2-ビニル-4,6-ジアミノ-s-トリアジンを用 いた分子インプリントポリマーの基質認識 分子機能解析研究室 堀 俊和 序論 序論 分子インプリント法とは、認識を目的とした分子を鋳型として重合溶媒中 に共存させることにより、その鋳型分子と相補的に相互作用する部位をポリ マー内に導入する方法である。 NH2 N N N NH2 2-vinyl-4,6-diamino-striazine (VT) 機能性モノマー O H 2N HN N N O CH2OH O OH OH ウリジン (Urd) N O O CH2OH OH OH シチジン (Cyd) 鋳型分子 NH2 HN H O N N N N H N N N HN H O 複合体形成 O N CH2OH NH2 OH OH PUrd 重合 選択的相互作用 HN H O N N H N N N O HN H O CH2OH OH OH 3点相互作用 Fig. 1 分子インプリント法概念図 実験 実験 インプリントポリマーの合成 鋳型分子、VT、EGDMAをモル比1:1:5でDMFに溶解し、反応開始剤としてAIBNを 添加した溶液をガラス管に入れ、脱気し、窒素雰囲気下で封管後、60℃で24時間重合 した。PUrdは、VTに対し0∼1モル比でUrd添加量を変化させたポリマーも調製した。 また、VTを用いず他は同条件のポリマーも合成した。重合終了後、ソックスレー脂 肪抽出器を用いて、メタノール:水=1:1溶液で24時間還流し、鋳型分子を除去した。 架橋剤 O O O O Ethylene Glycol Dimethacrylate (EGDMA) 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定 ①保持時間測定 ポリマーを乳鉢で粉砕し、分級操作により、粒子径を8∼45μmに揃え、HPLC用カ ラムに充填した。HPLC(島津LC-10AT)を用いて、保持時間を測定した。 ②保持能の評価 HPLCの測定で得られた保持時間から容量比を算出し、分子インプリントポリマー の基質選択性を評価する指標とした。さらに鋳型分子非共存下で合成したポリマーの 容量比k’nonとの相対比 K’(=k’/k’non)を算出し評価した。 容量比 k’= (t-t0)/to 相対比 K’= k’/k’non t: 基質の溶出時間 to: 移動相の溶出時間 O H2 N N N HN O CH2OH N H2N OH グアノシン (Guo) OH N N N O CH2 OH N OH OH アデノシン (Ado) Urd、Cyd以外にHPLC測定で基質として用いた分子 IR測定 ウラシル(U)、VTを等モル比で45分乳鉢で混合した後、パーキンエルマーFTIR1650型でKBr錠剤による測定を行った。 結果 結果 2.0 1.8 相対比 K' Eluent: MeOH PCyd 1.6 1.2 1.2 PUrd 1.3 1.1 1.2 1.1 1.1 1.1 Guo Ado 0.8 Urd Cyd 基質分子 Fig. 2 PUrd、PCydの基質認識 容量比 k ’ 2.5 PUrd Eluent: MeOH 2.0 1.5 1.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Urd/VT Fig. 3 Purdの鋳型仕込み量依存性 相対比 K' 2.0 1.8 1.8 1.8 1.6 1.4 1.3 1.2 1.0 MeOH/H2O (90/10) MeOH MeOH/CH3CN (10/90) Eluent(v/v) Fig 4 PUrdのHPLC移動相による影響 3.0 2.5 容量比 k' Eluent: MeOH 2.0 1.0 0.1 0.0 PUrd PUrd Without VT Fig. 5 基質選択性に対する機能性モノマーの効果 νC4=O 1675 1673 νC5=C6 δNH 1720 1742 νC2=O VT Uracil / VT (1 / 1) 1760 1740 4 5 6 HN 3 2 1 NH O 1676 1715 Uracil O 1720 1700 1680 Wavenumber cm-1 Uracil 1660 Fig. 6 IRスペクトル 結論 結論 • PUrd、PCydはそれぞれ鋳型分子に対する認識能が最も高かったが、 PCydはPUrdに比べて認識能の増加は小さかった。 • 重合時における鋳型分子の存在量の増加に伴って鋳型分子に対する 容量比が増加し、機能性モノマー(VT)と等モル比の時、最大値を 示した。 • HPLC測定における移動相溶媒の基質認識に与える影響は、プロト ン供与性の有無には小さく、誘電率の大きさには強く影響を与えた。 • 機能性モノマー(VT)の有無によって、基質認識能に大きく影響を 与えるとともに、VTの3点認識の有効性が立証された。
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