AOAに基づく帰属主義への変更

Tax update
国際課税原則の見直し(AOAに基づく帰属主義への変更)後編
EY税理士法人 ファイナンシャルサービスグループ 税理士 西川真由美
• Mayumi Nishikawa
国内系銀行、証券会社、信託銀行、リース会社、外資系投資銀行等に対する税務アドバイス業務に従事。主な関与案件は、クロスボーダー
ファイナンス、信託を利用したストラクチャー、国内外の投資家に対する金融商品の取扱い等に関する税務アドバイス、金融機関等に対
する申告書作成業務等。
Ⅰ はじめに
前編(本誌2014年6月号 Vol.94)に引き続き、14
を行うこととされています。
2. 国外PE帰属所得に関する文書化
年度税制改正における国際課税原則の見直しについて
外国税額控除の適用に際しても、国外PE帰属所得
解説します。今回は、内国法人の課税に対する影響と
の計算について、内部取引や外部取引に関する証 憑
実務対応についてです。
等、及び共通費用の国外PEへの配賦計算に関する書
しょう ひょう
類などを作成する必要があります。
Ⅱ 内国法人に対する影響
Ⅲ 2016年4月の導入に向けての実務対応
国際課税原則の見直しは、内国法人の外国税額控除
の適用における国外源泉所得の考え方にも影響を与え
今回の国際課税原則の見直しにより、特に外国法人
ます。具体的には、従来「国内源泉所得以外の所得」
の日本支店は大きく影響を受けます。所得計算のため
と定義されていた国外源泉所得について、国外の恒久
の情報収集や、必要となる文書化の準備期間は2年な
的施設(PE)に帰せられるべき所得(国外PE帰属所
ので、この間に本店とのコミュニケーションを通じて
得)
、国外にある資産の譲渡により生ずる所得、外国の
対応を協議する必要があります。
国債等の利子など、積極的に規定されました。
1. 国外PE帰属所得の計算
国外PE帰属所得は、原則として、外国法人のPE帰
属所得の計算に準じて行われます。国外PEで計上さ
れた支払利子総額のうち、国外PEの自己資本相当額
が国外PE帰属資本の額に満たない場合のその満たない
部分に対応する金額は加算する、銀行等のTierⅡ資本
に係る負債※につき支払う利子のうち、国外PE帰属資
1. PE帰属資産・帰属資本の計算
PEに係る自己資本の額(純資産の額)がPEに帰せ
られるべき資本の額に満たない場合には、負債利子に
ついて損金算入が制限されますが、損金不算入額は次
の算式により計算します。
負債利子の額 ×
PE帰属資本相当額 − PEに係る自己資本の額
PE帰属負債の帳簿価額の平均的な残高
(利子の支払いの基因になるものに限る)
本に対応する部分の金額は減算するなど、一定の調整
※ 銀行または証券業(第一種金融商品取引業に限る)を営む外国法人の規制上の自己資本のうち税務上の負債に該当するもの
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▶表1 作成が必要な書類
作成が必要な書類
内部取引
外部取引
資産の移転、役務の提供その他の事実を記載した注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに
準ずる書類若しくはこれらに相当する書類又はその写し
○
─
PEに帰せられる取引(PE帰属外部取引)の内容を記載した書類
─
○
使用した資産の明細並びに負債の明細を記載した書類
○
PE及び本店等が果たす機能(リスクの引受け及び管理に関する人的機能、資産の帰属に係る人的機能その
○
他の機能)並びに当該機能に関連するリスクに係る事項を記載した書類
PE及び本店等が果たした機能に関連する部門並びに当該部門の業務の内容を記載した書類
○
内部取引に関連する事実(資産の移転、役務の提供その他内部取引に関連して生じた事実)が生じたことを
証する書類
ここで、負債利子には利子に準ずるものとして、手
形の割引料、金銭債務の償還差損、その他経済的な性
質が利子に準ずるものが含まれるので、PEで負担す
る費用のうち負債利子に該当するものを抽出する必要
があります。
○
─
4. 文書化対応
内部取引、外部取引については<表1>の書類を作
成しなければならないこととされました。
また、本店からの配賦経費についても、配分の基礎
となる費用がPEを通じて行う事業及びそれ以外の事
また、PE帰属資本相当額を計算するために必要とな
業に共通するものであることについての説明、その明
る、外国法人全体の総資産・総負債の平均残高(銀行
細並びにその内容を記載した書類等を保存することが
等の場合には規制自己資本の額)、発生し得る危険を
損金算入の要件となるため、早めの対応が必要です。
勘案して計算したPEに帰属する資産の額などについて、
本店から入手可能か、入手するのにどの程度の時間を
要するのかなど、あらかじめ確認しておく必要があり
ます。
2. Tier Ⅱ資本に係る負債の利子の損金算入
銀行等の金融機関については、規制上の自己資本に
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係る負債利子を別枠で損金算入することができるよう
になります。このため、規制上の自己資本の額と、そ
れに対して支払った利子の額について、本店から情報
収集する必要があります。その際に、当該利子の額が、
日本の税務上、負債に対する利子として認められるか
否かについても検討を要します。
3. 役務提供の対価と配賦経費
本店から請求されるものであっても、PEを通じて
行う事業に共通する費用とは認められないものについ
ては損金の額に算入されません。本店から請求される
費用の内容を精査し、役務提供の対価か、もしくは配
賦できる経費なのか、役務提供の対価であれば金額は
妥当かなどを整理する必要があります。
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