OSAKA CITY UNIVERSITY (OCU), GRADUATE SCHOOL OF ENGINEERING 臭気物質を吸着させるミクロ孔セラミックス材料の創製と活用 横川善之 大阪市立大学大学院工学研究科機械物理系専攻 研究背景 1.口臭と揮発性硫黄化合物 口臭 生理的口臭 病的口臭 2.揮発性硫黄化合物 飲食、喫煙 等 口腔外 鼻炎、胃潰瘍 等 口腔内 歯周病、虫歯 脱落上皮細胞、食べかす 舌苔 アンモニア、低級脂肪酸、アミン類、 揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds) 対人関係での忌避感が高い 口臭の指標 閾値が低い 軽度~中度 軽度 中度 250ppb 250 b 社会的許容 75ppb 15 %~35 % システイン(含硫アミノ酸) 硫化水素(H2S) 歯周病原 性細菌 原因物質 歯茎からの出血 脱アミノ反応 メチオニン メチルメルカプタン(CH3SH) ジメチルスルフ ド((CH3)2S) ジメチルスルフィド((CH 口腔内脱落上皮細 胞、連鎖球菌、ブドウ 球菌 白血球など 球菌、白血球など 口中の出血とVSC濃度は相関性が高い 歯周病との相関 口臭に悩む患者には、歯周病の進行した場合が多い 3.口臭の予防 オーラルケア 修復材 ② ③ 日本歯磨工業会(2007) 歯摩剤、歯ブラシ(875億円) VSCの60%は舌苔由来 舌ブラシ、舌ベラ 健康食品 洗口剤、機能性ガム(1000億円)、スプレー ① 殺菌、消臭効果 塩化セチルピリジニウム,ClO 塩化セチルピリジニウム ClO2製剤、 製剤 ハーブ系,発熱性ゼオライト、Zn含有ハイドロタルサイト(制酸剤) 口腔内VSC濃度が高くなると 歯肉上皮 ① 上皮粘膜の透過性↑ VSCs,(PG)E2等 歯肉炎 歯周ポケット 歯垢 歯周病 歯槽骨 ② 修復材 Pd合金の黒化 問題点 口腔内粘膜で菌脱落しても、 歯周ポケット内は、薬剤で死滅しても脱落しにくい 歯周組織の模式図 歯周ポケットが改善されなければ、効果は一時的 VSC除去が必要 ③ 唾液と虫歯菌の侵入 歯髄炎 二次カリエス 歯科診療所への通院患者の60%以上は虫歯の再発 材料 4.ミクロ孔セラミックス HT-0.25 化学的に安定→セラミックス 吸着→ミクロ孔 白色 測定条件 Intensity 口中で使用 VSCは低分子 審美上 測定範囲 5~80°(CoKα) サンプリング幅 0.02º スキャンスピード 2.0º/min 管電圧40kV,管電流20mA HT-0.33 ハイドロタルサイト PDF#22-0700 ( 2 0 26) ( 2 2 3) ( 1 1 18) ( 0 2 10) ( 0 0 18) ( 0 0 12) ( 0 0 6) 層状複水酸化物、Mg2+1-xAl3+x(OH)2An-x/n・nH2O 金属原子とOHによる層状構造 、層間に水分子と陰イオン 回折パターンはPDF にほぼ一致する. Layered structure 0 Mg2 + or Al3 0 10 20 20 30 40 40 50 60 70 60 80 80 + CO32- 203 ºC 414 ºC 100 TG (%) ハイドロタルサイトの結晶構造 60 TG-DTA HT-0.25 20 0 層状複水酸化物 組成式 Mg22+1-xAl33+x(OH)2Ann-x/n・mH2O 層間に極性分子を取り込むことが可能 陰イオン交換能を有する 加熱により層間分子が脱離,,水和で構造が再生 合成 Mg(NO3)2・6H2O Al(NO3)3・9H2O NaOH水溶液滴下 pH10 混合 70ºC, 12h 攪拌・熟成 ろ別・洗浄 乾燥・解砕 Na2CO3 0 0.25:HT-0.25 0.33:HT-0.33 xが大きい方が炭酸根が多い 原料比(mol) HT-0.25 HT-0.33 -10 203 ℃ ・・・ 層間水 414 ℃ ・・・ 構造水 炭酸イオン -20 -30 100 200 300 400 500 600 700 800 Temp(℃) 層間水の脱離 x= 10 0 40 吸熱ピーク 20 10℃/min 80 DTA (uV) OHH2O 構造水,炭酸イオンの脱離 処理条件 203℃,30分 500℃,2h 熱処理試料 HT-heated1 HT-heated2 Mg2+1-xAl3+x(OH)2An-x/n・mH2O ・・・ x= 0.25:HT-0.25 0.33:HT-0.33 組成分析(キレート滴定) 試料 0.01g/約1N 0 01g/約1N HCl 溶解 +NH4F 0.057g/NaOH,NH4 pH10 BT指示薬(赤色)/0.01M EDTA標準液(消失) Mg(NO3)2・6H2O 0.021 0.02 0.01M EDTA 1ml=0.2431mg Mg Al(NO3)3・9H2O 0.007 0.01 試料 0.05g/約1N HCl 溶解 +NH3 pH3 +0.01M EDTA標準液 沸騰,rt CH3CO2NH4 pH5.4 XO指示薬/0.01M亜鉛標準液 0.01M Zn 標準液1ml=0.2698mg Al 実験値(x) HT-0.25 0.25 HT-0.33 0.30 吸着・脱離 (気相中) 吸着実験 吸着 (液相中) 試料導入 H2S注入 1.容器内を脱気,窒素ガスでパージ シリンジ 2.硫化水素ガスをシリンジで注 入, 濃度:30±2ppm 3.試料導入 試料 排気 2.H2S溶液をMilliQ水で希釈, 所定濃度に調整 シャーレ 4.2h,4h,8h,24h後の濃度測定 北川式硫化水素ガス検知管 H2Sガス 1.MilliQ水にH2Sガス導入, H2S溶液作製 希釈 3.HT-0.25,HT-0.33,HT-heated2 0.2 gを容器に導入 ヘッドスペース 4.試料採取(ヘッドスペース:30mL, 溶液:2mL)1h,2h,3h,4h,6h,18h FPD-GC(島津GC-14B)により測定 (島津 ) より測定 H2S溶液 使用装置 : ガスクロマトグラフ質量分析装置(GCMS QP-5000) 熱分解装置 (PYR-4A) 加熱温度 : 500 ℃ 試料 : 吸着処理を施したHT-0.25 2.0 mg (処理時間2,4,8,24h) 試料採取 液相での硫化物の変化(mol) GCMSにより定量 4 3 HT-0.25 吸着量300 l/g l/ 5 10 15 時間(h) 20 25 20 1 脱離量 9 l/g 16 12 8 4 0 0 2 4 8 24 吸着処理時間(h) 吸着量・・・ 300 l/g (0.1 g,容量5.0 l,30 ppmで20%減少) 脱離量・・・ 硫化物量 量(mmol) HT-heated1 80 60 40 20 0 0 HT-0.25 3 2 H2S溶液 1 H2S溶液 ヘッドスペース 0 4 HT-heated2 3 2 1 9 l/g (2 mg,18nl脱離) ヘッド スペース ヘッドスペース 0 4 0 ヘッドスペース 0 6 H2S溶液 時間(h) 12 18 液相での硫化物の変化(%) ヘッドスペース+溶液 金銀パラジウム合金の変色 供試材料 金銀パラジウム合金 1.0×1.5 cm,トクリキキンパラエース12S 700℃熱処理,研磨後,艶出し,蒸留水で3分間2回洗浄 偏性嫌気性菌 BHI培地,48時間培養 Streptococcus mutans (Sm) Porphyromonas gingivalis ATCC 33277 (Pg) Prevotella intermedia ATCC 25611 (Pi) Fusobacterium nucleatum ATCC 25586 (Fn) 120 硫化物量(%) 濃度(%) 硫化水 水素脱離量(nl) 試料なし 100 試料なし H2S溶液 2 試料なし HT-0.33 HT-0.25 100 80 60 40 20 0 90%減少 HT-heated2 0 5 10 15 20 時間(h) 2mL菌液,,37℃,7日間 4回+金銀パラジウム合金+試料あり,なし 2mL菌液,,37℃,7日間×4回+金銀パラジウム合金+試料あり,なし 試料導入後の硫化物の増加とその後の低下 色彩計(高速分光光度計CMS-35FS) L*,a*,b*表色系で数値化,色差ΔE*ab 培養前後の色差 二元配置分散分析(ANOVA,p<0.05) シーズ なし あり ミクロ孔セラミックス 歯周病菌培養 硫化物濃度評価 色差 15 10 適用が想定される具体的産業分野 1)歯摩剤、2)口臭治療用素材、3)悪臭除去剤、4)工業用 水浄化剤 など 5 その他の周辺技術 0 Sm Pg Pi Fn 朝日大学歯学部 堀田先生、土井先生、藤井先生 提供 【連絡先】大阪市立大学 1)セラミックス合成技術(メソ孔、ナノ孔、微粒子形態制御、 薄膜)、2)酵素、微生物担体、3)バイオセラミックス、4)環 境セラミックス、5)セラミックスセンサ 産学連携推進本部・新産業創生研究センター TEL: 06-6605-3469 FAX:06-6605-2058
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