木造住宅 低コスト耐震補強の手引き

木造住宅 低コスト 耐震補強の手引き
2014. 2.
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会
4.4 メーカー工法の例 2 「アイワン」
昭和 47 年竣工の木造 2 階建て住宅を低コスト耐震補強フローに沿って耐震診断します。
診断にあたり対象住宅は総 2 階ではないため、精算法を用いて必要耐力を補正します。
大規模リフォーム、屋根葺き替え、全面的な基礎補強の予定なし
必要壁強さ
2階
1階
必要耐力
保有耐力
必要壁強さ
評点
X 方向
20.67
7.08
13.59kN
0.343
Y 方向
20.67
16.99
3.68kN
0.822
X 方向
45.94
10.67
35.27kN
0.323
Y 方向
45.94
21.08
24.86kN
0.459
工法、組合せの検討(施主の要望を考慮)
・ ななるべく室内工事を少なく、建物の外部から補強したい。
⇒1 階は「耐震補強工法選択表
B:通風採光あり」から候補を選択
・ 外装材などを壊さず、なるべく安価に補強したい。
⇒「アイワン」と「ウッドピタブレース」が候補。壁基準耐力はウッドピタの方が優れているが、
今回はより安価な「アイワン」を採用。また室内工事ではひと部屋のみを安価で短工期、汎
用性の高い「部分開口 構造用合板 真壁上下あき」工法を選択
・ 2階の不足する強さは「部分開口 構造用合板 真壁上下あき」と、柱接合部の金物補強で対応
する。
⇒1 階は「アイワン」と「真壁上下あき」による補強工法、2階は「真壁上下あき」と部分的
な柱接合部補強を第一候補として採用
B:通風採光あり
壁基準耐力
床天井解体
~3.0kN/m
有
無
3.0~5.0kN/m
有
無
7.0kN/m 超
5.0~7.0kN/m
有
無
有
無
2 万円以下
3 万円以下
4 万円以下
6 万円以下
ウッドピタ
ブレース*
アイワン*
耐震スプ
リング*
コボット
Jフレーム
アルミ合金
耐震ポール
ひかりかべ
つよし*
ウッドピタ
フレーム*
6 万円超え
* 印は、平成 23 年度以前のコスト評価工法
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木造住宅 低コスト 耐震補強の手引き
2014. 2.
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会
工法、組合せの決定
1 階:外部からのアイワン工法による補強を基本としますが、1 階北の掃き出し窓への取付けが困難
であることと、2階北外壁直下の1階壁(洋室・階段境の壁)が弱いので構造用合板での
補強をします。ただし、コストを抑えるために構造用合板は壁への部分張り(真壁上下あ
き)とします。
2階:1階と同様の構造用合板の部分張り(真壁上下あき)と、不足する強さは柱接合部への金
物補強で補います。
1階平面図
2階平面図
耐震補強診断値
2階
1階
補強前の評点
補強後の評点
追加した壁強さ
X 方向
0.343
1.007
13.73kN
Y 方向
0.822
1.093
5.59kN
X 方向
0.232
1.031
36.67kN
Y 方向
0.459
1.090
28.99kN
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木造住宅 低コスト 耐震補強の手引き
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会
概算コスト判断
3章での概算見積り
1階
X方向:アイワン工法
2万6千円/kN×13.0kN = 約34万円
構造用合板補強工法「真壁上下あき」
Y方向: アイワン工法
2万0千円/kN×16.6kN = 約33万円
2万6千円/kN×18.6kN = 約48万円
構造用合板補強工法「真壁上下あき」
2万0千円/kN× 3.3kN = 約 7万円
2階
X方向:構造用合板補強工法「真壁上下あき」
2万0千円/kN× 6.6kN = 約13万円
X・Y方向:金物補強(プラス8.37kN)
取付け施工費(材工)= 約 2万円
合計
⇒
約137万円
概算金額に対し、施主の合意が得られました。
工事見積り
1階、2階、X方向、Y方向の合計
約 97 万円
3章の概算は一つの構面についての見積りであるのに対し、本事例は補強構面が複数あり
工事の効率が良くなります。また金物の種類、仕上げのグレード差の分、誤差が生じます。
これらにより、概算見積りを下まわる額となっています。
契約、耐震改修着工
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