Title Author(s) 強磁場下におけるn型InSb中の電子と縦型光学フォノンと の相互作用の研究 森田, 清三 Citation Issue Date Text Version none URL http://hdl.handle.net/11094/31253 DOI Rights Osaka University ,ー づ 氏名・(本籍) 森 田 清 一 一 学位の種類 E里 字 博 士 学位記番号 弟 学位授与の日付 昭和 50 年 3 月 25 日 学位授与の要件 学位規則第 5 条第 1 項該当 学位論文題目 強磁場下における n型 InSb 中の電子と 3306 子 E三 コ 縦型光学フォノンとの相互作用の研究 論文審査委員 (主査) 教授川村肇 (副査) 教授伊達宗行教授大塚穎三助教授鈴木勝久 講師邑瀬和生 ←一一一一」 論文内容の要旨 n 型 InSb 中では強磁場下で,電子と縦型光学フォノン( LO フォノン)との相互作用が強い量子力 学的効果をひきおこす事が知られている。実際, LO フォノン・アシステッド・イクロトロン共鳴や, 共鳴ポーラロン効果,又磁気フォノン共鳴についての多くの研究がある。 (1)LO フォノン・アシステッドド・サイクロトロン共鳴 強磁場下では,ランダウ間隔(担ωc) より大きく帯間エネルギーより小さいエネルギーの光(首ω) は吸収 されない D しかし光を吸収する電子が, LO フォノン(首 ωLO )を放出するならば,遷移則が破れて,光 は吸収される。これを LO フォノン・アシステッデ・サイクロトロン共鳴と言い,首ω= 抗 ωLO +n' 担ωc の磁場で共鳴吸収が最大になる。今回の実験では,低濃度の n 型 InSb の CO z レーザー照射に よる光伝導を測定する事により,液体 He 温度で,非常にきれいな共鳴の波形を観則し,これを解折し た。 (2)共鳴ポーラロン効果 二つのランダウ準位の間隔が LO フォノンのエネルギーに等しくなると, LO フォノンの放出や吸収 を通じて,二つの準位は,共鳴的に結合する。これを共鳴ポーラロン効果と言い, 首 ωLO=N担 ωc の磁場で起こる。今回の実験では, LO フォノン・アシステッド・サイクロトロン共鳴の高さや,共鳴 波形の巾や共鳴磁場の位置が,磁場と共に振動することを観測し,これが,ポーラロン効果により, 定量的に説明出来る事を示した口 (3)磁気フォノン共鳴 二つのランダウ準位の間隔が LO フォノンにより共鴫的に散乱される。この共鳴の磁場の位置は, - 45 - 11ωLO=Nñωc 又は hωLO=N I1 ωc i:: gμBH で与えられる。 gμBH はスピンの異なる準位聞のエネ ルギー差である。今回の実験では, LO7 ォノン・アシステッド・サイクロトロン共鳴が観測させな い程自由電子が少ない低濃度の n 型 InSb の試料の光伝導を測定して,液体 He 温度で, 4 つの異なる 磁気フォノン共鳴のシリーズを観測し,波形をしらべた。この効果は,光により励起された電子が, LO フォノンを共鳴的に放出して,緩和するため,起ったと考えられる。 論文の審査結果の要旨 本論文は n 型半導体 InSb における縦波光学的 (LO) フォノンと強磁下においてランダウ量子化を受 けた伝導電子との共鳴的な相互作用によって生じる現象を実験的並に理論的に研究したものである。 CO z レーザーからの 10 , 6μの遠赤外光照射によって生じるランダウ準位聞の遷移によるサイクロン共 鳴のハーモニックスを観測し,ランダウ準位間隔が LO フォノンのエネルギーに等しくなったとき, ランダウ電子とフォノンの強い結合が起ってランダウ準位にボケが生じて,サイクロトロン共鳴の巾 が拡がることを観測した。これを polaron pinning と呼ばれる効果の一種であるが,従来はレベルのわ ずかの変動として観測されていたが,森田君はこれを線巾のボケとしてはっきりと捕え,そのスベク トルの形を理論的にも詳しく,実験結果と比較し,電子 -LO フォノン結合係数を求めた。森田君はす るどい直観とすぐれた理論的解析能力によってこれらの新しい現象を見つけた。又本論文の一部は 19 74 年 Stuttgart での半導体国際会議にわいても森田君自身が口頭で発表し注目を受けた。 以上本論文は半導体物理において新しい知見を加えたもので理学博士の博士論文として充分価値あ るものと認められる。 - 46 -
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