新潟青陵大学における文部科学省支援取組(現代 GP)からの示唆 ∼よりよき実践教育に向けて∼ キーワード;現代 GP、メンタルフレンド、実践教育 ○清水不二雄、鈴木秀子、中平浩人、中村恵子、服部潤吉、古山智規、本間恵美子、李在檍、 岩崎保之、上原正希、河内浩美、小林正子、斎藤まさ子、佐藤朗子、菅原真優美、武田誠一、 中野充、原田留美、樋掛優子、平川毅彦、本間昭子、真壁あさみ、丸山公男、和田由紀子、 押木泉 (研究協力者:伏木洋子、石井沙織) 新潟青陵大学 I 目的; 「現場専門家などとの機関連携により大学教育と 現場との隔たりを埋める実践的で有効な学生教育の実現」 を目指して、平成19年度よりスタートした本学の現代 GP「メンタルフレンド活動による地域福祉展開」につい て現時点で概括し、可能な限り問題点を明確にしてその 解決策を探ることによりこの取り組みの期間内目的達成、 ひいては本学におけるよりよい実践教育実現への基盤構 築に資することを目的とする。 II 方法:現時点での①学生登録数をはじめ日常活動状況 の推移を把握する。②学生、教職員、受け入れ先、既に 催した行事(フォーラムなど)参加者、本取組外部評価 者からの感想・意見を集約し分析して今後に向けて有益 な提言の実施施策を検討する。なおフォーラム参加者へ のアンケートは無記名、自由記載で実施した。 III 結果:学生登録数は着実な伸びを示し170名を突破 した。特に看護学科の学生が約半数を占めるに至ってい る。主な日常活動としては①小児病棟入院児童ベッドサ イド訪問②教育委員会「放課後開放プラン」参加 ③児童 養護施設学習・余暇活動 ④児童相談所通所ケース支援・ 一時保護所スタッフ補助 ⑤障害児親の会特別活動支援 ⑥子育て支援センター訪問活動 ⑦母子生活支援施設入 所児交流 ⑧小児療育センターにおける発達障害児グル ープ治療スタッフ補助⑨養護学校児童との余暇活動⑩地 域公民館「中高生の居場所つくり」事業スタッフなどが あり 近日中に予定されているのが①学生による入院児 童あて「キャラ・メール」 (キャラクターからのお手紙) 発信②ひとり親家庭交流会(定期開催企画および参加) ③県内里親会活動への参加協力④子どもの居場所モデル 事業(運営スタッフ参加)である。学生、教職員、受け 入れ先、フォーラム参加者、外部評価委員からのコメン トについては現在この取り組みが進行中であることから 部分的なものとならざるを得ないが主なものとしてはあ る学生は不登校児だった児童から卒業式への招待状が届 きお礼を言われたなど今後につながる感激を味わったと 述べている。それ以外にも子どもたちに会うことが楽し みになった。子どもたちの視点に立って考えられるよう になった。子どもたちは話したい、聴いてもらいたいと いう強い思いを伝えてくれている。一人の子どもとの付 き合いはその周りの多くの人とつながっていき、将来に つながる貴重な経験ができた。など肯定的な感想が寄せ られている。教員からは①自身の学びや教職員間の協力 により相互理解を深められた。②地域の現場からの強い 要望を実感できた。③メンタルフレンド活動に燃えてい る学生の弾むような言葉に元気をもらい,癒されている。 など肯定的な感想が寄せられている一方で④取組担当教 職員の業務量の増加⑤非担当教職員との連絡協力体制の 不足⑥他のボランティア活動との関係の不明確さ⑦取り 組み終了後のこの活動の維持への不安など、ある程度予 測された批判的なコメントも認められた。また受け入れ 先からは一定の評価をいただいており、派遣への積極的 な要請を受けている。フォーラム参加者の理解度は よ く (46%)と まあまあ (48%)を加えて94% が取り組み内容を理解したと回答し(回答数;81) 、第 2回のフォーラムには、 ぜひ (41%)と 内容によ って (55%)を加えると96%が参加したいと答えて いる(回答数;103) 。 IV 考察:登録学生数の着実な伸びはこの取り組みの意義 が学生にも浸透しつつあることの表れだと思われる。ま たその半数を看護学科の学生が占めていることが入院児 童を対象とした新しい取り組みの充実につながっている と考えられる。然し全学の学生数を考えるとこの登録数 (約20%)は一定の限界を表しているように思われる。 教員からのコメントからも読み取れるようにこの取り組 みがまだ完全に全学的な規模にまで成熟していないこと を物語っている。研修参加学生も登録数から見て少数に とどまっている。今後のこの問題解決策としてはボラン ティア活動促進のためのカリキュラムの充実と、活動の 研修会・発表会も含めた単位化、並びに学外活動への自 由度を加味したカリキュラムの作成などの対応策が必要 だと考えられる。これらの具体的な施策の実現を図りな がら、今後に向けては①活動地域及び機関の広域化②登 録学生数の増加③対象者の拡大(20代引きこもり、特 別支援教育、看護現場など)④活動内容の多様化(放課 後子どもプラン、子ども居場所作り等)⑤活動組織の強 化拡大(サテライト型NPO組織による関係機関ネット ワーク化)などを継続して図っていく必要がある。その 過程がキャリア教育の導入、確立につながり、本当の 地 域に精通した専門家 の養成による地域貢献につながる ことになると期待される。 V 結論:現代 GP の目的遂行努力により本学における実 践教育内容の向上が実現されつつある。
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