1/9 2014年度 東北大学(文系) 数学解答・解説および配点予想 ここでは文系数学の満点を 200 点満点で考えています。学部学科によっては満点が異なる場合が ありますが、採点基準は共通であると考えられます。 1 配点予想 (50 点) 【解答】 (1) y = x 2 ∴ y′ = 2 x より 2 接線の式が書け 2 曲線 C : y = x 上の点 P(a, a ) における接線 l1 の方程式は て5点 2 y − a = 2a ( x − a ) 整理して l1 : y = 2ax − a 2 同様に l2 : y = 2bx − b 2 とする. l1 , l2 の交点 R の x 座標を求めると 2ax − a 2 = 2bx − b2 2(a − b) x = a 2 − b 2 交点 R が求め = ( a + b)(a − b) られて 5 点 a ≠ b より x= a+b 2 これを l1 に代入して ⎛ a+b⎞ 2 y = 2a⎜ ⎟−a ⎝ 2 ⎠ ⎛a+b ⎞ , ab ⎟ よって R ⎜ ⎝ 2 ⎠ ∴ y = ab (2) S = = a +b 2 a 2 a +b 2 (x a − a) 2 dx + ・・・(答) ∫ {x − (2ax − a )}dx + ∫ {x − (2bx − b )}dx ∫ b 2 ∫ b a +b ( x 2 2 a +b 2 2 積分の式が書け て5点 − b) 2 dx a +b b ⎡1 ⎤ 2 ⎡1 ⎤ = ⎢ ( x − a )3 ⎥ + ⎢ ( x − b)3 ⎥ ⎣3 ⎦a ⎣3 ⎦ a +b 2 3 = 1 ⎛a+b 1 ⎛a+b ⎞ ⎞ − a⎟ − ⎜ − b⎟ ⎜ 3⎝ 2 3⎝ 2 ⎠ ⎠ = 1 (b − a )3 12 3 計算ができて 15 点 ・・・(答) (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール 2/9 (3) l1 ⊥ l2 のとき 2a × 2b = −1 垂直条件が書け ∴ 4 ab = −1 て5点 ここで a と b の積が負なので a<0<b であることがわかる a=− 1 を S に代入すると 4b 1 ⎛ 1 ⎞ S = ⎜b + ⎟ 12 ⎝ 4b ⎠ となり, S が最小となるのは b + b>0, 3 S を 1 文字で表 わして 5 点 1 が最小となるときである. 4b 1 >0 なので相加相乗平均の関係より 4b b+ 1 1 1 ≧2 b × = 2× =1 4b 4b 2 (等号は b = 1 1 のとき,つまり b = のとき成立する) 4b 2 3 S= 1 ⎛ 1 ⎞ 1 3 1 ⎜b + ⎟ ≧ ⋅1 = 12 ⎝ 4b ⎠ 12 12 S の最小値は 1 12 ・・・(答) (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール S の計算ができ て 10 点 3/9 1 【解説】 東北大を受験する生徒であれば,皆必ず解いたことのある典型問題である. (1)は接線の公式をしっかりつくり,交点 R を出すだけである. (2)では計算の工夫がかかる時間の差となって出てくるところである. (3)の垂直条件からくる a<0<b に気づくことが大切で,あとは 1 文字にしてできた式の形から 相加相乗平均の関係を思いつき素直に計算すると完成する. 【角田幸二】 (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール 4/9 2 配点予想 (50 点) 【解答】 (1)2 つの数の積が 10 となるのは, 2× 5 の場合しかなく,それぞれ 2 個 (1) 説明 5 点 式・答 5 点 ずつ玉があるので, 2 2 4 = 45 10 C 4 ・・・(答) (2)4 つの数の積が 100 になるのは, 2 × 2 × 5 × 5 と 1 × 4 × 5 × 5 の場合があり, (2) 説明 5 点 前者は 1 通りしかないが,後者は 1 と 4 の選び方が 2 通りずつあるので, 1 + 22 1 = 42 10 C 4 式・答 5 点 ・・・(答) (3)2 つの場合に分ける.1 個目から 3 個目の玉を取り出す操作を“前半” , (3) 4 個目から 6 個目の玉を取り出す操作を“後半”と表現することにする. (ⅰ) 説明 5 点 (ⅰ) 前半と後半で 3 つとも同じ数字が出るとき 式・答 5 点 前半に出るのは 5 個のうち 3 個の数字で,選び方は 2 通りずつある. 一方,後半は,前半に対して 1 通りに取り出される玉が決まるので, 23 ⋅ 5 C 3 1 2 ⋅ = 105 10 C3 7 C3 (ⅱ) 前半 2 が 2 回,後半に 1 と 4 が出るとき(と、その逆順の場合) 前半に 2 が 2 回出るのは 1 通り,その他の数字の出方は 3 か 5 しかなく, (ⅱ) 説明 5 点 式・答 5 点 それぞれ 2 通り.後半は 1 と 4 の出方がそれぞれ 2 通りずつあるが, 残りの玉の取り出し方は 1 通りしかない.あとは逆順を考えて,全体を 2 倍すればよい. 2⋅ 22 22 4 ⋅ = 525 10 C3 7 C3 (ⅰ) (ⅱ) (ⅰ),(ⅱ)より, 2 4 2 + = 105 525 75 式・答 10 点 ・・・(答) (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール 5/9 2 【解説】 (1), (2)は一度に玉を取り出しているが, (3)では前半と後半に分けて取り出しているこ とになる.まずその点で(3)は注意が必要である.また,玉が 2 個ずつあることが問題を複雑 にしているが,具体的な場合を書き出して調べていくうちに,簡単な式にたどり着けるだろう. 東北大文系では確率は毎年出題されると考えておくべきだ.本問はその中で難しい方ではない が,見落としがないか注意を要する問題だろう.確実に解けているところまで段階的に解答を作 っていった方がよいだろう. 【角田幸二】 (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール 6/9 3 配点予想 (50 点) 【解答】 (1)メネラウスの定理より 式が書けて 5 点 BP MA ON ⋅ ⋅ =1 PM AO NB であるから BP 1 t ⋅ ⋅ = 1 ∴ BP : PM = 3 : t PM 3 1 ・・・ (*) 比が求められて 5点 よって OP = 式が書けて 5 点 3 OM + t OB t +3 = 3 2 t ⋅ OA + OB t +3 3 t +3 = 2 t OA + OB ・・・ (答) t +3 t +3 答が求められて 5点 (2) ∠MOP = ∠BOP , ∠OPM = ∠OPB , OP は共通であるから 合同が示せて △OMP ≡△OBP 5点 OM = OB ・・・① 式が書けて 5 点 MP = BP ・・・② 式が書けて 5 点 よって ①より 2 OA = OB 3 ∴ OA : OB = 3 : 2 ・・・ (答) 答が求められて 5点 ②と(*)より 答が求められて t = 3 ・・・ (答) (c) 特訓予備校 5点 養賢ゼミナール 7/9 3 【解説】 (1)〔解答〕はメネラウスの定理を使って解いたが,図形の性質を使う解法もあるだろう. ( △PAB の面積) :( △PBO の面積) = AM : MO = 1 : 2 ( △PAB の面積) :( △PAO の面積) = BN : NO = 1 : t であるから,( △PAB の面積) :( △PBO の面積) :( △PAO の面積) = 1 : 2 : t である.したがって, OP の延長と AB の交点を Q とすると, AQ : QB =△PAO : △PBO = t : 2 , OP : PQ = (t + 2) :1 となる. (2)図を丁寧に描くと, △OMP ≡△OBP に気づく.もし気づかなければ, OP ⊥ BM より OP ⋅ BM = 0 を利用して解く.すなわち, OP ⋅ BM = 2 2 1 ⎧ ⎫ ⎨4 OA + 2(t − 3)OA ⋅ OB − 3t OB ⎬ = 0 3(t + 3) ⎩ ⎭ 2 2 より, 4 OA + 2(t − 3)OA ⋅ OB − 3t OB = 0 となる. OA : OB = t : 2 より, OB = s とおくと OA = t s であり,上の式は t (t − 3)(1 + cos ∠AOB) = 0 と 2 変形できる. t ≠ 0 , cos ∠AOB ≠ −1 より t = 3 を得る. (1), (2)も解法がいくつかあって迷うかもしれないが,自分が自信をもっている解法で進 めよう. (2)は図を丁寧に描くと,図形の性質を使ってはやく解ける解法が見えてくる. 【角田幸二】 (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール 8/9 4 (50 点) 【解答】 配点予想 (1) A と B の 2 乗の和を求めると, 2 2 2 A + B = (2 sin x + sin y ) + (2 cos x + cos y ) 2 (1) 式変形 2 2 10 点 2 2 = 4(sin x + cos x) + 4(cos x cos y + sin x sin y ) + (sin y + cos y ) = 4 + 4 cos( x − y ) + 1 ∴ cos( x − y ) = A2 + B 2 − 5 4 答5点 ・・・(答) (2) A = 1 のとき, (2) ⎧ sin y = 1 − 2 sin x ⎨ ⎩ cos y = B − 2 cos x より, y を消去して sin 2 y + cos2 y = (1 − 2 sin x)2 + ( B − 2 cos x)2 = 1 ここで ( X , Y ) = (cos x, sin x ) とおくと,点 ( X , Y ) は単位円を表し, 10 点 x は動径の角度を表す.このとき上記の B の条件式は, 2 2 円の方程式を示 B⎞ ⎛ 1⎞ 1 ⎛ ⎜ X − ⎟ + ⎜Y − ⎟ = 2⎠ ⎝ 2⎠ 4 ⎝ して 10 点 1 ⎛B 1⎞ と変形できるので,中心: ⎜ , ⎟ ,半径: の円を表す.この2円が 2 ⎝ 2 2⎠ 周上の点を共有しつつ B が最大・最小になるのは下の図の場合である. 図を描いて 図より, ⎫ ⎪ ⎪ ⎬ 1 2 2 ⎪ 最小値 : sin x = , cos x = − のとき,B = −2 2 ⎪ 3 3 ⎭ 最大値 : sin x = 1 2 3 , cos x = のとき,B = 2 2 3 3 (c) 特訓予備校 10 点 ・・・(答) 養賢ゼミナール 答5点 9/9 4 【解説】 東北大の問題は難しい公式を一切使わないのが特徴である.本問も一見すると,積和・和積や 合成などの公式をどう使ったらよいか考える人が多いだろう.しかし,公式として使うのは加法 定理と正弦・余弦の 2 乗の和が 1 になることぐらいである. (1) cos( x − y ) の展開式がうまく出てくるように, A と B を変形する.この場合は 2 乗の和を求 めるだけでよい.基本的な問題だろう. (2)はいろいろな解法がありそうだ.(1)の結果を使うと cos( x − y ) = B2 − 4 であることは直ち 4 にわかるが, A = 2 sin x + sin y = 1 の拘束条件があるから, − 1 ≦ cos( x − y ) ≦1 が成立しているの か,すぐには判断できない.また,得られるのが B 2 の条件式であり,その条件の中で実際に B が動いている範囲も自明ではない.厳密に論理を展開するには「つめ」が欠かせない.更に, この問題は変数が多い.関係式はあるにせよ sin x, cos x, sin y , cos y をうまく操るのはなか なか難しい. そこで,ここで示した解法では(1)と独立に解くことにした.まず, y は結果に必要ない ので消去した.(1)と同様,2 乗の和をとれば簡単に消去できる.得られた B を含む式は ( X , Y ) = (cos x, sin x) と考えると円の方程式である.中心の Y 座標と半径が一定の円である.B の値によって, X 軸上を転がるように動く.最大・最小になる場合は図形的にすぐわかり,計 算もほとんどいらない.x が動径の角度を表わしているので,sin x, cos x の値も図形的に直接 求められる. この解法は,はじめに多少の発想を要するかもしれない.ただし,その点さえ通り過ぎれば 見通しは非常によく,図形を描きながら一気に最後まで進めるだろう.計算量も少ない. 【角田幸二】 (c) 特訓予備校 養賢ゼミナール
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