングのすべてをじっくり書き尽くしたいと考えています。
ビギナーの方からベテランの方、若い方から高齢の方、女性にも男性にも必ずトレー
ニングのヒントが得られるはずです。是非皆様ご一読いただけましたら嬉しいです。
伊差川 浩之
Legend of Powerlifting