資料3 - 中野区

資料3
平 成 26年 6月 16日
保健福祉審議会
第 5回 障 害 部 会 資 料
入所等から地域生活への移行の促進について
地域移行の推進に向けた課題
【課題】
⑴ 身体障害者の地域移行は、リハビリ施設から一定期間の訓練を終了し、在宅に
戻るケースが 7 割となっている。一方、長期施設入所者については、平成21年
度に重度身体障害者が、重度訪問介護を導入し地域移行を果たしたケースがある
ものの、地域で単身生活を営むためには、フォーマル、インフォーマルなサービ
スを組み合わせ、十分な支援体制を構築し、環境整備を行う必要がある。
また、重度身体障害者を対象としたグループホームは、都内15ヶ所の設置に留
まり、知的障害者を対象とするグループホームに比べ整備状況は立ち遅れている
状況にある。施設入所者の地域移行のためのこうした社会資源の整備が重要な課
題となっている。
障害種別毎のグループホーム入居者数及び入居者平均障害程度区分
障害種別
身体障害 知的障害 精神障害
入居者数
7 人 100人
46人
平均区分
3.7
2.7
0.9
知的障害者の在宅への地域移行は、施設への不適応や家族の意向により引き取
るケースが多い。また、入所者の平均年齢が43.7歳となり、入居者の1/3
にあたる33名が50歳以上と高齢化も徐々に進行していることが伺える。
「障害者総合支援法」検討規定にもあるように、高齢化する入居者の支援につい
ても、今後の課題である。
精神障害者は、地域移行後GHやアパートに単身で入居するケースが多く、
家族の暮らす自宅に戻るケースはほとんどみられない。地域移行先としては、
区内のGH数が少ないことから、区外のGHへ入居する事例が多い。また、
地域生活のトライアルとして利用できるショートステイや、体験宿泊できる
GHも区内にはなく、住み慣れた中野区に地域移行するためには、GHなど
の社会資源の整備が不可欠な状況となっている。
⑵ 区内には精神科入院病床がないこと及び、都外の施設に入所しているケー
スもおり、地域移行支援者は、都外や近隣区市町村まで足を運ぶ必要があ
り、時間的なロスとなっている。また地域移行する際、地域移行先が区外
となることも多い。現在、地域移行支援者となっている区職員や、生活保
護精神障害者退院促進コーディネイター、指定一般相談支援事業所相談支
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援専門員は、地域移行をすすめるにあたり、必要に応じて区内関係機関へ
協力要請を行う。しかし、区内に地域移行しない場合は、区内関係機関へ
調査の協力要請をするに留まり、区内関係機関職員と、地域移行の事例の
共有化や蓄積、課題の整理やめざすべき方向性の確認等がしにくい。その
ため、区内の地域移行支援の基盤整備を図ることができにくい状況となっ
ている。
⑶ 退院支援については、精神科病院主体の退院支援、東京都の退院促進支援
事業に加え、平成22年度から生活保護受給者を対象とした退院促進事業、
平成25年度からは精神障害者地域生活支援センター(せせらぎ)などによ
る地域移行支援の実施などにより、支援手段が広がっている。 しかし、地
域移行支援は、退院困難な事例を対象とし、丁寧な支援が求められるなど、
一人の相談支援専門員が継続支援できる対象者数も限られ、指定一般相談
支援事業所数や、相談支援専門員数を確保することも必要となる。 また、
区内に精神科病床がなく、訪問診療や訪問看護などの精神科的医療サービ
スが発展しにくい経過もあり、医療サービスとの連携や、区内の相談支援
機関の役割分担、連携の在り方の整理等、地域移行後の障害者を支える包
括的な仕組みづくりが求められている。
【目指すべき方向性】
障害者の地域移行をすすめるためには、社会資源の整備や、支援基盤の拡充、
地域定着を包括的に支える仕組みづくりが必要となる。地域移行をすすめる上で、
最も重要となる住まいの確保については、健康福祉部だけで解決することは困難
であり、他部や分野、東京都との連携により、区としての障害者の住まいを確保
する体制づくりが求められる。
また、GHへ地域移行することで、新たな入所施設への依存を助長するのでは
なく、あくまでも自立した地域生活のトライアルとしてのGH活用や、自立支援
サービスの提供をすすめ、必要な社会資源の数を確保する。
地域移行後、インフォーマルなサービスを含めた様々な支援により、安定した
地域生活が可能となった後には、就労支援による経済的自立などを含め、障害者
の更なるエンパワーメントを引き出し、その人らしい地域生活の実現を目指して
いく。
⑴ 社会資源の整備
知的障害者を対象とするグループホームについては、計画に基づき整備が進ん
でおり、今後も利用者のニーズに応じた施設整備を進めていく必要がある。
また、地域移行を図るため、グループホームなどでの共同生活を体験するため、
体験型入居の実施やグループホームへの移行を支援するグループホーム移行支援
型の利用枠を設けるなどの取り組みを行ってきている。これらの取り組みは、い
ずれも知的障害者を対象としたものであり、重度身体障害者や精神障害者にもこ
うした地域生活を体験するための施設の整備を図ることも必要である。
入居者の高齢化への対応としては、平成26年度の制度改正により、高齢化等
により日中活動に通所できない利用者についてグループホームでの昼間の時間帯
における支援を評価する加算を設けるなどの工夫がみられる。区においても、入
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居者の週末の過ごし方や日中活動の場の確保等を図るよう検討を進めていく必要
がある。
区外の入所施設や病院から、区外の施設やGHへ地域移行するのではなく、地
域生活への移行を促進し、障害者が住み慣れた中野区で安心し自立した生活を送
ることができるようにするためには、地域生活のトライアルとして利用できるグ
ループホームやショートステイ等の社会資源やサービスの整備及び、アパート等
の居住先を確保することが必要である。障害者の居住支援機能と地域支援機能を
一体的に支援する拠点としての地域生活支援拠点の整備を推進する。
⑵ 地域移行支援の支援基盤の拡充
地域移行支援連絡会や自立支援協議会を活用するなど、 事例の共有化や蓄積、
課題の整理やめざすべき方向性を確認するなどして、地域移行支援の取り組み
を地域移行支援者と区内関係機関で共有し、関係機関のネットワーク化を図る。
あわせて、改正精神保健福祉法により、平成26年4月1日より選任が義務づ
けられた退院後生活環境相談員や、東京都地域移行体制整備支援事業とも連携
の上、区外一般相談支援事業者などの地域移行支援者ともスキルの共有化を図
り、支援基盤の拡充を図る。
⑶ 退所又は退院した障害者の地域生活の定着を包括的に支える仕組みづくり
入所施設や病院等から地域生活への移行を促進するためには、障害者が退所
又は退院した後も、地域で自立した生活を継続していくことが可能となるよう
な包括的な仕組みをつくる必要がある。ご本人やご家族の意向に寄り添い地域
移行をすすめる支援員や、病状の悪化を防ぐ医療サービスの確保、相談支援機
関 で あ る 地 域 生 活 支援 セ ン タ ー 「せ せ らぎ 」 、 自 立 生活 支 援セ ン タ ー 「 つ む
ぎ」、すこやか福祉センターへの相談、必要に応じて居宅介護支援事業所や、
区内通所施設との連携など、地域での生活をより安定させる様々な地域に定着
する支援を有機的に組み合わせ包括的な仕組みを整備していく。
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図3
図4
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