<ゆんさんの投稿問題> 図のように∠ABC=90度の直角三角形ABCがあり、辺AC上の 点C寄りのところに点Dをとり、DとBを線で結びます。 DB//CEとなるようにCから線分CEを引き、四角形CDBEが 等脚台形になるようにします。 CD=EB=10, CE=8, DB=14 のときADの長さを求めなさい。 A D 10 C 14 B 8 E 10 <ゆんさんの投稿問題> 解き方) 求めたいのはADの長さですから、これを未知数 とおき、相似や三平方の定理を 組み合わせて解くのでは?という予想ができます。 そこで、相似比を使うために、DからABへ垂線DHを下ろして、DH//CBをつくり、比例式を立てます。 次に等脚台形CDBEに着目して、C,EからそれぞれDB上へ垂線を下ろし、その交点をF,Gとおきます。 すると、三平方の定理よりCBの長さが求まり、今度は平行線DH,CBを用いて相似な三角形を みつけることで比例式を立てます。 AD = とおき、 DからABに垂線を下ろし、その交点をHとおくと △ ABC ∽△ AHD より AC: AD = CB: DH ゆえに + 10 : = CB: DH ・・・① D 91 F 14 A ※CBを求めます ここで、C, EからDBに垂線を下ろし、その交点をそれぞれF, Gとおくと 四角形CDBEは等脚台形であるから 1 FG = 8, DF = GB = 14 − 8 × = 3 2 △ CFDに三平方の定理を用いて、 CF = 10 − 3 = 91 △ CFBに三平方の定理を用いて CB = ● H C 10 G 8 ● B + 11 = 91 + 121 = 212 = 2 53 ・・・② ※DHを求めます 一方、 △ CFBと △ BHDにおいて、 ∠CBF = ∠BDH 平行線の錯角 ∠CFB = BHD = 90° より、2角が等しいので △ CFB ∽△ BHD したがって、BC: DB=BF: DH 2 53:14 = 11: DH 14 × 11 77 ∴ DH = = ・・・③ 2 53 53 ②, ③を①に代入すると 77 + 10 : = 2 53 ∶ 53 77 2 53 = + 10 53 この両辺に 53をかけて = + 770 = 770 770 = ・・・(答 29 高校受験のみなさんのために少し書いておきますと、 『平行線の近くには相似な三角形が隠れていることが多い』 ということを覚えておいて欲しいです。なぜかといいますと、 平行線では錯角、同位角が等しくなるので、2つの三角形が 相似になることが多いからです。 この点を押さえておけば、かなり見通しがよくなるのではない でしょうか。 E 10 <ゆんさんの投稿問題> 別解) △ABCの面積を二通りの方法で表した等式と三平方の定理から、ACとABの連立方程式を立てます。 △ABCの面積を二通りの方法で表すには、BからCDに垂線BH′を下ろせば良く、また、BH′は△CDBの 面積を二通りの方法で表すことで求めることができます。 C, EからDBに垂線を下ろし、その交点をそれぞれF, Gとおく。 また、BからCDに垂線を下ろし、その交点をH とおくと 1 等脚台形であるからFG = 8,DF = GB = 14 − 8 × = 3 2 △ CFDに三平方の定理を用いてCF = 10 − 3 = 91 △ CFBに三平方の定理を用いてCB = 91 + 11 = 2 53 ここで △ CDBの面積を二通りの方法で表すと 1 1 △ CDB = × BD × CF = × 14 × 91 = 7 91 2 2 1 1 △ CDB = × DC × BH = × 10 × BH = 5 × BH 2 2 7 91 よって、BH = A 5 次に、 △ ABCの面積を二通りの方法で表すと 1 1 △ ABC = × AB × BC = × AB × 2 53 = 53 × AB 2 2 1 1 7 91 7 91 △ ABC = × AC × BH = × AC × = × AC 2 2 5 10 7 91 よって、 53 × AB = × AC ・・・① 10 さらに、 △ ABCにおいて、三平方の定理より、AB + BC = AC これにBC = 2 53を代入すると、 AB + 2 53 = AC D F C H 14 G B 8 10 ・・・② ①、②を連立させると、 7 91 10 53 10 53 × AC + 2 53 − 7 91 = AC × AC = 2 53 10 53 841 × AC = 2 53 10 53 AC = ∴ AC = 2 53 × 10 53 841 2 53 × 10 53 841 = 1060 841 したがって、AD = AC − 10 = = 1060 (※29 = 30 − 1) = 900 − 60 + 1 = 841に気付くかどうかです 29 1060 290 770 − = 29 29 29 ・・・(答 E <補足> A 【トレミーの定理】(プトレマイオスの定理) 『円に内接する四角形の対角線の積=対辺の積の和』 という関係が成り立ちます。 ※右図では、『AC×BD=AB×CD + AD×BC』 【トレミーの定理の証明】 右図(下)のように円に内接する四角形ABCDの対角線が交わる点をPとし、 ∠BAQ=∠DAP となるような線分AQを引く。 △BAQと△CADにおいて ∠BAQ=∠CAD , ∠ABQ=∠ACD (同一弧上の円周角) 2角が等しいので △BAQ∽△CADより AB:AC=BQ:CD ∴ AB×CD=AC×BQ ・・・① D B C △ABCと△AQDにおいて ∠ACB=∠ADQ (同一弧上の円周角) ∠BAC=∠BAQ+∠QAP, ∠QAD=∠CAD+∠QAP ここで ∠BAQ=∠CAD であるから ∠BAC=∠QAD 2角が等しいので △ABC∽△AQDより AC:AD=BC:QD ∴ AC×QD=AD×BC ・・・② ① + ②より AB×CD + AD×BC=AC×BQ + AC×QD =AC×(BQ + QD) =AC×BD 以上より AC×BD = AB×CD + AD×BC が成り立つ。 ※私立高校入試では、この定理の証明がよく出題されていますが、 丸ごと証明させるのではなくて、( )に記号を入れて証明を完成させる という形式がほとんどです。 県入試では今後も出題される可能性はないと思いますが、検算をしたり、 答えだけを求める場合に役に立つことがあります。 高校の数学Aで覚えなければいけないので、せっかくですから今から覚えて おきましょう。 【等脚台形は円に内接する】 円に内接する四角形が台形の場合 対角の和は180°なので∠A+∠C=180°, ∠B+∠D=180° また、∠A+∠B=180°(※∠Bは∠Aの外角と等しいので(平行線の同位角)) 同様に∠C+∠D=180°であるから ∠A=∠D, ∠B =∠C が成り立ち、 円に内接する台形は等脚台形になります。 逆に、等脚台形ならば円に内接します。 (※ただし、円に内接する四角形は台形になるとは限らないので注意。) ※四角形CDBEは等脚台形なので、円に内接します。 したがって、トレミーの定理から BC × DE = DC × BE + CE × DB = 10 × 10 + 8 × 14 = 212 また、等脚台形は対角線の長さが同じなので、 BC × DE = BC ∴ BC = 212 = 2 53 このように、等脚台形の性質とトレミーの定理から 簡単にBCを求めることができます。 A D 10 14 C 8 10 B E
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