七沢リハビリテーション病院脳血管センター 2014年 10 月No.42 http://www.n-nokekan-hp.kanagawa-rehab.or.jp E-mail:[email protected] 〒243-0121 神奈川県厚木市七沢 1304 総務局 Tel 046-249-2806 Fax 046-249-2903 新病院へこれから 医療局長 西村 敏 この冊子が届くころも、まだまだ暑い季節かと思われますが、皆様お元気でお過ごしのことと 思います。今夏、顧客名簿の流失で、個人情報の売買が話題となりました。個人情報の漏洩は、 過去にも名簿が高額で売買されていました。しかし、最近の事件では、その数が桁外れに大きく なり、個人情報を悪用した犯罪は広範囲・多岐にわたります。今回の一連の事件は、内部犯によ る明らかな犯罪ですが、当院においても、多くの利用者の方々の個人情報を管理していることか ら、個人情報保護の管理徹底の重要性を再確認する機会となりました。 個人情報保護法については、今後の法改正や規制など今後の動向が気になりますが、病院で勤 務している職員一人一人が責任を持って扱っていくという自覚が重要と考えております。 さて、七沢学園訓練棟の解体工事を終了し、その他のインフラの整備工事が進む中で、新病院 新棟新築工事が平成 26 年 3 月の入札で不調となりました。県知事は全国的な公共工事不調頻発 傾向の一つの見方を示すとともに、再度不調とならないよう事業団と準備を進めるとしています。 9 月の県議会では補正予算が審議され予算増額が決定されました。しかし、今後の再編整備の時 期と手順については、未確定要素があると言わざるを得ません。将来の状況も思い描くとおりに はならないでしょう。七沢リハビリテーション病院脳血管センター自身も、今後のリハビリテー ションと病院運営の形態を考え、どのような形で新病院へ統合をしてゆくかという大きな問題が 決定されなければなりません。まだまだ、最終的な統合に至るには、時間のかかる検討が、なお 必要ということであります。 病院スタッフが一丸となって、この難局を乗り越え、県民の皆様に必要とされる新病院の完成 に向けて取り組んでいきますので、今後とも、ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。 2014 年 10 月号は、前号に引き続き、 「脳卒中予防・再発予防」をテーマに、予防対策とし て特集を組みました。本号では、脳卒中や心筋梗塞の原因となる生活習慣病にならないために 検査技師と薬剤師の立場から、お話しします。 脳卒中予防Ⅳ 「知っておこう自分のからだ」 (検査科) 脳卒中予防Ⅴ 「正しく付き合おう お薬のはなし」(薬剤科) 特集 脳卒中予防Ⅳ 検査科 平林 泰信 健康診断の結果をみたとき「血糖値が高値です。 」や「コレステロールが高値です。 」などのコメ ントを目にしたことはありませんか? コメントを見たときに始めに思うことは「血糖値が高いということは?」 「コレステロールってな に・・・?」などの疑問が生じると思います。 今回は、このページを利用していくつかの検査値について解説していきます。 〔 血糖値 〕 血糖値(基準値:70~110mg/dl)とは、 言うまでもなく血液中のブドウ糖の濃度を 表したものです。血糖値が高くなる病気と言 〔 えば「糖尿病」を思い浮かべるかと思います が、糖尿病の診断がつく前にいくつかの病態 を表す表現法があります(図) 。 みなさんに知っていただきたいことは、糖 尿病について「糖尿病になりかけている」と か「糖尿病の一歩手前」とかの表現方法は存 在しないということです。境界型糖尿病と は、すでに治療の対象になることを認識して いただけたらと思います。 また、注目してもらいたいのは 正常高値 という表現です。血糖値が正常範囲にあって も正常高値の場合、将来の糖尿病への移行率 が高いと言われています。 〔 グリコヘモグロビン A1c:HbA1c 〕 HbA1c(基準値 4.6~6.2%)赤血球中のヘモグロビン(Hb)にブ ドウ糖結合したもので、高血糖が持続することでその割合が増加しま す。赤血球の寿命が約 120 日であることから HbA1c は少なくとも過 去 1~2 ヶ月の平均血糖値を反映するといわれています。空腹時血糖 値が高値(126mg/dl 以上)で HbA1c 高値(6.5%以上)であれば 糖尿病が疑われます。 ① 総コレステロールとは、いくつかの成分に 分けられるコレステロールの総称です (正常値:130~219mg/dl) 。 〔 コレステロール値 〕 コレステロールとは、体内にある脂質(脂肪) の一種で身体を構成する(細胞の材料や血管の 強化や維持重要な役割をもっている)ために必 要不可欠の物質です。しかしながら、血液中の コレステロールが多くなりすぎると動脈硬化症 などの生活習慣病の原因となる物質でもありま ②HDL-コレステロールは、血管内にへばり ついて動脈硬化を引き起こすコレステロール を引き抜いて肝臓まで運ぶ働きをして「善玉 コレステロール」と呼ばれています (基準値 40mg/dl 以上) 。 す。 健康診断等で主に測定されるコレステロール は①総コレステロール、②HDL-コレステロー ③LDL-コレステロールは、細胞内に取り込ま ル、③LDL-コレステロールがあります。 れなかった過剰なコレステロールを血管内に 放置して動脈硬化を引き起こす原因となり 「悪玉コレステロール」と呼ばれています。 〔 LH 比の目安 〕 (基準値 69~139mg/dl) 。 動脈硬化を予防・抑制するためには HDL-コレス テロールを増やして LDL-コレステロールを減らす 必要があります。 血液検査の結果 HDL-コレステロールの低値、 LDL-コレステロールの高値もしくはその両方が認 められた場合は脂質異常症の可能性があります(中 (表)LH 比の目安 性脂肪の高値でも疑われます) 。最近、脂質異常症に LH 比 おいて LH 比 が重視されてきています。LH 比と は、「LDL-コレステロール値÷HDL-コレステロー 1.5 以下 望ましい値 ル値」で示される比率のことです。LDL-コレステロ ールと HDL-コレステロールを別々に考えるのでな 2.0 以上 く、両方のバランスを重視して考える目安として表 され注目されるようになっています。 その目安を(表)にまとめました。 2.5 以上 今回は、一部の項目ですが検査値の見方について解説しました。 糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病も悪性新生物(癌)と同様に早期発 見・早期治療が望まれます。もう一度、健康診断の結果を見直し「これな らまだ大丈夫」と思うのではなく、「気をつけよう」と意識をかえていただ けたらと思います。 コレステロールの蓄積が増え て動脈硬化が疑われる 血栓の存在も疑われる。心筋 梗塞のリスクも高い。 特集 脳卒中予防Ⅴ 薬剤科 藤澤 哲也 脳卒中予防には、先ず適度な運動と健康的な食事です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防が大 切です。それでも高血圧や糖尿病などに罹ってしまったらお薬が始まります。 お薬は定められた用法と用量を守ることで効果を発揮します。誤った服用法は効果が期待できないば かりか、副作用が出やすくなってしまうこともあります。では、お薬を飲むときの注意にはどのような ものがあるのでしょう。一部を紹介させていただきます。 ●お薬の名前が違うのに同じ薬がある? ガスター錠 20mg、 ファモチジン錠 20mg この二つは名前が全く違いますが、主成分 は、同じお薬です。ガスター錠は先発医薬品 で、ファモチジン錠はジェネリック医薬品で す。同時に飲むと 2 倍の量を飲むことになっ てしまい、副作用が出る可能性が高くなるこ とがあります。このような事はお薬手帳やか かりつけの薬局をつくることで防げます。複 お薬手帳は一冊にまとめましょう! 数冊お薬手帳を持っている方は、1 冊にまと めることもおすすめします。上手に活用して みてください。 ●錠剤がのみにくいので、割って飲んでもいい? 良いお薬と危険なお薬があります。 左の写真をご覧ください。アダラートC Rというお薬の断面写真です。二重構造 になっているのが分かると思います。二 重構造にすることで持続的に効果がでる ように工夫がされたお薬ですので、この ようなお薬を半分に割ったり砕いだりし て飲んではいけません。自己判断でお薬 お薬の断面写真 を割ったり砕いたりしないようにしまし ょう。必要な場合には薬剤師にご相談く ださい。 ●お薬はお水か白湯で 起床時に飲む骨粗鬆症のお薬はミネラ ルウォーターで飲むのは避けてください。 何故でしょう?実は、ミネラルウォーター の中には、硬水といってカルシウムやマグ ネシウムなどが含まれた製品があります。 これらのミネラルがお薬の吸収を悪くし てしまうことがあります。骨を丈夫にする ●血圧のお薬を飲んでいるとグレープフルー カルシウムが多いからと言ってカルシウ ツが食べられない!? ムの多く含まれたミネラルウォーターや 牛乳などで飲むと効果が期待できなくな お薬のなかにはグレープフルーツや夏 ってしまいます。水道水または白湯で飲む みかん、八朔、金柑などに含まれるフラボ ようにしましょう。 ノイド成分によって効果が強くなりすぎ てしまうものがあります。血圧のお薬です と、カルシウム拮抗剤というグループのお 薬は影響を受けることが分かっています。 その他にも一部の血液を固まりにくくす るお薬、コレステロールを下げるお薬など でも同様のことがわかっています。気にな る方は、お薬手帳を持って、薬剤師に聞い てみてください。 【おわりに】 お薬の飲み方を間違えると効果が期待できなかったり、副作用が出やすくなったりします。定めら れた用法と用量をきちんと守って服用するようにしてください。また飲み忘れたからといって 2 回分 を一度に飲んだりすることは絶対にしないでください。 お薬について気になることがあれば、お気軽に薬剤師に相談してください。 内 容 入院中の患者さんとご家族、一般の方々を対象に、 10 月 18 日 七沢病院の職員による「脳卒中に関する医学的知 識と、リハビリテーション」の講座を開催しております。 (入場は無料です。) ○場 所:七沢病院A館 2階研修室 ○日 時:毎月第3土曜日 13:30~15:00 12 月 20 日 担当:薬剤師 多くの病気のリスクを高めるタバコ 担当:管理栄養士 減塩と食事バランス 毎回、講座の最後に質疑応答があり参加者 から多くの質問が寄せられています。 脳卒中公開講座のお知らせ 日 時 平成 26 年 11 月 29 日(土) 13:00~16:00(12:30 受付開始) 場 所 あつぎ市民交流プラザ(アミュー厚木 7F) ※入場無料・予約不要・当日受付 〇メインテーマ 「脳卒中による記憶障害ってなあに? ~認知症との違い~ 」 〔講座内容〕 ・ 「脳卒中と記憶障害」 脳卒中リハビリテーション科医 ・ 「脳卒中の記憶障害を知ろう」 臨床心理士 ・ 「記憶障害と間違えられやすい症状 ~失語症~」 言語聴覚士 ・ 「記憶障害のある方との暮らし ~対応について~」 脳卒中リハビリテーション認定看護師 公開講座の他に、職員による各種相談コーナー(脳卒中・リハビリ・摂食嚥下・生活習慣病予防など) やパワーアシストハンド・足こぎ車いすなどの展示コーナーを併設しています。当日はお気軽にご参加く ださい。スタッフ一同お待ちしております。 ~電車・バスをご利用の場合~ ~当院までのご案内~ (周辺地図) 小田急線「愛甲石田駅」北口下車し、 バス③番乗場から、「七沢病院行」 に乗車し、「七沢病院」で下車して ください。(病院玄関前に到着・所 要時間約 30 分) ~自動車をご利用の場合~ 東名高速道路「厚木 IC」を出て、小 田原厚木道路方面に進み、すぐ左側 の伊勢原出口を降り、3 つ目の信号 「田谷」を右折して小野・七沢方面 に向かってください。(駐車利用料 金無料・厚木 IC から約 30 分) 入院相談は、医事班(046-249-2812)または医療福祉相談室(046-249-2820)のケースワー カーが随時受け付けています。また現在入院先の主治医より電話にて、入院コーディネーター医師に直接 ご相談いただけます。 (046-249-2909)
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