認知症に対する 表情筋トレーニングの効果

認知症に対する
表情筋トレーニングの効果
サンビュー宮城
○藤井亜由美 二瓶ほなみ
はじめに
高齢者における認知症の割合が年齢とともに
増加することは周知の事実である。
当施設の平均年齢は87.6歳と超高齢であり、
認知症の割合も高い。
認知症高齢者
理解力・記憶力の低下
BPSD
暴言、暴力、徘徊、拒絶、 不潔行
為、抑うつ、不安、幻覚
妄想、睡眠障害
等・・
病気発症しても治療が困難
Mパタカラ
口輪筋の運動
表情筋を刺激
右側頭葉脳血流が増加
脳全体の血流増加・活性化
対象と方法
<対象>
・当施設の入所者17名
・長谷川式簡易知能評価スケールの
測定が可能
・本人、家族から協力への同意
・差し歯がなく不穏や拒否がなく
安全に使用できると判断した入所者
<期間>
7月から11月の5か月間
<実施方法>
・1日3回 1回3分間 Mパタカラを職員の
見守りの下装着
<データ収集方法>
・2か月毎に長谷川とバーセルインデックスの
測定
・Mパタカラの実施前と実施後の長谷川および
バーセルインデックスの数値の比較
操作的定義
認知症・・・長谷川が20点以下の者
Mパタカラ・・・表情筋を機能訓練によって的確
に向上させるために開発された
医療器具
入所者・・・サンビュー宮城の長期入所者
BI・・・バーセルインデックス 認知症と関連の
ある、ADLの指標
長谷川・BI
60
50
42
40
41
39
42
30
BI
長谷川
20
12.6
12.3
12.1
10.7
10
0
開始前
1か月後
3か月後
5か月後
軽度グループの長谷川・BI
60
56
51
50
53
46
40
30
BI
21.2
20.4
20
長谷川
20.2
18.25
10
0
開始前
1か月後
3か月後
5か月後
高度グループの長谷川・BI
60
50
40
33
33
32
31
30
BI
長谷川
20
10
4
4.2
4
4.8
開始前
1か月後
3か月後
5か月後
0
軽度グループの長谷川
15
10
15
15
8
19
17
17
17
29
30
28
5
19
19
30
E氏
D氏
C氏
B氏
30
開始前
30
1か月後
29
3か月後
29
5か月後
A氏
軽度グループのBI
35
35
75
45
45
50
E氏
D氏
25
85
開始前
45
C氏
B氏
80
5か月後
A氏
高度グループの長谷川
1
3
2
3
11
1
2
2
6
3
1
3
2
2
3
6
12
I氏
H氏
1
10
J氏
11
G氏
F氏
開始前
1か月後
3か月後
5か月後
高度グループのBI
55
10
25
25
50
開始前
55
J氏
5
25
25
45
5か月後
I氏
H氏
G氏
F氏
考察
Mパタカラ開始前と5ヵ月後の長谷川の点数に有
意差は見られなかった。
~認知機能は維持された~
軽度グループは積極的に取り組む姿勢も見られ、
5名中3名に点数の上昇が見られた。
継続による効果が期待される。
高度グループは開始前の長谷川が4点以下。
評価が困難。
Mパタカラは適さない。
開発者・歯科医師
秋広良明氏
「パタカラ・ストレッチを初めて取り入れるま
での認知症患者のモチベーションの取らせ方
に困難が予想され、生活の楽しみの中にト
レーニングが含まれていることが肝要」
「高齢者では世代的な特徴として新しいものを
受け入れにくい」
楽しく行う工夫
刺激のない生活
心身の機能は更に低下
認知症を進行させる
脳を刺激する活動の多いライフスタイルの
人々は、あまり脳を刺激しない人々より認知
症を発症するリスクが42%低下した。また、
活動が少なかった人々は最も多い人より、発
症リスクが2.6倍高くなった。
Robert S.Wilson PnD(ラッシュ大学メディカルセター)
高齢者は日常生活において認知機能の低下が
見られるのが一般的。
いかにケアしていくかが重要であり、認知症
の状態になっても心身の機能をできる限り維
持しながらこれまでと変わらない生活を送れ
ることが目標。
認知機能が維持状態であるという結果が得ら
れた本研究は意義があった。
結論
Mパタカラは非認知、及び中等度認知症者の
認知機能の維持に効果があった。